地域包括ケアシステムにおける今後の取り組むべき方向性とは

 PNBの見出しで見つけた報告書です。みずほ情報総研のウェブサイトにありました。(こういうのは厚労省できちんとリンクを張って欲しい)

平成27年度老人保健健康増進等事業の事業報告書
(みずほ情報総研)
http://www.mizuho-ir.co.jp/case/research/mhlw_kaigo2016.html

地域包括ケアシステムにおける薬局・薬剤師による薬学的管理の向上及び効率化のための調査研究事業 報告書
http://www.mizuho-ir.co.jp/case/research/pdf/mhlw_kaigo2016_04.pdf

 この事業では、全国の保険薬局を対象としたアンケート調査「地域包括ケアへの薬局の参画状況等実態調査」、全国の訪問看護ステーション、訪問介護事業所を対象としたアンケート調査「薬局・薬剤師の職能に関する意向調査」が実施、興味深い結果内容となっています。

 このうち、「地域包括ケアへの薬局の参画状況等実態調査」では、在宅業務等の実施状況や、医療機関、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所等との連携状況等を把握することを目的に、無作為に抽出した2,000保険薬局を対象に実施されています(回収率26.7%)

地域包括ケアへの薬局の参画状況等実態調査の結果
http://www.mizuho-ir.co.jp/case/research/pdf/mhlw_kaigo2016_04.pdf#page=25

  • 医療用医薬品の取扱品目数は、平均987.9品目(処方箋集中率70%以下で平均1,247.3 品目(中央値1,171.0品目)、70%超で平均868.1品目(中央値817.5 品目)
  • 要指導医薬品の取扱品目数は、平均1.7品目(中央値0.0品目)。ドラッグストア等店舗販売業が併設又は隣接されている薬局でも、平均3.9品目(中央値2.0品目)
    (ひどい数字だと最初は思ったが、調査は去年12月で、要指導医薬薬は「エフコート」「プレフェミン」「エパデールT」「セレキノンS」「アンチスタックス」くらいなので、無理もないかも。裏返せば、現場のニーズにあっていないスイッチともいえる。薬剤師会から具体的なサポートもないしね)
  • 一般用医薬品の取扱品目数は、平均114.3 品目(中央値18.5品目)。ドラッグストア等店舗販売業が併設又は隣接されている薬局では、平均464.4品目(中央値54.0 品目)
  • 在宅業務を開始してから残薬の問題を発見したことがある薬局のうち、残薬 を不適切に利用していた事例についてみると、必要のない薬を服用していた(8.3%)、家族や友人に薬を渡していた(7.1%)といった事例も など

 一方、「認知症利用者の薬剤管理等実態調査」は、訪問看護ステーションや訪問介護事業所の訪問看護師、ヘルパー等による利 用者の認知症程度の把握方法、認知症のある利用者に対する薬剤管理や服薬支援上の工夫、薬局薬剤師との連携事例等を把握を目的に実施されています。(→リンク

 また、「特別養護老人ホームにおける服薬管理等実態調査」は、特老における日常的な薬剤管理・服薬支援の状況、薬剤管理 に関するヒヤリ・ハット事例、外部の薬局・薬剤師の関与の状況等を把握することを目的に無作為に抽出した500 施設で実施 されています。(→リンク

  • 外部の薬局薬剤師に望むこと(→リンク こんなもんか)

 この調査結果を踏まえ、下記のような、地域包括ケアシステムにおいて薬局、薬剤師が今後の取り組むべき方向性を示しています。

薬局及び薬剤師の今後の取組の方向性
http://www.mizuho-ir.co.jp/case/research/pdf/mhlw_kaigo2016_04.pdf#page=130

  1. 地域包括ケアシステムの中で、薬局は、より質の高い在宅業務に関わることが重要である
    (「質の高い」って具体的に?)
  2. 健康サポート薬局については、保険調剤業務にとどまらず、衛生・医療材料や介護用品等の供給、健康・栄養相談のあり方や医療機関や他職種との連携の仕組みを検討するとともに、研修についても検討する必要がある
    (具体的研修も検討中なのに、制度開始が10月開始というのは早すぎる)
  3. 認知症の疑いのある住民、利用者の発見、患者への対応能力など、薬剤師の認知症に関わるスキルを高める必要がある
    (こういった要件は、調剤報酬における「かかりつけ薬剤師」の研修要件に加えるべきだったのでは)
  4. 特別養護老人ホームをはじめとする施設での服薬の問題により積極的に関わることが必要である
    (「医薬品の配達にとどまらず、より質の高い服薬指導のあり方」ってどんなものになるでしょうね)

 同様な調査は、26年度にも行われていて、報告書がアップされています。

地域包括ケアシステムにおける薬局・薬剤師による薬学的管理及び在宅服薬支援の向上及び効率化のための調査研究
(平成26年度老人保健健康増進等事業)
http://www.mizuho-ir.co.jp/case/research/pdf/mhlw_kaigo2015_05.pdf

  •  在宅医療の現場として他職種が薬剤師に望むこと(→リンク
    (厳しい意見も。ただ、「サービス担当者会議等に出席要請があった場合、積極的に出席してほしい」と言われても、薬局は在宅だけをやっているわけではないからね)

 薬局・薬剤師の地域包括ケアシステムへの参画に向けた論点と提言の部分を見ると、健康サポート薬局の要件づくりに影響を与えたことが伺われます。(→リンク)(薬局規模の拡大が必要っていってるじゃん)

関連情報:TOPICS
  2016.05.18 調剤報酬の「かかりつけ薬剤師」の要件に異議あり
  2016.02.14 健康サポート薬局・施行通知
  2016.02.15 健康サポート薬局に係る研修実施要綱(通知)


2016年05月26日 02:12 投稿

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