健康サポート薬局に係る研修実施要綱(通知)

 これも関連の通知です。同じ「薬局・薬剤師に関する情報」のページにアップされていました。

薬局・薬剤師に関する情報
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakkyoku_yakuzai/index.html

健康サポート薬局に係る研修実施要綱について(通知)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000112484.pdf

 研修内容は次の2つの内容で行われ、修了に当たり、試験等により各項目に定める達成目標に到達していることを確認することが求められます。

内容 研修方法
技能習得型研修 健康サポート薬局の基本理念、患者又は薬局利用者の訴えや状態に合わせた対応及び地域の実情に合わせた多職種連携を適切に実施できる能力の養成を目的とした研修 講義及び演習により行う
演習はグループ討議形式で
行う
(但し、「3.地域包括ケアシステムにおける現状と薬剤師の対応」の研修については、研修受講者は、自らが勤務等する薬局が所在する地域の地域包括ケアシステムに係る研修を受講)
知識習得型研修 地域住民からの相談対応のために必要な、要指導医薬品及び一般用医薬品(以下「要指導医薬品等」という。)や健康食品等に関する知識をはじめ、地域の医療・保健等のサービスに関する知識、地域住民の健康な生活を支援するために必要な知識等の習得を目的とした研修 講義により行う
講義はeラーニングにより行うことができる

 e-ランニングも可能としていますが、地域ごとに事情や仕組みが異なるテーマもあります。果たしてできるんですかね?

技能習得型研修の内容

研修項目 学ぶべき事項 達成目標 時間
健康サポート
薬局の基本理念
 1.健康サポート薬局の概要(理念、各種施策・制度、背景等)
2.健康サポート薬局のあるべき姿に関する演習
 1.健康サポート薬局の社会的な位置付けを説明できる。
2.健康サポート薬局の社会的ニーズを的確に把握でき、健康サポート薬局及び薬剤師のあるべき姿に向けて努力することができる。
 1
薬局利用者の状態把握と対応 1.薬局利用者の相談内容から適切に情報を収集し、状態、状況を把握するための演習
2.薬局利用者の状態、状況に合わせた適切な対応を行うための演習
1.薬局利用者との対話により収集した情報や身体所見などに基づき、薬局利用者の状態、状況を把握することができる。
2.薬局利用者の相談内容から薬局利用者のニーズをくみ取り、解決策を提案することができる。
3.薬局利用者の状態、状況に合わせた適切な対応(かかりつけ医や医療機関への受診勧奨、要指導医薬品等の推奨、生活習慣の改善のための助言、適切な対応先の紹介等)を判断し、実践できる。
4.相談対応後のフォローアップができる。
 4
地域包括ケアシステムにおける多職種連携と薬剤師の対応 1.地域包括ケアシステムにおける当該地域の医療・保健・介護・福祉の資源と役割の現状
2.地域包括ケアシステムの中で健康サポート薬局としての役割を発揮するための各職
種・機関との連携に関する演習
1.地域包括ケアシステムにおける当該地域の医療・保健・介護・福祉の資源と役割の現状について、地域住民の目線でわかりやすく説明できる。
2.薬局利用者から健康の保持・増進に関する相談等を受けた際、適切な職種・機関へ紹介することができる。
3.地域包括ケアシステムの中で各職種・機関と連携した対応を行うことができる。
 3

知識習得型研修の内容

研修項目 学ぶべき事項 達成目標 時間
地域住民の健康維持・増進  1.健康増進施策の概要( 健康日本21 、国民健康・栄養調査の概要等)
2.健康診断の概要(がん検診、特定健康診断を含む。)
3.健康づくりの基準の概要(「健康づくりのための身体活動基準20 13 」、「健康づくりのための睡眠指針2 01 4」、「食生活指針」、「食事バランスガイド」等)
1.健康増進施策の概要について、住民の目線でわかりやすく説明できる。
2.健康診断の概要について、住民の目線でわかりやすく説明できる。
3.健康診断の受診が必要な薬局利用者を発見した際に、適切な対応(かかりつけ医や医療機関への受診勧奨、適切な対応先の紹介)を判断し、実践できる。
4.健康づくりの基準の概要について、住民の目線でわかりやすく説明できる。
 2
要指導医薬品等概説 1.薬局、医薬品販売業及び医療機器販売業並びに医薬品等の取扱いに関する「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確等に関する法律」の規定
2.要指導医薬品等の基本的な薬効群を中心とした代表的な製剤の成分、効能効果、副
作用、用法用量、使用方法(お薬手帳の活用を含む。)等
3.薬局利用者の個々の訴え別に、適切に情報を収集し状態、状況を把握するための知
識(病態生理学、薬理学等)
4.要指導医薬品等に関する情報収集の方法(PMDAメディナビ等)
1.薬局、医薬品販売業及び医療機器販売業並びに医薬品等の取扱いに関する「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の規定について、住民の目線でわかりやすく説明でき、住民の理解を得ることができる。
2.要指導医薬品等の基本的な薬効群を中心とした代表的な製剤の成分、効能効果、副作用、用法用量、使用方法(お薬手帳の活用を含む。)
等について熟知し、地域住民が適切に使用できるように提供・指導できる。
3.要指導医薬品等の重篤な副作用の早期発見や認められた場合の対応について、地域住民にわかりやすく説明できる。
4 . 薬局利用者の状態に合わせた適切な対応(かかりつけ医や医療機関への受診勧奨、要指導医薬品等の推奨、生活習慣の改善のための助言、適切な対応先の紹介等)を判断し、実践できる。
5 . 新しく販売された要指導医薬品等について、住民の目線でわかりやすく説明できる。
 8
健康食品、食品 1.特別用途食品及び保健機能食品並びに機能性表示食品制度の概要
2.健康食品による有害作用並びに食品及び健康食品と医薬品の相互作用
3.健康食品の最新情報
4.健康食品に関する適正使用と情報提供
5.健康食品、食品の情報収集・評価の手法
1.特別用途食品及び保健機能食品並びに機能性表示食品制度について、説明できる。
2.健康食品による有害作用並びに食品及び健康食品と医薬品の相互作用について、地域住民の目線でわかりやすく説明できる。
3.健康食品の最新情報を含め健康食品に関する適正使用と情報提供について、地域住民の目線でわかりやすく説明できる。
4.健康食品、食品の情報収集・評価の手法について、地域住民の目線でわかりやすく説明できる。
 2
禁煙支援 1.喫煙の健康影響(症状、疾患等)
2.薬剤師が行う禁煙支援の方法
3.禁煙の薬物治療
 1.喫煙による健康影響(喫煙による症状、疾病への影響) や医薬品との相互作用を薬学的
な観点から説明できる。
2 .喫煙者に対し、禁煙へ向けた適切な対応(助言による禁煙誘導等)や禁煙支援(禁煙補助剤の適正使用等)を行うことができる。
 2
認知症対策 1.認知症関連施策(認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)等)の概要及び薬
剤師の役割
2.認知症の早期発見・早期対応に関する薬剤師の取組
3.認知症の薬物治療
1.認知症関連施策及び薬剤師の役割を説明できる。
2.認知症の疑いがある薬局利用者を発見した際に、適切な対応( かかりつけ医や医療機関への受診勧奨、適切な対応先の紹介)を判断し、実践できる。
3.認知症の薬物治療について理解し、実践できる。
1
感染対策 1.標準予防策の概要
2.季節ごとに流行する代表的な感染症の病態、感染経路、予防方法
3.流行している感染症情報の収集方法
4.代表的な予防接種の意義と方法
5.代表的な消毒薬の使用方法(用途、使用濃度及び調製時の注意点)
1.標準予防策を実践できる。
2.流行している代表的な感染症の病態、感染経路、予防方法について、住民の目線でわかりやすく説明できる。
3.代表的な予防接種の意義と方法について、住民の目線でわかりやすく説明できる。
4.代表的な消毒薬の使用方法について、住民の目線でわかりやすく説明できる。
1
衛生用品、介護用品等 1.衛生材料・介護用品の製品知識、取扱い方法
2.衛生材料・介護用品に関する情報収集の方法
3.介護保険サービスにおける介護用品の提供方法
 1.衛生材料・介護用品の製品知識、取扱い方法について熟知し、地域住民が適切に使用できるように提供・指導できる。
2.ニーズの高い衛生材料・介護用品について、住民の目線でわかりやすく説明できる。
3.衛生材料・介護用品を必要とする薬局利用者に、適切な対応( 衛生材料・介護用品の供給・提供、適切な行政サービス等の紹介)を判断し、実践できる。
 1
薬物乱用防止 1.依存性のある主な薬物、化学物質( 飲酒含む)の摂取による健康影響
2.覚醒剤、大麻、あへん、指定薬物等の乱用防止に関係する法律の規定
3.薬物等の依存・乱用防止、過量服薬対策や自殺防止における薬剤師の役割
4.地域における精神・福祉・保健センターの役割
1.依存性のある薬物等やその規制について説明することができる
2.薬物乱用、医薬品の不適正使用のおそれ等の相談を受けた際に、適切な対応(地域の支援策や支援の仕組みの説明、適切な行政の支
援事業等の対応先の紹介) を判断し、実践できる。
1
公衆衛生 1.日用品などに含まれる化学物質とその危険性の摂取による健康影響
2.誤飲や誤食による中毒の対応
3.学校薬剤師の位置づけと業務
4.食中毒の原因となる細菌・ウイルス、自然毒、原因物質、症状、対応方法
1.日用品などに含まれる化学物質による健康影響を薬学的な観点から説明できる。
2.日用品に含まれる化学物質の危険性から回避するための方法を住民の目線でわかりやすく説明できる。
3.誤飲や誤食による中毒に対して住民の目線でわかりやすく助言できる。
4.学校薬剤師の役割と活動を説明できる。
5.食中毒の原因となる細菌・ウイルス、自然毒、原因物質、症状、対応方法について、住民の目線でわかりやすく説明できる。
 1
地域包括ケアシステムに
おける先進的
な取組事例
1.地域包括ケアシステムの概要(理念、各種施策・制度、背景等)
2.地域包括ケアシステムにおける先進的な取組の現状
1.地域包括ケアシステム及び地域包括支援センターの役割を地域住民の目線でわかりやすく説明できる。
2.地域包括ケアシステムにおける当該先進的な取組について、地域住民の目線でわかりやすく説明できる。
1
コミュニケーション力の向上 1.来局者への応対、相談対応等の接遇 1.薬や健康に関する気軽で安心できる相談相手として、相談者の気持ちを配慮した対応を行い薬局利用者や地域住民、他職種の人々と良好な信頼関係を築くため、専門職として適切なコミュニケーションがとれる。  1

 これもよく考えられてますね。これも内容的にはもっともだと思いますが、そもそも健康サポート薬局の薬剤師だけではなく、地域薬局に勤務する薬剤師に生涯学習として義務付ける内容ではないでしょうか? 特に「知識習得型研修」は本来なら職能団体が恒常的に生涯学習として提供する内容です。(調剤ありきで、二の次だったしね) 健康サポート薬局になる資格おそらくない私でも、この内容なら喜んで受講しますよ。そして学部教育でも教えるべき内容です。薬科大学もこれらについて、より充実した内容で教育していく必要があるかもしれません。

 まあ、関連ビジネスが始まるということです。雇用創出にいいかも。うまくいけば、役人の天下り先にもなるかもね。

関連情報:TOPICS
 2016.02.03 健康サポート薬局の要件が告示
 2015.12.13 健康サポート薬局は、いったい誰のため? 現在パブコメ実施中
 2015.09.15 健康づくり支援薬局(仮称)のあり方について(報告書案)


2016年02月15日 00:15 投稿

コメントが8つあります

  1. 厚労省も日医を意識して、薬局の現場の現実のこともわからず、サポート薬局の細かい調剤点数の改正のことばかり書いている。
    まあ、あれだけ、机上で細かい点数改正がかけるものだと感心する。
    かかりつけ薬剤師の点数加算制度もそうだ。
    かかりつけ薬剤師の精神は医薬分業(医師の顔色を伺う中途半端な不完全分業だが。)に傾斜して行った時から、点数誘導でする類のものではなく、薬剤師としての社会常識ある基本的な姿勢にある・・・。
    それを細かい点数誘導で持っていかなければならない、薬剤師を取り巻くお粗末な環境に問題がある。まあ、現場は女薬剤師が多いので、それで問題なかったのかもしれないが。
    だから、常に不完全な制度改正がつきまとい、患者のための医薬分業にならない。
    事の本質は健全な医薬分業におけるサポート薬局は新たな制度改正でどうするべきか。
    もっと、現場の現実という地に足をつけて、それに沿ってしっかりとした改正制度を造り上げるべきだ。
    医者の顔色を伺わない、世界常識の完全分業にして、初めて理想のサポート薬局は成り立つ。
    今回の改正でも、枝葉末節なことで弄り倒して、根幹の部分(完全分業)に改正の手を入れようとしない、厚労省や政府のお粗末さに問題がある。
    もう、書きたくはなかったが、あまりにも、付け焼刃的な点数改正をごちゃごちゃ書いて議論しているので、書かずにはいられなかった・・・・。
    最後に院内調剤で後発品を使った場合、点数加算がされるなんて・・・。
    もう、ますます、健全な完全医薬分業から遠ざけている。
    日本は世界の中で医師優遇の非常識国だと、世界の人から笑われても仕方ない。
    そんな歪な非常識国だから、外資、内資、後発などの製薬メーカーが日本の皆保険にたかって来て喰いものにしている。医師への癒着も高めて・・・。
    これなら、医師の顔色を伺って無駄に多い処方薬をOTC薬スイッチ化して、放出したほうがマシだ・・・。まあそうすると、金儲け一辺倒で節操のない守銭奴の大手ドラックストアや大手スーパーなどが、消費者のためのスイッチ薬を大切に育てずに、金儲けのために喰いものにするだけだが。
    まあ、医者も日本の皆保険の処方薬をなんでもかんでも取り込んで、金儲けのために喰いものにしているのと大差はないが・・・・。

  2. 時間がないので簡単に書くが、医薬分業のサポート薬局でかかりつけ薬剤師のあるべき姿を考えるのもいいが、点数誘導ではないOTCスイッチ薬を大幅に増やした中で、金儲け主義だけの経営者に口を挟ませない特権を持たせたOTC薬剤師として、かかりつけ薬剤師のあるべき姿を考えてもいいのではないか。
    後者のほうが、かかりつけ薬剤師として自己責任と消費者に社会的使命の中で、よりかかりつけ薬剤師としてのあるべき姿に近づけると思うが・・・。

  3. 4月からのかかりつけ薬剤師の申請要件は実にふざけている。
    昔、登録販売者の申請要件で実務経験があったが、不正が多発して、挙げ句の果てに、実務経験なしで申請できることになり(おかしな話だ・・・。)、登録販売者が量産されることになった。
    この二つは比べるべきものではないが、厚労省が要請する申請要件は地に足がついていない、実にいい加減そのものだということを、まず、冒頭に言い添えておく。
    かかりつけ薬剤師の申請要件に地域の医療活動に参画した証明書(行政機関や関連団体などの主催講演会や研修会、メーカーはダメ)を4月提出の申請書に添付しなければならないようだ。
    それをチンケな薬剤師はこともあろうが、MRやMSから情報を集めて、それらの研修会に駆け込み出席している。今まで、一度も参加したこともないこれら研修会にだ・・・。
    それも、一度だけの出席証明書添付でOKとのこと・・・。
    地域医療活動に携わっている証を、こんないい加減な証明書添付で承諾するのか、厚労省は・・・。
    そもそも、かかりつけ薬剤師制度そのものにいい加減さを感じる。
    患者のための医薬分業にすることは理解できる。でも、現場の薬剤師は24時間対応した利することなど不可能。また、その患者に勤務表を渡したりすれば、女薬剤師が多いので、ストーカーの温床されることになるだろう。
    患者の負担もかかりつけ薬剤師を持つことによって、負担が増える。
    それによっての費用対効果は十分に見合うのか・・・。
    薬歴は何のためにあるのか。薬局全体がかかりつけ薬局になるために、共有した患者情報をそこでの勤務薬剤師がしっかり持って、患者の服薬指導にあたる。
    そのためにあるのでは。かかりつけ薬剤師になると、その薬剤師にあまりにも負担が大きすぎて、返って、同意をしてくれて、負担まで増やしてくれた患者に迷惑をかけることになる。
    現場の薬剤師は女が多く、パートなど、共稼ぎのための片手間稼業が多い。
    そんな現実をどこまで、厚労省は分かっているのか。
    冒頭に書いたOTCの改正薬事法の時の登録販売者制度の申請要件の時と同じ不完全そのものを、今回のかかりつけ薬剤師に要請して、作ろうとしている。
    このかかりつけ薬剤師制度は、医者の患者に対するいい加減さを尻拭いさせる制度だ。
    それを付け焼刃的に性急に新設させようとしている。
    かかりつけ薬局なら、まだ、少しは理解もできるが、かかりつけ薬剤師は不完全、不健全そのものと言える。
    どうして、厚労省はこんな現場を軽視した制度を新設するのだろうか。その制度の申請要件に不備がボロボロ出てくるのが、わからないのだろうか。
    日医に振り回されている厚労省はバカそのものだ・・。
    世界常識の完全医薬分業にする英断を、厚労省は出してみろ。そうすれば、厚労省を見直すところが出てくる。昔に比べて、厚労省は威厳も何もない。いや、昔はこのような情報公開が進んでいなかったので、昔から本当は厚労省には威厳もなかったのではないだろうか。

  4. 厚労省の出す医療の新制度は、不完全の見切り発車で、いい加減なものが多い。
    登録販売者制度やネット販売での敗訴の時もそうでした。
    エパデールのOTC薬スイッチ化の時でも、日医に圧されて、当然、そうなるべきところのこの薬が、スイッチ薬として体を成さなくなってしまいました。
    これは全て、新制度における前提の幹の部分がしっかり踏まえられず、枝葉の付け焼刃的なところだけを弄っているからです。
    このかかりつけ薬剤師も、不完全医薬分業を前提として枝葉を弄り倒したものとした新設です。いずれ、付け焼刃的なもので、現場の現実に応じて、また、何回も修正してくることになるでしょう。
    それでも、厚労省は平気でなんです・・・・。
    日医と同じ人種で、自分たちほどえらい人種はいないという奢り昂ぶりから来るものです。
    また、本質部分(幹の部分)を軽視して、国民、患者を置いてきぼりにして、強いものや力のあるもの(政治力や経済力のある日医や大手製薬メーカー、関連団体など等)と馴れ合いするところもあります。

    保険薬局で多くの患者の投薬をさばいているところで、真の意味のかかりつけ薬剤師の仕事ができるかどうかです。
    かかりつけ薬剤師は一人の患者さんとじっくり時間をかけて、投薬業務を行わなければなりません。暇な薬局であれば、それもできますが、忙しい薬局ともならば、一人の患者にじっくり時間をかけるなんて、現実的にできるものなのでしょうか。
    地に足つかない形式的なものだけで、かかりつけ薬剤師の新設を推し進めようとしている厚労省のいい加減さに本当に腹が立ちます。

  5. まあ、厚労省のいつものことだが、かかりつけ薬剤師の新設においても、疑義解釈でボロボロ綻びが出ている。
    もう少し、新制度を作る前に正確性と具体性をしっかりと高められないものかと、本当に腹が立つ・・・。
    例えば、かかりつけ薬剤師の申請要件だが、保険薬局勤務経験年数三年以上、現薬局勤務は32時間以上で、6ヶ月勤務以上となっている。
    前者の勤務年数三年以上には直近という表記があったのか。どうも、厚労省の出す申請要件には直近という文字が見当たらないので、過去にさかのぼって保険薬局勤務が三年以上であればいいのか、また、過去との累積年数でも行けるのかと。いろんな解釈をしてしまう。それを申請締め切り間際になって、このような疑義解釈で正確性と具体性を示してきたのはあまりにも無責任だ・・・。
    まあ、常識的に考えれば、過去や累積でかかりつけ薬剤師の資質が備えられるとは思えない。当然、直近の条件が必要だろうと言われそうだが。それでも、実際、申請する薬局では混乱を起こしている。直近、継続性とかいう表記をなぜ、事前にしっかりと入れないのか、厚労省の薬局を軽ろんじた舐めた態度を感じる・・・。
    まあ、厚労省は平気で制度を状況に応じて変えてくる。あのOTCの登録販売者でもそうだ。
    最初は受験要件に実務経験一年以上が要ると言っていたが、実務経験無しの不正受験が横行したため、あとになって、実務経験なしで受験できるようになり、大量の登録販売者を合格させている。
    上述二つは内容が違うと言われれば、その通りかもしれないが、根底には厚労省の通達のいい加減さ、無責任さが出ていることでは共通している。
    薬剤師の国家試験だって、年によって試験の難易度がくるくる大きく変わる。
    今年度は難易度が低かった。それは大手ドラックなどの業界の要望等にも応えたものではないだろうか。それと、薬剤師不足の解消策でもあったのでは。
    でも、薬学生にとっては年毎の薬剤師国家試験の難易度が変わることで、不平等性を生んでいる。試験というものは毎年、同じ程度の難易度で実施するべきではないだろうか。
    まあ、これは医師や歯科医師にも言えることだが。まあ、医師や歯科医師の方がより社会的影響も大きいので、国家試験の難易度の変化は社会への罪悪だが・・・。
    冒頭の話に戻るが、かかりつけ薬剤師の申請要件のもうひとつの問題では、地域医療活動の証明添付も混乱をきたしている。その証明の中身の曖昧さだ。チンケな薬剤師はしかるべきところ(厚労省や厚生局など)からしっかりその確認をせずして、卸やメーカーなどから情報をとって、ピント外れの研修会に駆け込んでいる。それで、かかりつけ薬剤師の許可が降りない現実がたくさん出ている。
    こういう混乱も、厚労省は事前に予測できたのではないだろうか。
    国民の酷税や高い保険料で皆保険を維持しているのであるなら(中身は放漫経営で財政難となり火の車)、厚労省は、患者治療そっちのけの利益追求団体(守銭奴幹部連中の医者ども)などに媚を売らず、完全医薬分業やOTCのスイッチ薬化に本腰を入れるべきだ。

  6. かかりつけ薬剤師制度・・・・。
    これは薬剤師の資質の問題、そして、点数誘導だけで普及定着させようとするところに無理がある。
    厚労省は机上の理論だけで考えるところがあり、責任感の自覚は低い。
    制度の新設を取り敢えず行い、そこに不具合が出れば修正を行う。
    厚労省には、そういう、無責任体質が常にある。そして、医師には気を遣い、医療制度も横並びで検討し、薬剤師には上から目線で押し付けてくる。
    かかりつけ薬剤師も、医療業界におけるパワーバランスの歪の一現象ではないだろうか。
    冒頭から抽象的な話になったが、かかりつけ薬剤師制度は患者から見れば、それほどメリットはない。薬剤師が従来業務に自覚責任を高めて行えばいいことで、わざわざ、かかりつけ薬剤師という新設を設ける必要性は感じられない。
    ましてや、それに加算して負担を増額させること(若干にしても)が、医療の費用対効果から適正なものかどうかというところに疑問が残る。
    生活保護者などから、かかりつけ薬剤師点数を取るなんてもってのほかだ。
    上述のようなことを考えると、日刊ゲンダイの記事には頷けるところもある。

    かかりつけ薬剤師制度を安易に募って、大手ドラックストアは金儲けの手段にしている・・・。まあ、医師や歯科医師などは貴重な医療財源の適正な再配分を軽視して、あくどい方法で皆保険を喰いものにしているのに比べれば、まだ、この大手ドラックストアのやっていることは可愛らしい次元のものだろうが・・・。
    かかりつけ薬剤師を世間から理解を得るためには、貴重な医療財源の費用対効果の観点から適正なものだという客観的な評価が必要だろう・・・。
    新設なので、これからのかかりつけ薬剤師の成果を見ていく必要があり、今、とやかく言って潰してしまうこともないように思うが・・・。

  7. まあ、薬剤師の中には自分の文章力に酔いしれて回りくどいことを書く人がいるが、それがピントをぼやかしていることに気がついているのだろうか・・。
    日本社会では、現実、医師よりは薬剤師ははるかに社会的地位が下に見られているので、薬剤師が理屈っぽいことを言うと、余計に医者は薬剤師の頭を抑えたくなるようだ・・・。その程度の日本医療人の次元の低さに情けなさを覚える・・・。
    世界の医療人の社会常識からすれば、日本は歪で不健全そのものなのだろうな・・・。

  8. かかりつけ薬剤師の申請要件は確かに、その資質を問うという意味では大切かもしれない。
    でも、本質的に重要なところは薬剤師がその患者の病気を共有出来るかどうかだ。
    それは医者にも言えることだが・・・・。
    糖尿病、高血圧、不眠症など等・・、医者や薬剤師もそういう病気を持っていなければ、真の意味での患者の服薬感情は理解できないだろう。
    そこまでは無理としても、少なくとも、患者という当事者に医者や薬剤師などがどれだけ寄り添えることができるかどうかだ・・・・。
    健康で金儲けだけを考えている不誠実な医者や薬剤師には患者の服薬時の気持ちはわからないだろう。
    そんな医者や薬剤師ではいくら要件を満たしていても、決して、真のかかりつけにはなれない。
    まあ、上述は現実的には難しいことだが・・・・。