3年間にわたって行われている研究の2025年度の研究成果がアップされました。
厚生労働科学研究成果データベースへの掲載はまだですが、先行して国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所WEBサイトに掲載されています。
【令和7(2025)年度 厚生労働科学研究】
処方薬や市販薬の乱用又は依存症に対する新たな治療方法及び支援方法・支援体制構築のための研究
https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/182379
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存部・研究報告書
https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/index.html
この研究は、依存症専門医療、救命救急医療、監察医務院、ドラッグストアという4つの異なるフィールドを生かした、5つの研究分担課題を設定
- 精神医学・救急医学・法医学の観点から処方薬・市販薬乱用の健康被害を明らかにすること
- 乱用リスクの高い薬剤を把握すること
- 処方薬・市販薬使用障害患者の臨床的特徴を明らかにすること
- 処方薬・市販薬依存症の治療法を開発すること
- 薬局・救急医療での介入・支援方法を開発すること
総括研究報告書
https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/A.2025.pdf
分担研究のいくつかを紹介します
(分担研究)
処方薬・市販薬依存症患者の実態と通院治療プログラムの開発に関する研究
https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/B.2025.pdf
2024年全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査結果の二次解析を行い、睡眠薬・抗不安薬・市販
薬症例(医薬品使用患者群)を対象に、臨床的特徴と治療資源の利用状況他を検討。
医薬品使用症患者では、女性が多く、最近1 年以内の自傷・自殺企図経験を持つ者、併存精神疾患を有する者が顕著だった。
(分担研究)
処方薬・市販薬過量摂取による救急搬送患者の実態と支援に関する研究
(救急医療施設を受診したデキストロメトルファンおよびジフェンヒドラミン中毒の臨床的・心理学的特徴に関する調査)
https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/D.2025.pdf
デキストロメトルファンもしくはジフェンヒドラミンを含有する製品を摂取して急性中毒症状により救急医療機関を受診した患者を対象に、同意が得られた患者について、デキストロメトルファンおよびジフェンヒドラミンとその代謝産物などの血中濃度を測定し、質問紙および患者診療録を使用して、患者の臨床的・心理的特徴について検討。
7施設で120例が登録され、男性17名(14.2%)、女性 101名(84.2%)、その他 2名(1.7%)で、平均年齢は、23.0 歳
(中央値 20.0 歳)と若年の女性が多い傾向が示された。
服用したデキストロメトルファンおよびジフェンヒドラミン含有薬の服用量は、デキストロメトルファンが平均760.5mg、ジフェンヒドラミンが平均 993.1mgだった。
これら含有製品の入手方法は実店舗での購入が 91件(76.5%)と最も多く、次いでインターネットでの購入が16件だった。
服用目的に関しては、「自傷自殺」が 64%と最多で、「現実逃避」避も 3割に及んだ。
血中濃度測定が行われた症例では中毒域を超えていた。
研究者らは、ソーシャルメディアを通じて同じような境遇の仲間とつながるために自らの薬物使用行動をネット上で公開し、仲間からの受容や承認を得るために情報を共有することが、多くの青少年に OTC薬物の過剰摂取が蔓延する一因となっている可能性があるとした。
(分担研究)
処方薬・市販薬による中毒死の実態に関する研究
https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/E.2025.pdf
東京都監察医務院において、2020年から2024年にかけての原死因が医薬品中毒に該当すると診断された事例を抽出し、そのうち医師による処方箋を必要としないで入手された薬剤(いわゆる市販薬)が死亡に関与していると判断された事例を後ろ向きに分析
事例514例中56例が市販薬が死亡に関与していると判断
全体的な事例数としては多いとは言い難いものの、微増傾向
使用されていた市販薬はジフェンヒドラミンを含有する市販薬が4割近くを占めた
全体に占める割合として、市販薬が関与している事例の割合は大きいとは言い難いが、死亡天気につながりうるものが容易に調達できることを懸念
(分担研究)
大手チェーンドラッグストアにおける市販薬販売の実態に関する研究
https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/F.2025.pdf
約90分間のオンラインによるゲートキーパートレーニングプログラムの効果を検討
薬局薬剤師のゲートキーパーに関する知識や自己効力感を向上させるとともに、市販薬のオーバードーズや依存に対するスティグマを軽減する可能性が示唆された
過去の報告書はこちら
令和6(2024)年度 厚生労働科学研究)
https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/176298
令和5(2023)年度 厚生労働科学研究)
https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/169796
関連情報:TOPICS
2025.08.18 処方薬や市販薬の乱用又は依存症に対する新たな治療方法及び支援方法・支援体制構築のための研究 (2024厚生労働科学研究)
2026年04月10日 18:30 投稿
