「かかりつけ薬局」=「健康情報拠点薬局」ではない(Update)

 紹介が遅れましたが、「患者のための薬局ビジョン」策定がらみ(TOPICS 2015.05.27)で、下記の検討会が始まっています。

健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-iyaku.html?tid=275402

 4日に第1回の検討会があり、厚労省からこれまでの経緯等についての説明があり、下記のような検討事項と今後の議論の進め方が示されました。

 上記の検討事項についてのさまざまな意見が構成員から寄せられています。

第1回 健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」における健康情報拠点薬局(仮称)の定義及び基準に関する各構成員からのご意見(第2回検討会資料)

 そして、18日に行われた検討会では、上記の意見を踏まえて(?)、下記のようなイメージが示されています。

つまり、かかりつけ薬局に付加的機能があるものが、健康情報拠点薬局と想定しているようです。

 また、健康サポート機能については、下記のようなことを担うべきとしています。

 そして、定義として次のようなを示していますが示され、構成員から了承を得たそうです。

ただ、各紙などによると、医師会の構成員から、ファーストアクセスという文言や健康情報拠点が薬局であることに疑問を投げかける意見も示された(→ツイートリンク)ようです。

 仕方ないのかもしれませんが、やはり、医師会の方々は、保健医療に関しては何でも自分たちが中心でなければいけないという意識があるようです。

 私も拠点という言葉には少し違和感があるので、別のものに変えた方がいいとは思いますが、こういった理想の拠点薬局をつくっても、厚労省がどこまで、サポートや国民へのアピールをしてくれるのかなとも思いました。
 
英国では、薬局は「地域住民のファーストアクセスの場」になり得るとして、NHSでも国民に啓発しています。

What your pharmacist can help with
(NHS Choices)
http://www.nhs.uk/livewell/pharmacy/pages/yourpharmacy.aspx

 今回の拠点づくりは、薬局のあるべき姿に間違いはありませんが、この理想の実現が可能なのかどうかとなると、調剤実務に時間が割かれる現場の状況を見ると、さまざまなハードルがあるような気もします。

 そして、薬局の使い分け(調剤は調剤薬局、OTCはドラッグでセルフ購入)という生活者のイメージが根付いた状況で、どこまで生活者の理解が得られるかどうかというのも大きな課題です。

健康情報拠点薬局
(COML のブログ 2015.06.04)
http://coml-blog.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-fe6d.html

“健康情報拠点”としての薬局の使命
―セルフメディケーション支援で地域医療に貢献―
(医薬ジャーナル 2014年7月号 Vol.50 No.7)
https://www.iyaku-j.com/iyakuj/system/dc8/index.php?trgid=28577

参考:
健康情報拠点薬局、住民の健康相談窓口に-厚労省の検討会
(CBニュース 2015.06.18)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/45988.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150618-00000002-cbn-soci

健康情報拠点薬局検討会 定義を了承、日医委員は薬剤師に「覚悟」
(RISFAX 2015.06.19)
http://www.risfax.co.jp/risfax/article.php?id=48045

かかりつけ薬局に優れた健康サポート機能を
健康情報拠点薬局(仮称)の定義固まる
(m3.com 医療維新 2015.06.19)
https://www.m3.com/news/iryoishin/332069

健康情報拠点薬局の定義でおおむね合意
「健康サポート機能」を有する「かかりつけ薬局」との考えに
(日経DI 2015.06.22)
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/trend/201506/542719.html

関連情報:TOPICS
  2015.05.27 「患者のための薬局ビジョン」策定の重み
  2015.05.24 厚労省の「かかりつけ薬局」推進の本気度は疑わしい?
  2015.03.11 「医薬分業」公開ディスカッションを前に思う事
  2015.01.02 新年雑感
  2012.10.07 薬局の起源と100年間での変遷(FIP)
  2010.05.08 公衆衛生分野における薬剤師活動の認知度と期待度(英国)
  2008.04.05 薬剤師はさらなる役割を担うべき(英国)

6月19日 9:45更新 21:00、6月22日0:50 リンク追加


2015年06月19日 01:38 投稿

コメントが2つあります

  1. 第2回検討会を傍聴しました。
    厚労省の説明では、図はあくまでも模式的なもので、健康情報拠点の役割がかかりつけ薬局の機能に含まれないわけではないと言っていました。
    つまり健康サポート機能はかかりつけ薬局の機能の一つである、ということでした。

    そのなかで特にすぐれた健康サポート機能を有するものを認証、公表していく方針のようです。

  2. アポネット 小嶋

    第3回検討会の資料がアップされました。

    名称が健康づくり支援薬局になるようですね。(この名称も確定じゃないけど)

    今回は具体的な要件について検討が行われているようです。

    第3回健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会
    http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000090378.html

    健康づくり支援薬局(仮称)に関するこれまでの議論の整理について
    http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/siryou1_1.pdf

    健康づくり支援薬局(仮称)の要件について(参考資料)
    http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/sankou3.pdf