第4回内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会

 14日、第4回内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会が開催され、これまでの議論の論点を整理した報告書の骨子案が示され、議論が行われています。

第4回内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会(2009年9月14日開催)
  厚労省資料(9月16日掲載) WAMNET資料(9月15日掲載) 議事録(10月19日掲載)

 骨子案によれば、内服薬処方せん記載の在るべき姿は、「医療安全の観点から、患者、医療者を含め、誰がみても理解できるような処方せんの記載方法を標準化し、我が国のあらゆる医療機関において統一的な記載による処方せんが発行されることが望ましい」として、用法の記載についは下記の様な一定のルールを設けて標準化を図るとしています。(報告書骨子案(論点整理)→資料3

単位量
  • 医薬品を実際に内服する患者の解りやすさの観点から、最小単位である1回の内服量を処方せん記載の基本とする。
散剤・液剤
  • 薬名を販売名で記載した場合には、分量は製剤量(薬剤としての重量)で記載する。
  • 薬名を一般名(原薬名)で記載した場合には、分量は有効成分量で記載する。

 また、移行期間における混乱を避けるため、完全実施までは次の様な方策(内服薬処方せん記載方法の標準化に至るプロセス)を提案しています。(処方せん記載例→資料2

単位量(移行期間の方策)
  • これまで「分3」、「×3」、「3×」と記載してきたものを、日本語で明確に記載する「朝昼夕 1日3回均等に分けて」、「1日1回 朝2錠」といった記載を標準にする。
散剤、液剤(移行期間の方策)
  • 「g記載は製剤量、mg記載は有効成分量」といった重量単位により記載してきたものを、薬名を販売名で記載した場合には、 製剤量と明示のうえ、製剤量で分量記載し、一般名(原薬名)で記載した場合には、原薬量と明示のうえ、有効成分量で分量記載することを標準にする。
その他(移行期間の方策)
  • 出力された処方せんの記載事項については、処方オーダリングシステム等が、1回量を基本とした入力、1日量を基本とした入力のいすれの入力方法であっても、出力された処方せんには、1回内服量と1日内服量と1日内服量が併記されるようにする。
  • 手書き処方せんの場合、用法・用量について上記2の対応を関係者に依頼し、調剤においては、必要に応じて疑義照会を徹底する。

さらに長期的方策としては

医療情報システム
  • 医療情報システムにおける標準用法マスタの作成・配布を行う。
    (日病薬の土屋文人氏が、用法の標準化について提案を行っています。→資料4
  • 処方オーダリングシステムにおいては、1回量を基本とした入力方法に対応できる、処方入力画面を装備するよう関係者に働きかける。
  • 処方せんによる投薬指示が患者に確実に実施されるために、看護システムにおいては、服用の最小単位である1回の服用量を基本単位とすることを推進する。
  • 調剤薬局において処方内容を再入力することによる情報伝達エラーを防止し、院外処方せんの利便性の向上に資するような、二次元情報技術(バーコードやQRコード等)の導入について検討する。
教育等
  • 医師、歯科医師、薬剤師等の医療従事者の養成機関における、内服薬処方せんの標準的な 記載方法に関する教育、共用試験や国家試験への出題について留意が必要である。
  • 医師、歯科医師、看護師等の臨床研修等の卒後教育においても、上記養成機関における対応を踏まえ、内服薬処方せんの標準的な記載方法に関する教育について留意が必要である。
  • 書籍や医薬品の添付文書の記載については、本検討会の議論を踏まえ、用法・用量等の記載方法について留意する必要がある。

 骨子案を見てのコメントですが、販売名だったら製剤量、一般名だったら有効成分量となっていますが、混乱は起こらないのでしょうか? (DIオンラインによれば、「販売名、製剤量の記載」を原則とし、例外的に一般名記載の方法を取った場合のみ、医師が処方せんに「原薬量」と明示することでよいと合意したそうです)

 また、二次元情報技術の活用についても触れていますが、いっそのことICカードを利用したペーパーレスの電子処方せんの導入を検討した方がよいと思うのですが。さらに、手書き処方せんについては、第3回検討会で示されたような、処方せんの1回量が明示されるものにすぐに書式を統一すべきだと思います。

 また、用法の標準化も必要だと思います。そうすれば、疑義照会に時間が取られることは少なくなるでしょう。ただ、標準化された場合には、おそらく調剤報酬の算定方法(調剤料)にも微妙な影響を与えることでしょう。

 CBニュースによれば、検討会での委員の意見を踏まえて骨子案を修正したうえで、パブリックコメントを募集、そして、11月末の検討会で報告書案として提示するとのことです。意見提出が必要かもしれませんね。

 ただ、薬学6年制の実務実習を控えていることを考えると、早急の結論も必要です。そして、現場への理解・徹底も不可欠でしょう。

関連ブログ:[日経DI]患者がわかる処方せん様式?
   (薬局のオモテとウラ2009年9月16日)
   http://blog.kumagaip.jp/article/32168271.html

関連情報:TOPICS
 2009.07.30 第3回内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会
 2009.06.22 第2回内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会
 2009.06.02 第1回内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会

参考:医療介護CBニュース(9月14日 一定期間を過ぎるとログイン必要)
     http://www.cabrain.net/news/article/newsId/24300.html
日経DIオンライン(9月15日 要会員登録)
 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/200909/512273.html

9月16日 14:30、10月19日 20:40 リンク追加 


2009年09月15日 21:33 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    10月19日に議事録がアップされています。(元記事にリンク)

    過渡期的な措置として、「分3」という表現は残りそうですが、「×3」「3×」はNGになりそうです。

    議事録を見ていて、結局、システムがどう対応するかとか、その次には保険上のルールはどうかという話が多く、現場の状況を本当に反映している議論になっているのだろうかと考えてしまいます。

    それと、病院のシステムでは約800もの種類があるといわれる用法を統一し、マスター化すべきだという意見も出されていました。個人的には歓迎ですが、それでもおそらく数百の用法ができてしまうでしょう。TOPICS 2009.09.23 のコメントで松本さんがコメントされたように、もしマスター化するのであれば、できるだけシンプルなものを採用すべきでしょう。

    IT化が進んでいるとはいえ、現実には手書きで処方せんを書く場合もあるはずです。

    医師が特別に指定する場合以外は、服用回数が明示されれば、食後や食前などの服用時点については、また塗布・吸入などの使用方法が明示されていれば、使用部位・使用回数などは省略した用法もマスターとして採用し、保険上もこれを認めるべきではないかと思います。

    「1日2回服用」と明記されていれば、承認の用法は添付文書に書いてあるのだから、臨時薬の併用される場合や生活スタイルにあわせて、いつどのようなに飲んだらよいかは、医師が指定しない限り、薬剤師が主体的に患者さんと相談して、決めてもいいのではないかと思うのですが。

    関連情報:TOPICS
     2009.09.23 処方せん、国際基準に変更するなら「食後・食前」の明記は必要か?