健康サポート薬局の要件はどのように決められたか(Update)

 今年から急遽制度化された、かかりつけ薬剤師制度と健康サポート薬局ですが、どのような経緯で制度化され、どのようにその要件が決まっていったかがわかる厚生労働科学研究です。

厚生労働科学研究成果データベース
http://mhlw-grants.niph.go.jp/

薬剤師が担うチーム医療と地域医療の調査とアウトカムの評価研究(H27年度総合)
http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201523012B

 この研究は平成25年から27年に行われ、各年度では下記のような内容での研究が行われています

年度 研究テーマ 研究内容・手順
H25年度研究(→リンク 「薬局の求められる機能とあるべき姿」のとりまとめ
  • 薬局業務運営GL(H5厚労省→リンク)、在宅療養推進アクションプラン(H23日薬→リンク)、厚労省や日薬から出された通知や調査研究報告研究結果を踏まえて、基準案を作成
  • 日薬等の協力で、全国の薬剤師会会長等の役職者を抽出し、有識者へのヒアリング調査を実施
  • 基準案を日本医療薬学会ホームページに掲載し、パブリックコメントを実施
  • 確定版をH26.1に公表(→リンク
  • 「患者のための薬局ビジョン」(平成27年10月23日)で参照された(→リンク
H26年度研究(→リンク 「薬局の求められる機能とあるべき姿」の報告書に基づき、健康情報拠点として考えられる役割、機能の検討
  • 日本薬剤師会のセルフメディケーション・サポート薬局(969 件)及び保険調剤・サポート薬局(1,023 件)の計1,982 件を母集団として、計1,000 件(セルフメディケーション500 件、保険調剤500 件)を無作為抽出して自記式アンケート調査を実施。(回収率50.0%:調査用紙は下記)
  • 「薬局の求められる機能とあるべき姿」とこの調査結果を踏まえ、分担研究班の全体会議を6回開催し、具体的に求められる機能を検討した。
  • このまとめ(ファイル7)をみると、健康サポート薬局の要件のたたき台になっていた(第5回 健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会・健康づくり支援薬局(仮称)に関する要件について→リンク 関連記事→リンク
 H27年度研究
(→リンク
健康サポート薬局に係る研修のための研究
(健康サポート薬局に係る研修内容および第三者確認の方法の検討)
  •  「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」において、「健康サポート薬局の要件となる健康サポートに取り組む薬剤師の研修(以下「健康サポート研修」という。)の専門性や客観性、公平性を確保するためには、第三者による確認が必要」との意見がまとめられた。
  • これを踏まえて、小グループ会議、メール会議、電話会議を適宜開催し、研修内容及び第三者確認の方法について、検討を行った。
  • 報告は、厚生労働省医薬・生活衛生局から「健康サポート薬局に係る研修実施要綱について」(平成28年2月12日薬生発0212第8号)と「健康サポート 薬局に係る研修の第三者確認の実施機関について」(平成28年3月15日薬生総発0315第1号)として公表され、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び 安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成28年厚生労働省令第19号)で定める健康サポート薬局の施策に反映されることとなった。

H26年度研究で行われたアンケート

 「薬局の求められる機能とあるべき姿」(→リンクというと、H26年度改定の議論の中で突如として登場し、調剤報酬や現在までのさまざまな制度化に大きな影響を残している報告書です。

 TOPICS 2015.03.11 で、「こんなことは10年以上前から言われていることじゃん。どうして今まで改善できなかったんですか?」「薬局の求められる機能とあるべき姿についても、現場には目指そうと思ってもできない状況もあることを厚労省はどれだけ把握しているんだろうと思う事があります」と指摘しましたが、今回のどのような経緯でこれが策定されたかをこの研究で見て、どれだけ現場の状況を把握を把握し、現場の薬剤師の生の声を吸い上げて策定したのかを改めて疑問に思いました。(日本医療薬学会ホームページを通じてパブコメを行っていた何て知らなかった)

 さらに、H26度研究では、アンケート(結果詳細はリンク先を参考にして下さい。ここであの忌まわしい「地域活動」が出てきています。本来はこういう意味だったのでしょうか?)を行ったのですが、上記をみてのとおり、質問の回答は「ある」「なし」というものだけで、なぜできないのかという理由などを求めていません。この結果を元に、どういうプロセスで今回の健康サポートの要件づくりのたたき台となったのか、正直言って疑問でなりません。

 厚労省の役人が知恵を絞って作られたものだと思っていた、分業バッシングで苦し紛れに示された「患者のための薬局ビジョン」と「かかりつけ薬剤師制度」、「健康サポート薬局」の概念と要件は、実は外部に丸投げで、一部の研究者によってまとめられたものが事実上そのまま国の施策になっているのです。

 もちろん手順として正しいとは思います。ただ大きな政策転換をするのであれば、理想論を示すだけではなく、今どのような現状や課題があるかについても示す必要もあったのではないでしょうか?(たばこの販売禁止なども本来は要件にいれるべきだよな)

 大きな政策を決めるうえで、今回の調査研究が不十分で、内容不足であることは否めないと思います。パブコメで寄せられた意見もほとんど無視(TOPICS 2016.02.03)され、決め方として適切だったかどうか改めて思いました。

  厚生労働科学研究恐るべしです。

 現場の声が反映されていないという声があったかどうかはわかりませんが、前記事で示しましたが、H27年度厚生労働科学研究で初めて、現場の実態調査が行われています(→TOPICS 2016.06.23)。本来ならば、こういった調査は、健康サポート薬局の制度化の前に行うべきだったと思っています。

今回の「かかりつけ薬剤師制度」「健康サポート薬局」に疑問がある人は、是非この厚生労働科学研究をみて下さい。

この記事をアップ後に次のような、ブログ記事がありました。少し引用させていただきます。

かかりつけ薬剤師制度勉強会
(みゃんこがゆく!! 2016.06.24)
http://myankoblog.seesaa.net/article/439339237.html

今 日本の制度は、その決めている人の選択からして すべてが公平なわけでもないし、かといってものすごく無謀なくつくられているから、暫定的に決まった制度と考えれば それを生かすもつぶすも国民次第なのだろうと思う。

だから 今回の 薬機法改訂での かかりつけ薬剤師制度と健康サポート薬局の制度は重要と考えて 国民の間で議論しながら活用してゆく必要がある。単に 薬剤師や薬局の生き残り施策ではないのだろうと思う。

何をするか 何ができるか 国民的議論のもと展開したい施策である

考えさせられます

関連情報:TOPICS
 2016.02.15 健康サポート薬局に係る研修実施要綱(通知)
 2016.02.14 健康サポート薬局・施行通知ICS
 2016.02.03 健康サポート薬局の要件が告示
 2015.12.13 健康サポート薬局は、いったい誰のため? 現在パブコメ実施中
 2015.09.15 健康づくり支援薬局(仮称)のあり方について(報告書案)
 2015.09.01 一般用医薬品の中分類って?
 2015.08.26 健康づくり支援薬局(仮称)の要件(案)が示される
 2015.07.03 健康づくり支援薬局(仮称)の要件(検討会論点)
 2015.06.19 「かかりつけ薬局」=「健康情報拠点薬局」ではない
 2015.05.27 「患者のための薬局ビジョン」策定の重み
 2015.05.24 厚労省の「かかりつけ薬局」推進の本気度は疑わしい?
 2015.03.11 「医薬分業」公開ディスカッションを前に思う事

6月24日 14:15追記


2016年06月24日 00:47 投稿

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