改正省令の公布とパブコメ結果が公表

 2月6日付官報で改正薬事法施行規則等の一部を改正する省令が公布されました。内容は現在精査中ですが、ほぼ省令案の通りとなっているようです。

 インターネット版官報(http://kanpou.npb.go.jp/)の2月6日付号外23号で1週間閲覧できます。

【厚労省】改正薬事法の関係省令を公布‐ネット販売は第3類薬に限定
   (薬事日報 HEADLINE NEWS 2月6日)
    http://www.yakuji.co.jp/entry9121.html

 また、パブリックコメントの結果も公表されています。→リンク

 とりわけ、「薬事法施行規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集(結果→リンク)には、3430件もの意見が寄せられ、今回の問題への関心の高さがうかがえます。

 このうち、「郵便その他の方法による医薬品の販売等に関する意見」(p38-p59)には、2353件もの意見が寄せられて、詳細にわたって厚労省の考え方が示されています。

 重要と思われる項目について、下記に抜粋しました。薬局製剤(漢方薬)も含めて、郵送等は第三類に限定にすることが改めて示されています。

寄せられた主な意見概要 厚労省の考え方
販売可能な一般用医薬品の範囲を第2類医薬品についても認めるべきである。 第2類医薬品については、その副作用等により入院を必要とするような健康被害が生じるおそれがあることから、その情報提供については、対面販売の際に薬剤師等が行うこととし、適切な情報提供が行われることを確保することとしたものです。
なお、関係者等の意見も踏まえつつ、今後、郵便等販売の在り方について検討することを考えております。
郵便等販売について、一定のルールの下で認めるべきである。 厚生労働省としては、改正法の円滑な施行に向けて、地方公共団体等による十分な準備期間を確保できるよう、本省令を速やかに制定することとしましたが、関係者等の意見も踏まえつつ、今後、郵便等販売の在り方について検討することを考えております。
今回の省令案は営業の自由(憲法第22条)を合理的な理由なく制限するものであって違憲無効の可能性もあると考えます。 一般用医薬品については、程度の差はあるものの、効能効果とともに、副作用を有するものであり、郵便等販売については、平成16年以降、審議会や国会で様々な議論が積み上げられてきております。
改正法の基本的な考え方は、これらの議論を踏まえ、郵便等販売であるか否かにかかわらず、一般用医薬品の販売に当たっては、薬剤師等が購入者に対して対面により情報提供を行うことを担保するというものです。
したがって、このことが担保されない郵便等販売については、薬剤師等によるあらかじめの情報提供が不要な第3類医薬品に限って販売可能とすることとしたところです。
近隣に薬局や店舗がない消費者や、体に不自由があり外出が困難な消費者、時間的余裕がなく店舗に出向くことが出来ない消費者、乳幼児や要介護者を抱えて店頭に出向くことが困難な消費者、その他事情を抱える多数の消費者にとって、インターネットで医薬品を購入できることは重要である、こういった消費者のニーズを奪わないか? 薬局又は店舗以外で医薬品を購入したいという御指摘のような方の要望があることは承知しておりますが、これらの方についても、一般用医薬品による副作用を防ぐため、その適切な選択及び購入並びに適正な使用を担保することが重要であり、適切に情報提供を行うことが必要であると考えております。
購入者側の状態を把握するのに必要な情報を入力させるなどの方法により、当該状態を把握することができます。なお、ネットの場合フェイストゥフェイスでないことを状態を把握できない理由とすることは適切ではありません。薬剤師や登録販売者は、医者のような医療行為は禁止されており、顔色等から状態を把握する能力を有していることを前提にしていないからです。 郵便等販売の場合には、必要な情報を入力させるなどの方法をとった場合でも、購入者側が情報提供を求めた場合の対応に時間を要する場合や情報提供を十分に行えない場合があり、対面販売の場合に比べて、医薬品が不適切に使用される危険性が大きいものと考えております。なお、薬剤師等が対面販売により医薬品の購入者等の状態を把握するのは、医療行為として行うものではなく、これにより円滑な意思疎通を図り適切な情報提供を行うことを目的とするものです。
この規制は家庭薬メーカーなどの中小の製薬メーカーにとっても死活問題である。特に家庭薬は、薬局・薬店での販売に加え、顧客の求めに応じて郵送等したり、売り場面積に限界がないインターネット販売を行うことで経営を維持できていた側面がある。
また、個人で経営する薬局・薬店の生き残りがより困難になる。かかりつけの薬局として引っ越したお客様やお年寄りなどの求めに応じて医薬品を郵送することは昔から行ってきたことである。このような医薬品の郵送を理由とした副作用被害は実証されておらず、何ら問題がない中でのかかる規制は、個人薬局・薬店の活路を阻む過剰な規制である。
改正法の基本的な考え方は、郵便等販売であるか否かにかかわらず、一般用医薬品の販売に当たっては、薬剤師等が購入者に対して対面により情報提供を行うことを担保するというものであり、このことが担保されない郵便等販売については、薬剤師等によるあらかじめの情報提供が不要な第3類医薬品に限って販売できることとしたところです。なお、これまでに、インターネットにより一般用医薬品を購入したとの記載がある事例において入院を要する被害が生じた旨の副作用被害報告があることが1例確認されております。
そもそも一般用医薬品とは「一般の人が直接薬局等で購入し、自らの判断で使用することを前提に、有効性に加え、特に安全性の確保を重視して審査」されたものであり(厚生労働省医薬品販売制度改正検討部会事務局資料より抜粋)、一般人が自らの判断で安全に服用できる医薬品群を一つの類型として抜き出したものであり、その審査過程においては有害事象の発現率も勘案された上で承認されているものであるから、一般用医薬品の安全性は販売経路が店舗からであろうとネット販売だろうと異なるものではない。
よって一般用医薬品の危険性を理由にネット販売のみを規制するのは理由がないものである。
改正法の基本的な考え方は、郵便等販売であるか否かにかかわらず、薬剤師等が購入者に対して対面により情報提供を行うことを担保するというものであり、このことが担保されない郵便等販売については、薬剤師等によるあらかじめの情報提供が不要な第3類医薬品に限って販売可能とすることとしたところです。
配置販売業と郵便等販売はどこが違うのか。配置販売業においては、薬剤師などの専門家が、現に薬を使用する者に対して直接情報提供するとは限らないのであり、そもそも対面の原則が担保されているとはいえないのではないか。対面の原則が担保されていない配置販売業販売が認められる一般用医薬品について、インターネットでの販売が認められないのはおかしい。 改正法の基本的な考え方は、郵便等販売であるか否かにかかわらず、一般用医薬品の販売に当たっては、薬剤師等が購入者に対して対面により適切な情報提供を行うことを担保するというものであり、このことは、配置販売業についても同様であると考えております。したがって、一般用医薬品を配置販売するに当たっては、薬剤師等が購入者に対して対面により適切に情報提供を行う必要があります。
今回の省令案においては、一般用医薬品のネット販売を規制しているが、政府が推進しているセルフメディケーション、国民の健康維持にとっては、販路が拡大し、一般用医薬品を必要とする消費者が多様な販売経路にアクセスできるようになることは望ましいものである。よって上記の観点からはいつでもどこでも販売経路にアクセスできるネット販売を制限するのではなく、むしろ積極的に販売経路の一つとして省令案の中で位置づけるべきである。 厚生労働省としては、国民の安全確保を前提として、御指摘のセルフメディケーションを推進し、これによる国民の健康維持を図っていく必要があると考えております。
半世紀以上にわたり卸売一般販売業の販売先変更・一般販売業の許可により薬事法に則り行政指導のもとで事業所(健康保険組合等)の保健事業(福利厚生として家庭常備薬の配布及び斡旋)に対し貢献しているが、今回の「薬事法施行規則等の一部を改正する省令案」(平成20年9月17日発)がそのとおり実施されますと、売上のほぼ全体が事業所向け販売で御座いますので会社事業の継続が困難となると考えております。つきましては、卸売販売業における医薬品の販売先での定める項目に事業所を盛り込んでいただくか第2類の医薬品を福利厚生用として提供できるよう何らかの措置を講じていただき従来通りの事業を健康保険組合も継続できそのお手伝いをさせていただけるようここに強く要望させて頂きます。 改正法の基本的な考え方は、郵便等販売であるか否かにかかわらず、一般用医薬品の販売に当たっては、薬剤師等が購入者に対して対面により情報提供を行うことを担保するというものです。したがって、このことが担保されない郵便等販売については、薬剤師等によるあらかじめの情報提供が不要な第3類医薬品に限って販売可能とすることとしたところです。また、卸売販売業の販売先については、保健衛生の保持に不可欠な業務を行う者を対象としており、事業所一般を含めることは困難であると考えております。
新型インフルエンザ発生時は、対面販売が感染爆発を悪化させる可能性があると思われます。新型インフルエンザ発生時は、薬局・薬店の混雑が予想され、購入時に感染するリスクが高まります。このような観点からアセトアミノフェン含有の解熱鎮痛薬などの一般用医薬品を通信販売できる制度が必要だと考えます。 御指摘の新型インフルエンザ発生時には、薬局等が感染源とならないよう、「新型インフルエンザ対策行動計画」等に基づき、所要の対策を講ずる必要があるものと考えております。
せめて漢方薬だけでも郵便販売や電話相談で販売継続していただきたい。 漢方処方製剤については、症状・体質に合っていない処方を選択した場合や、不適切な薬剤との併用により、日常生活に支障を来す健康被害を生じるおそれがあることから、その情報提供については、対面販売の際に薬剤師等が行うこととし、適切な情報提供が行われることを確保することとしたところです。
すでに薬局等における対面販売で、購入者の状態を薬剤師等が把握・判断できていて、情報提供がなされている場合の追加購入は第二類医薬品も販売できるようにしていただきたい。 例えば、追加購入時には、改めて情報提供に際して薬剤師等が購入者の状態を十分に把握する必要があると考えており、御指摘の場合において、第2類医薬品を販売できることとすることはできないものと考えております。
歯科診療所等で、医薬品の入手先を訪ねると、インターネットで購入しているという。今回の省令案では触れられていないが、卸売販売業の許可があれば、インターネットで注文を受けて郵送・宅配便等で医薬品を販売する形態でもよいのか。不可であれば、省令・通知等で明示してほしい。 卸売販売業の許可を受けている者が診療所に対して郵便等販売を行うことは、差し支えありません。
薬局又は店舗で第一類医薬品又は第二類医薬品医薬品の販売又は授与を行おうとしたとき、当該医薬品の在庫がないため後日入庫後に郵送等の方法によって授与した場合はどの様に判断されるか。 郵便等販売に該当します。
「1 第三類医薬品以外の医薬品を販売し、又は授与しないこと」とあるが、薬局において薬局製造販売医薬品を地方発送することもできないということか。このような形態で薬局製造販売医薬品を販売した場合、罰則規定は適用されるのか。 郵便等販売については、第3類医薬品以外の医薬品を販売し、又は授与しないことと規定しておりますので、薬局製造販売医薬品を地方発送することはできません。また、これに違反した場合には、薬事法に基づく行政処分等の対象となる場合があります。

関連情報:TOPICS
   2008.10.09 医薬品ネット販売における問題点(省令案パブリックコメント)

 次に、陳列についてですが、第一類や指定第二類の空き箱等を購入者が手に取れる場所に陳列することは差し支えないとした一方、情報提供を行うための設備から7メートル以内の範囲に陳列することは厳格に求めるようです。

寄せられた主な意見概要 厚労省の考え方
消費者の利便性を考慮の上、第一類医薬品又は指定第二類医薬品の空箱もしくはパッケージデザイン(販売名と主な効能程度のもの)を利用したカード等を購入者が手に取れる場所(法で定められた陳列区域外)に陳列しても良いか。 薬剤師等が適切に情報提供を行うことが十分に確保されていることを前提に、同一又は類似の薬効の第2類医薬品等を陳列している場所において、第1類医薬品又は指定第2類医薬品に関する製品情報(製品名リスト等)を示すことは差し支えないものと考えております。
指定第二類医薬品を陳列する範囲について、「情報提供を行うための設備から7メートル以内の範囲に陳列すること」とあるが、7メートルの根拠は。大型店などは棚で7メートル先までふさがれていると情報提供を行うための設備からは全く目が行き届かない距離になるのではないか。3メートル程度で十分ではないか。 専門家の目が十分に行き届くための妥当な距離が7メートルであると考えております。なお、7メートル以内の範囲であっても目が行き届かない場合には、当該場所に指定第2類医薬品を陳列しないよう指導する予定です。
リスク区分ごとに陳列していれば、第一類医薬品陳列区画内に第二類医薬品もしくは第三類医薬品を陳列しても良いのか。 第1類医薬品に係る要件を満たしており、また、第1類医薬品と第2類医薬品又は第3類医薬品が混在しないように陳列されているのであれば、可能です。
「第一類医薬品、第二類医薬品及び第三類医薬品を混在しないように陳列すること。」とあるが、第二類医薬品と指定第二類医薬品は混在して陳列することはできるのか。 指定第2類医薬品は、第2類医薬品の一部であり、必ずしも混在しないように陳列しなければならないものではありませんが、第1類医薬品、第2類医薬品及び第3類医薬品を混在しないように配慮しなければならない旨を規定している趣旨にかんがみると、指定第2類医薬品とそれ以外の第2類医薬品を混在しないように陳列することが望ましいものと考えております。
棚を分けるなどした上で、鍵がかかり、かつ、製品の外観を見ることができるようなガラスケースなどに第一類医薬品と指定第二類医薬品を一緒に置くことは可能か。その場合には、薬局等構造設備規則に規定される場所に関わらず、薬局・店舗販売業のどこに配置しても良いのか。 第1類医薬品及び指定第2類医薬品に係る要件を満たしており、また、これらが混在しないように陳列されているのであれば、御指摘のような方法で、第1類医薬品及び指定第2類医薬品を一緒に陳列することは可能です。
新配置業者が区分毎に混在しないように配置するという解釈については、使用者が各医薬品の区分を理解し、判別できるあり方であれば良いということか確認させていただきたい。 配置販売は、配置箱内に医薬品を配置するものであり、配置箱の中での区分が明確になるように配置する必要があると考えております。なお、配置後に顧客が配置箱内の医薬品の場所を変えることがあり得るため、配置時に医薬品を区分することに加えて、配置する医薬品の販売名とリスク区分が対比できるような文書を添えて情報提供するなどの工夫を行うことが適当であると考えております。
店舗販売業において、「一般用医薬品の陳列」について店舗管理者による管理の下、様々の規定がある。医薬品を配置する場所が居宅では問題ないが、その他の場所では、上記のような安易な規定では不十分ではないか。不特定多数の人間が居る場所に医薬品を配置する場合は、陳列が確実になされるのか不明である。よって事業所に医薬品を配置する場合は、その事業所に医薬品を管理する薬剤師又は登録販売者が必要となるのではないか。
配置販売業における分類区分及び表示を、「混在しないように配置しなければならない」という曖昧な表現でなく、店舗と同じかそれ以上に具体的に表示すべき内容及び区分のための方法を示されたい。
購入者の利便性を考えた場合、店舗内での医薬品陳列への規制は距離や棚の完全分離など行うべきではない。医薬品である事を明示する事ができるならば、購入者の利便性を考え、医薬品の区切りを明確にする必要は無いと考える。第二類医薬品、第三類医薬品に関しては、店舗のどの棚に陳列しても、情報提供体制がとれていれば問題ないと考えるからである。
季節商品や介護用品、育児用品などは、それぞれがコーナーとして棚を用意してくれる方が生活者にとっては、利便性が高い。風邪の季節に必要となるマスクと風邪薬、消毒薬、部外品のアルコールジェルなどが棚に混在しても、医薬品については、その旨明示すれば良いと考える。第一類医薬品は別としても第二類医薬品に関しては、医薬品である事の明示を条件にクロス陳列を認めるべきと考える。
消費者の利便性もさることながら、国民の安全確保が第一であると考えており、本案を基に省令を制定することとしました。
医薬品の陳列に関しては施行日より規定されると考えられるが、構造設備については別と考えてよいか。例えば、平成21年5月31日ギリギリで旧法に則り許可更新をした場合、新法による構造設備は、薬局については平成24年5月31日までは適用しないということになり、一般販売業(店舗販売業)においては、次回許可更新日、つまり最大5年後の平成26年5月31日まで適応されないと考えてよいのか。なぜこのような差をつけたのか。 既存薬局開設者及び既存一般販売業については、新構造設備規則は、平成24年5月31日までの間、適用されません。

 一方、薬局医薬品についての意見は次の通りです。

寄せられた主な意見概要 厚労省の考え方
「薬局医薬品(一般用医薬品以外の医薬品(薬局製造販売医薬品を含む。)をいう。)」という定義があるが、一般用医薬品以外の医薬品とはどのようなものを指すのか。
「薬局医薬品」= 「医薬品」−「一般用医薬品」
= 「医療用医薬品」+「薬局製造販売医薬品」
= 「処方せん医薬品」+「処方せん医薬品以外の医療用医薬品」+「薬局製造販売医薬品」
との解釈でよいか。
御指摘のとおり解釈して問題ありません。
「薬局開設者は、薬局医薬品を販売等する場合は、薬剤師に販売等させるものとする」となっているが、薬局医薬品のうち、薬局製造販売医薬品を除いた医療用医薬品は原則処方せんに基づく交付以外には販売等できないことを確認したい。 医療用医薬品のうち、処方せん医薬品については、薬事法第49条第1項の規定に基づき、医師等から処方せんの交付を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく、販売等できません。また、処方せん医薬品以外の医療用医薬品については、処方せん医薬品と同様に、薬局においては処方せんに基づく薬剤の交付が原則となります。
「当該医薬品(薬局医薬品)を購入し、又は譲り受けようとする者の当該医薬品の使用が適切であることを確認するための情報提供を行うこと。」において、例示として、すでに医師の診断を受けていることを確認することを明確に記述すべきである。 処方せん医薬品以外の医療用医薬品については、処方せんに基づく薬剤師による交付が原則となりますが、薬局製造販売医薬品については、医療用医薬品と異なり、その使用に際し、医師の診断を受けていることを求めるものではありません。したがって、御指摘の「すでに医師の診断を受けていることを確認すること」については、別途規定しません。
薬局医薬品の貯蔵について、調剤室以外の「その他の場所」について、具体的に示していただきたい。 「その他の場所」とは、一般用医薬品を通常陳列し、又は交付する場所以外の場所を指します。
薬局製造販売医薬品は、薬局医薬品に分類され、調剤室その他の場所に貯蔵しなければならないとあるが、包装及び添付文書の添付等において、一般用医薬品と同様の表示等を行っており、第一類医薬品と同様の陳列及び情報提供であれば、必ずしも「調剤室」での貯蔵でなくとも問題を生ずることはないと思われる。 薬局製造販売医薬品は、原則として調剤室以外の場所に陳列することは認められません。なお、製品リスト等を一般用医薬品を陳列する場所に示すことは、陳列には該当しませんので、認められます。
薬局製造販売医薬品については、従来どおり店頭にて陳列できると解してよいか。

関連情報:TOPICS
  2008.10.09 薬局医薬品の問題点(省令案パブリックコメント)

 この他、気になった項目を紹介します。

寄せられた主な意見概要 厚労省の考え方
薬局における実務の証明について、登録販売者の実務の証明の条件に一般用医薬品の販売等と規定されているが、薬局において一般用医薬品を扱っている所は少ない。
一般用医薬品を取り扱っていたという証明をどの様に判断するのか。
御指摘のような一般用医薬品を扱っていない薬局においては、実務の証明を行うことはできないこととなります。
登録販売者の実務経験について、店舗販売業においては、管理者及び開設者の証明となるが、管理者の異動・退職等の事象により、証明が困難な場合は、どの様に行えばよいか。 管理者の異動・退職等の前にその証明を受けることが適当であると考えます。
「薬剤師又は登録販売者の管理及び指導の下」というのは、非常に曖昧な定義であり、すべての一般用医薬品を無資格者が販売する危険性がある。第一類医薬品は、直接、薬剤師が、また、第二類医薬品、第三類医薬品は直接、薬剤師あるいは登録販売者が販売又は授与すべきである。 改正法は、薬剤師又は登録販売者が対面で情報提供を行うことにより、医薬品の適切な選択と適正な使用を図るものであることから、一般用医薬品の販売等については薬剤師又は登録販売者に、自ら又はその管理及び指導の下で一般従事者をして、対面で行わせることとしたところです。
このため、薬剤師又は登録販売者が不在の状態で医薬品を販売等することは、省令により厳格に規制されることとなります。
なお、改正法においては、こうした適正な販売等を行うための体制を確保し、保健衛生上支障がないように、薬局開設者及び医薬品販売業者並びに店舗管理者に対して、管理・監督責任を求めることとしております。

 なお、TOPICS 2008.10.09 で指摘した、指定第二類医薬品の指定についての意見は、あえなくかわされてしまいました。(意見募集結果→リンク) やはり、検討会が分類した基準が絶対のようです。何のためにパブリックコメントを行ったのでしょうか?

関連情報:TOPICS
 2008.10.09 指定第二類医薬品の指定は再検討すべき(省令案パブリックコメント)
 2007.05.09 一般用医薬品リスク分類のパブコメ結果が公表

 いずれにせよ、省令案通りでほぼ決まった(何のためにパブリックコメントを行ったのかという気もしますが)ことで、多くのところから反発の意見が出されることが予想されます。6月以降、第三類以外の一般用医薬品をネット販売したり・郵送等を行う店舗がなくなるのか(強硬突破という気もしますが)、きちんと専門家による情報提供が行われるのか、また行政は適切な指導・監督を行うのかどうか注目されるところです。

関連記事:江戸時代から続く「伝承薬」 薬事法改正で存亡の危機?
 (J-CASTニュース2009年2月6日)
 http://www.j-cast.com/2009/02/06035510.html

 なお、舛添厚労相は6日の閣議後の記者会見で、インターネット販売等の是非についてを話し合う検討会を今月中にも設置することを明らかにしています。(TOPICS 2009.01.23 コメント) 

関連情報:TOPICS
 2008.12.28 第一類の販売には、販売実践ガイダンスの開発が必要

2月6日 10:30、12:00、13:10、14:30、15:20更新、21:50リンク追加


2009年02月06日 09:42 投稿

コメントが4つあります

  1. アポネット 小嶋

    早速関係団体等からのコメントが出されています。

    楽天など規制反対を訴えるネット販売の業界団体などは6日、大衆薬の安全な販売環境整備に関する議論を行った上で、「販売が継続できるよう省令を再改正すべき」とする共同声明を発表しています。

    一般用医薬品の通信販売継続を求める共同声明
     (楽天ニュースリリース 2009年2月6日)
     http://www.rakuten.co.jp/info/release/2009/0206.html

    また、楽天はネット署名のページをリニューアルし、協力を呼びかけています。
     http://event.rakuten.co.jp/medicine/net_signature/

  2. アポネット 小嶋

    伝統薬・家庭薬メーカー35社で構成される全国伝統薬連絡協議会(http://www.dentouyaku.jp/)も6日、声明を発表しています。

    一般用医薬品の電話等による通信販売継続を求める声明
     (全国伝統薬連絡協議会 2009年2月6日)
     http://www.dentouyaku.jp/pdf/090206_comment.pdf

    関連記事:【全国伝統薬連絡協議会】「電話等の販売継続を」声明を発表
           (薬事日報 HEADLINE NEWS 2月12日)
           http://www.yakuji.co.jp/entry9146.html

  3. アポネット 小嶋

    ケンコーコムも12日、コメントを発表しています。

    ケンコーコム、パブリックコメント結果に関し 郵便その他の方法による医薬品の販売等に関する意見」の97%が規制に反対の意見であったことについて、コメントを発表
    (ケンコーコム プレスリリース2月12日)
     http://www.kenko.com/company/pr/archives/2009/02/97.html

    また、ケンコーコムの代表取締役の後藤玄利氏が会長を務める、オンラインドラッグ協会では、近く開催される検討会にできるだけ一般消費者の意見を反映させるべく、コメントを募集するページを立ち上げています。

    「医薬品通販国民的議論に参加しよう」
     http://comments.online-drug.jp/

    コメント欄に寄せられる声を見ると考えさせられるものがあります。

  4. アポネット 小嶋

    4月7日のINTERNET Watch に、厚労省医薬食品局総務課の加藤雄一郎氏へのインタビュー記事が掲載されています。

    「ネットで薬が買えなくなる?」〜厚労省に聞く改正薬事法問題
     (Internet Watch 4月7日)
     http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2009/04/07/23049.html

    加藤氏はネット販売について、「相手の顔色や具体的な症状など、言語以外の情報を拾い上げるなどといった対面に近いインターフェースは現状では難しいのではないか」と指摘する一方、「ドラッグストアなどで薬剤師が不在で医薬品が販売されている現状や、薬剤師がいても、長い行列ができていて聞くのがはばかられる状態などがある」と指摘し、新薬事法施行後は店頭販売においても説明の義務を果たすことを求めています。

    この他厚労省では、行政監視や消費者モニターの活用、「医薬品はドラッグストアで相談しながら買ってください」といった周知を広めるためのポスター類の作成も現在検討しているとのことです。