ポルトガル薬剤師会(A Ordem dos Farmacêuticos)は23日、軽度の臨床症状に対する薬剤師による介入のプロジェクトの実施が進んでいないとして、実施を求める声明を発表しています。
【A Ordem dos Farmacêuticos 2026.04.23】
Ordem dos Farmacêuticos pede implementação da intervenção farmacêutica em situações clínicas ligeiras
https://www.ordemfarmaceuticos.pt/pt/noticias/ordem-dos-farmaceuticos-pede-implementacao-da-intervencao-farmaceutica-em-situacoes-clinicas-ligeiras/
イギリス(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドを含む)、フランス、カナダ、アイルランド、オーストラリア、スイスなどの国々では、すでに地域薬剤師が軽度の臨床症状の管理に介入できる仕組みが導入されています。
ポルトガル薬剤師会(OF)は、ポルトガルもこの動向に倣い、この分野における体系的な対応を推進するための環境を整え、地域の医療サービスを強化するべきだと考えています。
ポルトガル薬剤師会は4月21日に社会党(PS)の議員団と行った公聴会において、この必要性を改めて表明し、軽度の臨床症状に対応するための地域薬剤師の貢献を評価できる解決策を見出すことの必要性を提唱しました。
すなわち、重篤または複雑ではなく、自然治癒し、短期間で治まり、かつ他の健康問題の症状と混同される可能性が低い症状への対応において、地域薬剤師の貢献を評価できる解決策を見出すことの必要性を提唱しました。
地域薬剤師は、症状の評価、薬剤に関するアドバイスの提供、必要に応じて市販薬の推奨を行う訓練を受けています。
さらに、患者の状態に関する詳細な情報を得るために、簡単な検査を行うことも可能です。
状況がより複雑な場合は、薬剤師は患者を医師または適切な医療機関に紹介します。
このアプローチにより、プライマリヘルスケア(一次医療)や救急医療の負担を軽減し、より緊急性の高い活動にリソースを振り向けることが可能となり、軽度の臨床症状の解決のために何百万件もの受診や救急外来への来院を防ぐことができます。
国際的な経験から、このモデルは効果的かつ持続可能であることが示されており、ポルトガルが医療制度を革新し改善する機会となります。
薬剤師会は、医師会も巻き込んだ包括的な戦略として策定される、軽度の臨床症状に対する地域薬剤師による管理プロトコルの実施に向け、保健省と連携してこの問題に取り組んでまいりました。
当会は、関係機関と連携し、特に介入プロトコルの策定、紹介ルートの策定、および医療従事者間のコミュニケーション強化において、このモデルの構築と実施に全面的に協力する用意があることを改めて表明します。
今回の声明は、昨年1月(最終的には3月)に決議された「地域薬局における薬剤師による軽度の臨床状況に対する治療的介入のパイロットプロジェクトの実施について」の決議案への対応が行われていないためとするものです
Projeto de Resolução 539/XVI/1
Pela criação de um projeto piloto de intervenções terapêuticas em situações clínicas ligeiras por farmacêuticos nas farmácias comunitárias
https://www.parlamento.pt/ActividadeParlamentar/Paginas/DetalheIniciativa.aspx?BID=314518
(→決議案PDF)
決議案第539/XVI/1号
地域薬局における薬剤師による軽度の臨床状況に対する治療的介入のパイロットプロジェクトの実施について
理由説明
ここ数週間、国内では、SNS24ホットラインによる対応および紹介、ならびに一次医療および病院の救急部門における診療において、極めて長い待ち時間が生じています。
今回の提案は、利用者の問題に対して迅速な対応を保証し、SNS24ホットラインの混雑緩和に寄与する措置の必要性を示しています。
推計によると、毎年約500万件のSNS受診(一次医療および病院の救急部門を含む)は、上気道感染症や尿路感染症といった軽症で緊急性の低い疾患に関するものと推定されています。
これらの疾患は、人々の生活の質や生産性に影響を与え、欠勤の原因にもなりますが、SNS受診、特に家庭医に頼ることなく治療できる可能性があります。
国民保健サービス(SNS)への不必要な負担を防止し、国民が適切な治療を受ける権利を完全に保障することを目的として、PAN(ポルトガル社会党?)はこのイニシアチブを通じて、地域薬局が特定の事前決定された臨床プロトコルに従って、尿路感染症、副鼻腔炎、咽頭痛、中耳炎などの軽度で緊急性のない臨床状況に対応し、適切な治療を処方したり、必要に応じてプライマリヘルスケアに紹介したりできるパイロットプロジェクトを実施することを目指しています。
このパイロットプロジェクトは、保健総局、国立保健サービス執行局、医療従事者、薬剤師、および地域薬局を代表する専門職団体や組織と緊密に連携して実施される予定です。
このような解決策は、フランス、カナダ、英国などの国々ですでに存在しており、一次医療(プライマリケア)や救急医療の負担を軽減し、より緊急性の高い活動にリソースを振り向ける効果的な手段であることが実証されています。
例えば、英国では1年間で、軽度の臨床症状における3,800万件の診察および救急外来受診が回避されています。
以上のことから、下記署名者であるPESSOAS-ANIMAIS-NATUREZA党の単独議員は、適用される憲法および議会規則の規定に基づき、共和国議会が以下の決議を採択することを提案する:
ポルトガル共和国憲法第166条第5項に基づき、共和国議会は、政府に対し、
保健総局、国立保健サービス執行部、医療従事者、薬剤師、および地域薬局を代表する専門職団体や組織と事前に連携した上で、薬剤師および地域薬局を代表する団体と事前に協議した上で、地域薬局が、特定の事前決定された臨床プロトコルに従い、尿路感染症、副鼻腔炎、喉の痛み、中耳炎などの軽度かつ緊急性を要しない臨床状況への対応を行い、適切な治療を処方するか、あるいは正当な理由がある場合には一次医療への紹介を行うことができるよう、パイロットプロジェクトを創設するよう政府に勧告する。
今回の声明について、プロトガル医師会会長は取材に対し、「医師の代わりになることや医師の役割を奪うことではない」と説明し、単純な臨床状況において患者が保健センターや救急外来に過度な負担をかけることがないように、「各機関間で事前に定められたプロトコルに従う」ことであると述べたそうです。(歓迎なのか、否定なのかどちらなのだろう?)
今、世界各国ではさまざまな形で薬剤師による軽度疾患への対応の動きが進んでいます。
一方日本では、医師が関与するセルフメディケーションの支援として、OTC医薬品協会が中心となって、OTC医薬品を活用した同様の動きがあります。(そういえば、議論ストップしているな)
アドバイザリーボード(日本OTC医薬品協会)
https://www.jsmi.jp/special/board/index.html
生活者にむけた新たなOTC医薬品活用の方策
~日本版CDTMについて~
(第7回アドバイザリーボード会議 2024.11.18)
https://www.jsmi.jp/special/board/data/007/02.pdf
一次医療(プライマリケア)や救急医療の負担を軽減し、より緊急性の高い診療にリソースを振り向けるためにも、日本でも制度化の検討が必要かもしれません。
職能団体は、もっとこういった分野での職能発揮の可能性について、アピールしてもらいたいものです。
参考:
Farmacêuticos apelam ao avanço de projetos para tratar situações ligeiras nas farmácias
(Diário de Notícias 2026.04.23)
https://www.dn.pt/sociedade/farmacuticos-apelam-ao-avano-de-projetos-para-tratar-situaes-ligeiras-nas-farmcias
2026年04月24日 13:51 投稿
