PTP包装シートの誤飲は一包化だけで防げるか?

 独立行政法人国民生活センターは15日、薬の服用の際、錠剤やカプセルと一緒にPTP包装を誤飲し、喉や食道など傷つける事故が高齢者に目立つとして、消費者にはさみなどで1錠ずるに切ることを避けることなどを呼びかける報告書を発表しています。

注意!高齢者に目立つ薬の包装シートの誤飲事故
-飲み込んだPTP包装が喉や食道などを傷つけるおそれも-
(国民生活センター2010年9月15日)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20100915_1.html

 国民生活センターの発表を受け、都道府県などのの衛生主管部長宛に、医療機関や薬局への注意喚起及び周知徹底を依頼する通知を行っています。

PTP包装シート誤飲防止対策について
(厚労省プレスリリース2010年9月15日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000rwgy.html

PTP包装シート誤飲防止対策について

(医療機関及び薬局への注意喚起及び周知徹底依頼)

 医薬品のPTP包装シートについて、医薬品を包装シートから押し出すことなく服用した場合、喉や食道などを傷つけるおそれがある旨、「注意!高齢者に目立つ薬の包装シートの誤飲事故」(平成22 年9月15 日付独立行政法人国民生活センター報告書。別添1。http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20100915_1.html)において指摘されています。

 つきましては、このようなPTP包装シートの誤飲を防ぐため、下記の留意事項について、貴管下の医療機関及び薬局への周知方よろしくお願いします。

 なお、PTP包装シートの包装・表示等の技術的な改善等については、別添2のとお
り、日本製薬団体連合会等に依頼したことを申し添えます。

  1. PTP包装シートには誤飲防止のため、1つずつに切り離せないよう、あえて横又は縦の一方向のみにミシン目が入っていることから、調剤・与薬時等に不必要にハサミなどで1つずつに切り離さないよう留意すること。
  2. 患者及び家族等に、可能な限り1つずつに切り離さずに保管し、服薬時にはPTP包装シートから薬剤を押し出して薬剤のみを服用するよう、必要に応じて指導すること。特に、調剤・与薬時に薬剤数に端数が生じ、やむを得ず、1つに切り離して調剤・与薬を行う場合には、PTP包装シートの誤飲がないよう、十分指導すること。
     また、高齢者、誤飲の可能性のある患者及び自ら医薬品の管理が困難と思われる患者に対しては、家族等介護者に対して注意喚起(内服時の見守り等)を行うこと。
  3. 高齢者、誤飲の可能性のある患者及び自ら医薬品の管理が困難と思われる患者については、必要に応じて一包化による処方を検討すること。なお、薬局においても一包化による調剤の対象となるかどうかを検討し、必要に応じて処方医に照会の上、一包化による調剤を実施すること。

 同センターの報告書にもあるように、1990年代半ばまではPTP包装は1錠づつ切り離される構造だったため、過去にも同様の報告が少なくありませんでした。その後、製薬メーカーも1つずつに切り離せないよう、PTPを横又は縦の一方向のみにミシン目にしたのですが、結局患者やその家族が服用時点ごとに整理するために1錠づつに切り離したため、こういった事故は後を絶たないようです。

 そこで私たちに今回改めて注意喚起が行われたわけですが、保管上の管理についての指導を行うことは限界があります。

 私も、1錠づつに切り離すことはやはり高齢者でなくとも、うっかりPTP包装ごと飲んでしまうという危険性はあると思います。

 また、切り離すことを避ける必要があるというのなら、100円ショップなどで売られている薬の整理BOXなども販売規制することも必要ですね。

 一方、一包化すれば確かに解決するかもしれませんが、コストと手間を考えたらそうそうできるわけではありません。

 切り離さなくてもすむには、例えば10錠や30錠などにいわゆる箱出し調剤にする(調剤の方法そのものを変える)とか、可能な限り1回に飲む種類を減らす(合剤の利用)、さらには不必要なくすりの処方をできるだけ少なくするなど、服用時点ごとに薬を整理しなくても済むようにするといった対策も必要ではないでしょうか。

 「高齢者、誤飲の可能性のある患者及び自ら医薬品の管理が困難と思われる患者については、必要に応じて一包化による処方を検討すること。」と記されているということは、今後はこういった理由での一包化調剤を行った場合、一包化加算の算定の対象としてよいということなのでしょうかね。


2010年09月16日 00:12 投稿

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