男性のセルフケア改善には、ヘルスリテラシー向上と地域薬局の活用に期待(海外レポート)

男性の健康問題に対して効果的な対策などを提言してきた Global Action on Men’s Health (GAMH) は、このほど、Global Self-Care Federation の協力の下、男性のセルフケアの推進は単に個人の責任の問題ではなく、経済生産性、医療制度の持続可能性、個人および社会の幸福に重大な影響を与える、体系的な公衆衛生上の優先事項であるなどとした提言書(Policy Report)をまとめ、公表しています。

【Global Action on Men’s Health May 2026】
Men & Self-Care: A Critical Gap In Health Policy & Practice
https://gamh.org/selfcarereport/

Men and Self-Care:
A critical gap in health policy and practice
https://gamh.org/wp-content/uploads/2026/05/selfcare_12pp-FINALLINKS.pdf

提言書では、男性とセルフケアに関して次のような課題があると指摘

健康的なライフスタイルが行われているか?

  • 男性は女性に比べて果物や野菜を摂取する割合がはるかに低い、肉を食べる割合が高く、塩分摂取量も多い傾向にある

不健康な生活習慣

  • 世界的に見て、男性の半数以上がアルコールを摂取し、女性と比べ、大量の一時的な飲酒(heavy episodic drinkers)を行う確率が2倍以上高い
  • 女性比べ、タバコを使用する人の割合が高い

薬との関わり

  • 男性は一般的に、女性のより専門家の医薬品に関する助言に従う傾向が強い一方で、安全でない可能性があるED治療薬を違法に入手し、EDの潜在的な根本原因(例:未診断の心血管疾患)についてスクリーニングを受けていない
  • 男性の体型に対する不安につけ込むインフルエンサーやジム関連のオンラインフォーラムを通じて、筋肉増強製品や育毛剤が宣伝への懸念がある

症状への認識の低さ

  • 男性は女性に比べて、一般的ながんの症状に気づく可能性が低い。例えば、ほくろの外観の変化が持つ潜在的な重要性を認識する可能性は、女性より60%低い。

セルフモニタリングの低さ

  • 太り気味や肥満の男性は、女性に比べて自分の体重を正確に把握していない傾向がある
  • 非常に多くの男性が未診断の高血圧を抱えており、またほとんどの年齢層において、男性の方が未診断である可能性が高い

セルフマネジメントの低さ

  • 複数の慢性疾患を持つ男性は、女性よりも健康リテラシーのレベルが低く、患者支援グループへの参加に消極的で医療専門家との接触が限られている
  • 治療計画の遵守率が低く、予防⾏動への意識が低く、医療機関を受診するまでの期間が長い傾向がある。

提言書ではセルフケア能力の低下の原因として

  • 男性の伝統的なジェンダー規範
  • 政策対応の不足
  • 男性のニーズに対応したサービスへのアクセスの悪さ
  • ジェンダーに配慮した医療の実践方法に関するエビデンスに基づいた専門的なトレーニングの不足

などを指摘、優先政策分野として6つの分野を特定しています

  • 男性を保健政策の枠組みに組み込むこと
  • 男性に不均衡な影響を与える行動や曝露に対処するため、健康リスクに関する規制を強化する(たばこ対策など)
  • 男性のニーズに対応したサービスへのアクセスを改善する
  • 男性が自らの健康を積極的に管理できるよう、ヘルスリテラシーを向上させる
  • 医療従事者が男性とより効果的に関われるよう、人材育成に投資する
  • 男性のセルフケア介入に関するエビデンス基盤を構築するための研究を加速させる

このうち、サービスへのアクセスを改善については、地域薬局の薬剤師チームによるアドバイスや情報提供、OTCの提供を通じて、男性のセルフケアを支援する上で特別な役割を担っていると指摘しています。

歴史的に、これまで男性は薬局を十分に活用してこなかったが、FIPが政策と実践の両方を変える新たな取り組みを主導し、この問題に対処し始めていることを期待しています。(→TOPICS 2025.05.19)

具体的には、男性向けの健康情報へのアクセス向上、個室相談室の活用、無料の血圧測定やその他の健康チェックの提供などを通じて、薬局を「男性に優しい」空間にする可能性が生まれると期待しています。

過去20年間で、オーストラリア、ブラジル、イラン、アイルランド、マレーシア、モンゴル、南アフリカ、英国(イングランド)など9カ国で国レベルの男性健康政策や行動計画が策定されていて、2026年後半にはカナダでも策定が予定されているそうです。

男性の健康問題は、先ごろ行われた国連総会でも円卓会議の議題として取り上げられていて、男性への早期支援における薬局や地域医療の役割、そしてWHOのセルフケアおよびユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に関するガイドラインの強化に焦点を当てた議論が行われたそうです。

日本でも先ごろ行われた経済財政諮問会議で、厚生労働省から「攻めの予防医療」等の推進として、「性差に由来するヘルスケア」~男性の中高年期の健康課題への対応の推進が提示されていますが、果たしてどこまで踏み込むのか、そしてその政策を誰がどのように行うのか注目されます。

令和8年第7回経済財政諮問会議(2026.05.22開催)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2026/0522agenda.html

持続可能な社会保障制度の構築に向けて(上野臨時議員提出資料)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2026/0522_shiryo04.pdf#page=4

参考:
Men’s health policy: Recent progress, current barriers and new opportunities
(International Journal of Men’s Social and Community 2025 Sep 16)
https://utppublishing.com/doi/10.3138/ijmsch-8-2-Editorial

New Report Calls for Global Policy Action on Men’s Self-Care
(Psychreg 2026.05.19)
https://www.psychreg.org/new-report-calls-global-policy-action-men-self-care/

Health Literacy And Pharmacy Key To Improving Men’s Self-Care
(HBW INSIGHT 2026.05.21)
https://insights.citeline.com/hbw-insight/health/self-care/health-literacy-and-pharmacy-key-to-improving-mens-self-care-DLH3QDGJ6JBA5O7Z4T3PXWLT3U/

関連情報:TOPICS
2026.05.21 ED治療薬のスイッチと男性の健康問題に現場の薬剤師はどう向き合うか
2025.05.19 EDの管理とセルフケアにおける薬剤師の役割(FIP)


2026年05月27日 18:47 投稿

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