2021年9月~2022年3月にかけて、全日制高等学校202校を対象に行われた「薬物使用と生活に関する全国高校生調査2021」で、「過去1年以内に市販薬の濫用経験があるという高校生は約60人に1人の割合でいる」という結果が公表され、メディアでも紹介されたことは記憶に新しいところです。
薬物使用と生活に関する全国高校生調査2021
(精神保健研究所・薬物依存研究部)
https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/highschool2021.pdf
上記調査を紹介したプレゼン
【2023/1/26開催】薬物問題関連シンポジウム「身近な市販薬・処方薬依存症~医療・教育・支援の現場から考える~」基調講演(依存症ナビ)
このほどこの調査結果について、学校生活や家庭生活との関連性を調べた2次解析による研究結果が公表されています
Prevalence of Over-the-Counter Drug Abuse and Associated Psychosocial Factors Among High School Students: A Nationwide Cross-Sectional Survey in Japan
(Neuropsychopharmacol Rep. 2025 Jun 14)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/npr2.70030
解析の結果次のようなことがわかったそうです。
- OTC医薬品乱用リスクは、男性と比較して女性で有意に高い
- 学校生活への満足度とOTC薬物乱用リスクとの間に有意な関連が認められた
- 課外活動に積極的に参加した生徒は、参加しなかった生徒よりもOTC薬物乱用リスクが有意に低かった
- 学校生活で孤立しており、友人関係を含む学校ネットワークからの離脱がOTC薬乱用のリスクを高める可能性があることを示唆された
- 自宅で両親と離れて過ごす時間が長い高校生は、OTC薬乱用リスクが高かった
- 母親に相談する頻度が高い学生は、OTC薬乱用リスクが低くかった
- COVID-19関連のストレスを報告した学生は、「ストレスがない」と報告した学生よりも市販薬を乱用するリスクが有意に高かった
- 自己効力感(目標達成に必要な能力)の高い学生は、自己効力感の低い学生よりもOTC薬乱用リスクが有意に低いことが示された
研究者らは、学校や家庭における孤立は、青少年のOTC薬乱用の危険因子となる可能性があるとする一方、親や友人とのつながりは予防効果をもたらす可能性があるとしています。
動画で使われているスライドは、2023年3月に開催された第2回医薬品の販売制度に関する検討会でのプレゼンでも使われています
わが国における市販薬乱用の実態と課題
「助けて」が言えない子どもたち
(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
薬物依存研究部 心理社会研究室・嶋根卓也)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001062521.pdf
2025年06月17日 00:51 投稿