国民生活センター、α-リポ酸の調査結果を公表

 国民生活センターはこのほど、α-リポ酸を含む健康食品についての調査結果をまとめて報告しています。

α-リポ酸を含む「健康食品」−販売の実態調査も含めて−(国民生活センター9月18日公表)
 http://www.kokusen.go.jp/test/data/s_test/n-20080918_2.html

 皆さんもご存知かと思いますが、α-リポ酸は正式には“チオクト酸”といい、日本では注射剤(チオクト酸)、内服剤(チオクト酸アミド)として、激しい肉体労働時のチオクト酸の補給などの効能・効果で、日本では医療用医薬品としても発売されています。

 そして、2004年にいわゆる食薬区分の変更に伴って、健康食品として販売することが可能になってから、ダイエットや老化予防などを期待して広く使われていることは皆さんもご存知の通りです。

 同センターではこのほど、このα-リポ酸を含む「健康食品」17銘柄について、α-リポ酸の含有量、胃の中での溶けやすさ、表示等について調べるとともに、販売実態等を調査した結果を発表しています。

 これらα-リポ酸を含む健康食品は、一日摂取目安量が設定されていないこともあり、多くの銘柄で1日摂取推奨量を100〜200mgに設定されいますが、同センターでは経口摂取による吸収率(20〜30%)を考慮しても、医療用の用法・用量(注射剤:1日1回10〜25mg、内服剤:チオクト酸アミドとして1日10〜60mg)を超える摂取になっていると指摘しています。

 同センターでは、α-リポ酸を含む「健康食品」を過剰に摂取しないようにしよう呼びかけるとともに、関係機関に対して科学的根拠に基づく安全な一日摂取目安量を設定や製品の溶けやすさの改善を求めるなどの要望を行っています。

報告書全文:http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20080918_2.pdf

 こういった、医薬品としての使用量より健康食品としての推奨量が多いといった事例には、コエンザイムQ10(ユビデカレノン)が有名ですが、コエンザイムQ10については、今回と同様の指摘を受け、内閣府食品安全委員会が健康影響評価をまとめています。

コエンザイムQ10を含む食品の取扱いについて
(厚生労働省医薬食品局食品安全部通知 食安新発第0823001号 2006年8月23日)
 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/dl/16.pdf

 α-リポ酸についても、おそらく同様の対応がとられるものと思いますが、同センターの報告書にもあるように、通常の食生活から摂取される量はごくわずか(ホウレンソウ100g中のα-リポ酸はおよそ0.024mg)であり、このように特定の成分だけを取り出して摂取することが、本当に体にとって有用なものなのかどうかは疑問が残るところです。

関連情報:TOPICS 2008.08.08 国民生活センター、グルコサミン等の調査結果を公表

参考:毎日新聞10月2日
 http://mainichi.jp/life/housing/news/20081002ddm013100155000c.html


2008年10月02日 10:29 投稿

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