内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書

 29日、内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会の報告書が公表されました。

内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書
   (厚労省 2010年1月29日)
   http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/01/s0129-4.html

 最終報告書は、第5回の検討会(TOPICS 2009.11.30)で示された報告書案に、検討会での委員の意見などが反映されているようです。

 報告書では、下記のような移行期間における記載例(報告書より引用)を示した他、


 検討会での提言(TOPICS 2009.7.30)として、「手書きで処方せんを記載する場合、情報伝達エラーを防止するため、医療機関の実情に即し、罫線を設ける等により必要な事項を網羅的に記載をする工夫が必要である」ことが示されたとして、下記のような処方せん様式の参考例を提示しています。(報告書より引用)

  この様式は参考例であり、新たな様式を示したものではありませんとの記述はありますが、医療機関コードの追加に伴う院外処方せんの様式変更へに合わせて、上記のような様式が導入される可能性はないとは言えないでしょう。

 具体的にどのように進められていくか、注目ですね。

関連情報:TOPICS
 2009.11.30 第5回内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会
 2009.09.15 第4回内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会
 2009.07.30 第3回内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会
 2009.06.22 第2回内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会
 2009.06.02 第1回内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会
 2009.09.23 処方せん、国際基準に変更するなら「食後・食前」の明記は必要か?


2010年01月29日 14:56 投稿

コメントが7つあります

  1. アポネット 小嶋

    29日付で、職能団体、大学、保険団体、病院団体などに対し、周知を行うことを求める通知が出されています。

    内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書の公表について(周知依頼)
    (厚労省医政局町・医薬食品局長 2010年1月29日)
    http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/dl/100129-1.pdf

    医療行政の推進につきましては、平素から格別の御高配を賜り厚く御礼申し上げます。
    標記につきましては、平成21年5月に厚生労働省に設置されました「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会」において、医療安全の観点から、内服薬処方せんの記載方法に係る課題やその標準化等、今後の処方せんの記載方法の在り方について、これまで5回にわたり幅広く検討が行われ、今般、別添のとおり報告書が公表されたところです。
    本報告書では、処方せんの記載方法が統一されていないことに起因した記載ミス、情報伝達エラーを防止する観点から、「内服薬処方せん記載の在るべき姿」が取りまとめられ、今後、本報告書を基に、内服薬処方せんの記載方法の標準化に向けた取組について関係者に協力を求めることとしています。
    貴職におかれましては、本報告書の内容を御確認の上、管下関係機関等に対し、周知方お願いいたします。

    (留意事項)
    本通知の内容については、貴管下医療機関等の医療に係る安全管理のための委員会の関係者、医療安全管理者、医薬品の安全使用のための責任者等に対しても周知されるよう御配慮願います。

    周知をするのはいいのですが、それぞれがバラバラで始めないように、十分調整して欲しいですね。

    特に、いつから移行期間に入るのかだけは早めに決定し、アナウンスして欲しいですね。

  2. アポネット 小嶋

    6日の毎日新聞、朝日新聞が取り上げています(リンク切れは御免)

    内服薬:バラバラ処方せん標準化へ 誤読の危険回避
    (毎日新聞2月6日)
    http://mainichi.jp/select/science/news/20100206k0000e040052000c.html

    >表記の統一を急ぐと、現場が混乱して事故につながる恐れも
    >あるため、厚労省は期限は設けず自主的な改善を待つ構え。
    >医療安全推進室は「1〜2年後に中間評価をして、さらに分
    >かりやすい記載方法を探りたい」としている。

    「自主的に」としていますが、どこかが音頭をとってすすめないとダメですよね。

    日薬? 日病薬? 医師会? それとも行政?

    処方箋わかりやすく、書式も統一 事故防止へ厚労省方針
    (朝日新聞2月6日)
    http://www.asahi.com/health/news/TKY201002060198.html

    >今回のルール化では処方箋でも情報紙並みのわかりやすさに
    >して、患者が薬局に処方箋を渡す前に、薬の内容をチェック
    >できるようにする狙いもある。

    処方せんの様式も、上記の様になるんですかね。

  3. アポネット 小嶋

    くま☆さんのブログでアンケートが行われています。

    さまざまな意見が寄せられていて、興味深いです。

    内服薬処方せん記載方法についてのアンケート
    (薬局のオモテとウラ 2月9日)
     http://blog.kumagaip.jp/article/35261628.html

    反対の意見が多いようですが、報告書にもあるように、処方せん記載の方法の標準化の話は平成14年度の厚生労働科学研究から始まっており、急にでてきたわけではありません。

    会員に対し、このような動きがあることを積極的に伝え、現場の意見の集約を十分に行ってこなかった職能団体は責められるでしょう。くま☆さんのように、WEBを活用して会員の声をくみ上げることは可能だったはずです。

    混乱することは必至でしょうか、全国紙各紙が取り上げた以上、いかにして混乱なく移行するかを目指すべきではないでしょうか。

    関係者が知恵を出して、どのようなスケジュールで行うかを早急に行うことが必要であり、日薬や日病薬はなるべく早く、組織として取り組むべき課題を明確化してもらいたいですね。

     

  4. >混乱することは必至でしょうか、全国紙各紙が取り上げた以上、いかにして混乱なく移行するか>を目指すべきではないでしょうか。

    そうです、一応決まってしまったのですから仕方がないのでしょうけど。

    この「混乱なく移行する」は可能でしょうか?
    薬剤師会が会員に、このような動きがあると言うことを話してこなかった以上に、一応決定した現在でも、医師会は何も話をしてないでしょう。
    薬剤師は、何だかんだ言いながらも、混在した処方箋に対応していくでしょう。
    しかし、果たして医師は、完全移行ができるのでしょうか?
    現行の処方箋すらも、まだA5以外の処方せんが来たことがあります。
    様式は、あくまでも「参考」でしかありません。
    決定が統一できる日は永遠にこないと思います。

    また、カルテは1回量記載にしなくてもいいのではないでしょうか?
    そうなると、処方せんは事務的に1回量になっても、手書きカルテまでは変更しない!ってDrは多くいると思います。
    現場の混乱は必至と思います。

    一見、様式を統一する、は正論のように聞こえますが、これは、このように簡単に手をつけられる問題じゃなかたっと考えています。
    決まった以上、対応しなければいけないのでしょうけど。やはり、ミスを誘発しそうで不安です。
    移行期は、今以上に過誤は起こると思います。その山を乗り越えてまで、果たして乗り越えられるのかわかりませんが、様式の統一するのは、理想としては必要であっても、決定に至る今のプロセスは、あまりにも杜撰なため、決定してよいのか?との疑問があります。
    このような重大な問題は、薬剤師、医師のせめて過半数が認知し、同意して、初めて決定していい問題ではないでしょうか?

    できるなら、混乱させないための考えを提案していっていただけたらと思います。
    注意して処方箋をみても、判別できない次元もあると思います。
    長文すみませんでした。

  5. アポネット 小嶋

    現時点での個人的な見解と見通しですが。

    まず移行日をきちんと決めることです。新聞記事にあるように、自主的な改善など不可能です。

    2011年の4月1日か2012年の4月1日など区切りのいい日がいいと思いますが、今後実務実習が行われ、新しい国家試験を受けて、2012年4月に6年制の新薬剤師が現場に出てくることを考えるとやはりリミットは2011年の4月でしょう。

    オーダーで出される薬は、おそらく従来の1日処方でオーダーを行っても、自動的に1回量処方に打ち出されるシステムが作られるでしょうから、あまり心配しなくてもいいと思います。(但し、一斉に切り替えが必要ですが。カルテの記載とかはどうなるんでしょうね?)

    旧システムで処方せんを発行するところもあるかもしれませんから、「以上の」まえに、当面の間「本処方は1回量処方」などと打ち出しするか、1日量との併記にすればよいでしょう。

    問題はやはり手書きの処方せんです。

    旧様式の処方せんは全て、医療事故防止を理由として使用を禁止し、1回量の処方がしやすいように、上記の様な処方せん様式に統一、新様式の処方せんをについては国が無償で一定期間支給する。(新様式は、全て1回量処方とみなすことを徹底する)

    そして、処方医への周知の方法ですが、病院は病院薬剤師が、開業医は支部ごとに薬剤師会があらゆる方法を通じて、説明と理解を求める。(最も、薬剤師自体に説明することが先ですが)

    また、この問題は教育の現場でも大きく影響を受けます。

    おそらく最初の6年制の国家試験も1回量での出題にせざるを得ないでしょうから、今春から行われる実務実習でもこのことを念頭に置く必要があります。指導薬剤師には負担が増えますが。

    一番気がかりなのは、医学部でこれから医師になる学生にきちんと教えられる(人がいる)かです。これについては、大学病院の薬剤部の薬剤師にがんばってもらうしかないですね。

    いずれにしても、厚労省や自治体の役人、保健所に期待してもうまくいかないと思います。

    日薬・日病薬・薬科大学が中心になって、医科・歯科大学、医師会に共同で働きかけるしかないでしょう。

  6. 有難うございます。
    これは、今まで知らなかったのもありますが、あまりにも大きな問題の割には、さらりと決まってしまったように思います。
    近くの医者(開業医)に話しても、「何をバカなことを」って反応で、断固反対です。

    何をどうしていいのかわかりませんが、このままで行けば大混乱は必至です。
    声を上げていかないといけないと痛感しています。
    また色々ご指導ください。

  7. アポネット 小嶋

    厚労省は周知についてのリーフレットを作成したようです。

    日病薬HPに情報が掲載されています。(リンクすみません)

    内服薬処方せんの記載方法の標準化に向けた取り組みについて(厚生労働省からのお知らせ)
    (日本病院薬剤師会2010年2月15日)
     http://www.jshp.or.jp/cont/10/0215.html

    〜厚労省からのお知らせ〜
    ご存じですか?
    内服薬処方せんの記載方法の標準化に向けた取組について
    〜内服薬処方せんの記載ミズ、情報伝達エラーを防止するために〜
    http://www.jshp.or.jp/cont/10/0215.pdf

    日病薬では、『再度、「内服薬の処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書」の内容を周知していただきますよう重ねてお願い申し上げます。』とアナウンスしています。

    対応は待ったなしかもしれませんね。