平成28年改定・疑義解釈資料の送付について(その3)(厚労省)

 第3弾が厚労省の「平成28年度診療報酬改定について」のページアップされました。例のかかりつけ薬剤師の要件が出ています。

平成28年度診療報酬改定について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106421.html

疑義解釈資料の送付について(その2)(事務連絡平成28年5月19日)
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=355487&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000124651.pdf

【かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料】
(問1)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準である、「医療に係る地域活動の取組に参画していること」について、どのように考えればよいか。

(答)「医療に係る地域活動の取組に参画していること」の要件についての考え方は、次のような活動に主体的・継続的に参画していることである。

  • 地域包括ケアシステムの構築に向けた、地域住民を含む、地域における総合的なチーム医療・介護の活動であること。
  • 地域において人のつながりがあり、顔の見える関係が築けるような活動である
    こと。

具体的には、地域における医療・介護等に関する研修会等へ主体的・継続的に参加する事例として以下のようなことが考えられる。

  1. 地域ケア会議など地域で多職種が連携し、定期的に継続して行われている医療・介護に関する会議への主体的・継続的な参加
  2. 地域の行政機関や医療・介護関係団体等(都道府県や郡市町村の医師会、歯科医師会及び薬剤師会並びに地域住民に対して研修会等サービスを提供しているその他の団体等)が主催する住民への研修会等への主体的・継続的な参加

(問2)上記の活動のほかに、「医療に係る地域活動の取組に参画していること」に該当するものはあるのか。

(答)本来の地域活動の取組としては、上記のような考え方に基づく活動に薬局の薬剤師として積極的に参画することが求められるが、以下のような事例も当面の間は要件に該当すると考えられる。なお、薬局として対応している場合は、届出に係る薬剤師が関与していることが必要である。

  • 行政機関や学校等の依頼に基づく医療に係る地域活動(薬と健康の週間、薬物乱用防止活動、注射針の回収など)への主体的・継続的な参画(ただし、薬局内でのポスター掲示や啓発資材の設置のみでは要件を満たしているとはいえな
    い。)
  • 行政機関や地域医師会、歯科医師会、薬剤師会の協力のもとで実施している休日夜間薬局としての対応、休日夜間診療所への派遣・委嘱を受けて行う学校薬剤師の業務等

(問3)上記の考え方を受けて、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準に適合していたが、本年4月には施設基準の届出を受理されていない又は届け出ていなかった保険薬局について、本年5月以降のかかりつけ薬剤師指導料等の算定の取扱いはどのようになるのか。

(答)今回示した考え方により、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準に適合する場合には、施設基準を届け出ることで、かかりつけ薬剤師指導料等の算定は可能である(それに伴い、基準調剤加算の施設基準に適合する場合も同じ)。また、本年5月に届出を行った場合は、届出受理日から算定することは差し支えない(ただし、6月以降に届出を行った場合については、通常どおり、届出日の属する月の翌月1日から算定する取扱いとなる)。

 また「地域包括ケアシステム」ですか。まだまだ抽象的で、何だかなあという印象です。

 結局、薬局としての取組も認めちゃうんですね。絶対おかしい。休日夜間当番や注射針の取組は、どこの地域でも行っているわけではありません。そういう地域で勤務していない薬剤師はどうするんですか?

 一応、「薬局として対応している場合は、届出に係る薬剤師が関与していることが必要である」となっていますが、地域活動の要件は、私は個人ではなく、基準調剤加算の要件で対応すべきだと思います。

 「地域の行政機関や医療・介護関係団体等(都道府県や郡市町村の医師会、歯科医師会及び薬剤師会並びに地域住民に対して研修会等サービスを提供しているその他の団体等)が主催する住民への研修会等への主体的・継続的な参加」というのも極めてあいまいですね。薬剤師会に入っていない、チェーン薬局の救済措置の臭いがプンプンする(表現が悪くてすみません)

 まあ、地域に目を向けないチェーンが困るように、この要件を入れたんでしょうが、「在宅は何とかクリアしたのに、これじゃ、基準調剤加算もとれないじゃないか」という声に押されて、薬剤師会が厚生局に懇願したんでしょうね。こんな解釈を引き出すんだったら、この要件の廃止を求めた方がいいですよ。もともと、医薬分業の正当化に作られた制度なんだから。制度設計自体も無理がある。(→TOPICS 2016.05.18

関連記事:
かかりつけ薬剤師、「地域活動」判断で混乱‐疑義解釈第3弾で明確化へ-北海道薬学大会
(薬事日報  2016.05.18)
http://www.pharmacist-magazine.com/news/article/1385.html
地域活動は地域の人のため。薬局・厚生局のためではない。
(ライター薬剤師の黒いブログ!! 2016.05.18)
http://tkcnr.jp/blog-entry-895.html

関連情報:TOPICS
  2016.05.18 調剤報酬の「かかりつけ薬剤師」の要件に異議あり


2016年05月19日 12:59 投稿

コメントが3つあります

  1. アポネット 小嶋

    上記記事の赤字の部分がどうもすっきりしないと思っていましたら、狭間先生のブログを見て、こういうのが該当するんだと納得しました。これなら学校薬剤師になりたくてもなれない、地域での取り組みがない、薬剤師会に入らない薬局に勤務している薬剤師の方でも大丈夫かもしれません。

    薬剤師の地域活動への取り組み
    (Hazamakenji.com 2016.05.19)
    http://www.hazamakenji.com/2016/05/19/%E8%96%AC%E5%89%A4%E5%B8%AB%E3%81%AE%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E6%B4%BB%E5%8B%95%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%8F%96%E3%82%8A%E7%B5%84%E3%81%BF/

    やっていること自体は素晴らしい取り組みだと思うのですが。これを地域活動に該当するかどうかとなると、これまでの経緯から考えると微妙なところです。

    それよりも、このタイミングでこの記事がアップされたことと、この取り組みに申し合わせたかのような疑義解釈の事例が示されたことにはちょっといやな気分です。

  2. アポネット 小嶋

    関連ブログです

  3. アポネット 小嶋

    これもブログ記事です。

    「当面の間」という部分に着目しています。(気づかなかった)
    現場の声に押されて、「今回だけは」という意味かもしれません。