小児に咳止め薬は使用すべきでない(フランス)

 まいけるさんから情報(TOPICS 2010.05.02)を頂きましたが、フランス当局のafssapsは10月28日、小児への咳止め薬の使用についての更新情報を公表し、2歳未満への使用を行わないなどとした勧告(2011年3月までに実施)を行っています。(全てフランス語の情報で、翻訳サイトなどを駆使してまとめました。誤り等ございましたらご指摘下さい)

Nouvelles modalités de prise en charge de la toux chez le nourrisson (enfant de moins de 2 ans) – Point d’information(afssaps 2010.10.28)

 リーフレットなどでは、咳反射が咳止め薬によって妨げられるとして、2歳未満の小児に薬剤師または医師のアドバイスなしに与えないで下さいなどと記されています。

一般向けリーフレット(2010.11.9)

Q&A(2010.11.9 2011.03.15)(→Google翻訳/テキスト化

ポスター・右イラスト(2010.11.9)

 レビューでは、2歳未満への第一世代抗ヒスタミン剤は呼吸抑制やけいれんの発症に関連付けられるとした他、30ヶ月未満児への terpéniques (カンフル・メントール類?)の使用も潜在的なリスクがあるとしています。

Prise en charge de la toux aiguë chez le nourrisson de moins de deux ans – Mise au point(afssaps 2010.10.28)

Prise en charge de la toux aiguë chez le nourrisson de moins de deux ans(affsaps 2010.10.27・レビューPDFファイル)(→Google翻訳/テキスト化

 要は、2歳未満への咳止め薬(去痰薬・抗ヒスタミン剤・terpéniquesなど)は原則として使用すべきでないとした勧告です。

 英語圏だけと言われていた小児用咳止め薬の使用制限は、フランス語圏さらには欧州全体にも広がっていくのでしょうか。(カナダもフランス語が公用語だったけど)

関連情報:TOPICS
  2010.05.02 2歳未満に去痰薬は推奨できない(フランス)
  2010.11.18 薬害オン会議、OTC小児用かぜ薬等に関する要望書を提出

参考:
Vers la contre-indication de certains médicaments destinés à traiter la toux chez le nourrisson(Le Parisien 2010.10.29)

2011年7月29日 リンク再設定


2010年11月21日 02:22 投稿

コメントが2つあります

  1.  英語圏での咳止め薬の使用制限は、コデインの乱用問題に重点がありました。 フランスのこれは、「小児科医の常識」が強く押し出されたもののようです。 
     日本の友人(小児科の勤務医)に聞いても、嬰児に薬を飲ませるな、という固い意見が返ってきます。 
     フランス当局の措置は、さらに欧州医薬品庁(EMA)の論議を待つ部分があるとされており、来年3月までの実施がどうなるかは、さらに注目かもしれません。(ケトプロフェンの例に倣うこととなるのか、或いはブフェキサマクの例に倣うこととなるのか?)

  2. アポネット 小嶋

    今回はOTC医薬品だけではなく、医師の処方も含めて小児への咳止め薬は処方しないということのようですね。

    4月の乳児への去痰薬の使用禁止に加え、乳児への第一世代のH1ブロッカー配合シロップの使用禁止、fenspiride(フェノチアジン系抗ヒスタミン薬みたいですね)とテルペン誘導体の30ヶ月未満児への使用禁止、オピオイド系薬剤(コデインも含まれるんでしょうね)の乳児への使用禁止の他、1歳未満へのハチミツでの対応は勧奨できないとしていますね。

    また、喘息児以外への気管支拡張吸入薬の使用も推奨していないようですね。

    一方で、生理食塩水による清浄や家庭内での禁煙、19~20℃に室温を調節することを勧奨していますね。

    日本では、対症療法を含めて薬を処方しないという小児科医は少数派ですが、今回の勧告が小児科医の強い意向として欧州医薬品庁の委員会で検討され、仮に実施されると影響は大きいでしょうね。