イレッサ声明文案、国が3学会に提供

 イレッサ訴訟をめぐって医学会などが出した声明についての案を厚生労働省が作成したとされる問題(TOPICS 2011.02.24)で、厚労省は24日内部調査の結果を公表し、声明案が3学会に提供されていたことが確認されたそうです。

イレッサ訴訟問題検証チーム調査報告書について
(厚労省2011年5月24日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001dblf.html

 報告書によれば、厚労省はイレッサ訴訟に対して見解の表明を働きかけを5学会(1学会は見解表明を期待)に行い、日本医学会など3学会(資料のC学会が日本医学会と読み取れる。D・F学会は?)については声明文案を提供したことを確認したそうですが、それぞれがどの学会であったかは明らかにしていません。(日病薬にも要請があったとも読み取れる。もし事実なら、日病薬は今回の公表について見解を示して欲しいな。)

  厚労省では、同省の職員が、複数の学会・個人に対して、関連資料や自ら作成した声明文案を提供するなどして、受諾に慎重な見解の表明を要請したという事実を認める一方で、「学会等に見解の公表を求めることは、国民に対し、多様な意見が存在することを示し、かつ、厚生労働省の従前の施策に対する信頼感を高めようとするもので、通常の職務の執行の範囲内である」との考えを示し、和解勧告の受け入れに積極的なメディア対策として、「やれることは何でもやる」との局内の方針に基づいたものだとしています。(医療介護CBニュースより)

 ただ、本来独自に作成するべき声明文案まで提供するのは、過剰なサービスであり、一公務員としては行き過ぎた行為であったといわざるを得ないとしています。

 今回の報告書を受け、イレッサ訴訟の弁護団は声明を発表し、「調査報告書には、厚労省が国民全体の利益を守るべき公共の立場にあるという視点が欠落しており、また、本件訴訟があたかもがん患者全体の利益に反するかのような世論誘導を行い、被害者である原告に二重の苦しみを与えたことに対する反省は全く見られない。そして、行われた調査も全く不十分であり、本件の全容解明にはほど遠いと言わざるを得ない。」として、調査対象の実名公表、原資料の公開、各学会の意思形成過程や厚労省の働きかけの具体的内容の調査・公表などを求めています。

いわゆる『下書き』提供問題調査報告書に対する声明
(薬害イレッサ弁護団 2011年5月24日)
http://iressabengodan.com/topics/2011/000191.html

関連情報:TOPICS 2011.02.24 医学会イレッサ声明文、国が声明文案を提供

参考:
医療介護CBニュース5月24日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/34306.html
毎日新聞5月24日
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110525k0000m010084000c.html


2011年05月25日 11:48 投稿

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