カナダ・ブリティッシュコロンビア州では、2023年6月以降、40万9000人以上が薬剤師から軽度の病気の治療を受け、また無料で避妊薬が入手が可能になっています。(→TOPICS 2025.05.25)
BC州薬剤師会によると、資格のある薬剤師の75%が、帯状疱疹や尿路感染症など21の軽症の病気の診断と薬の処方、避妊の処方ができる研修を修了しているという
カナダで避妊薬を処方することを許可した最初の州ですhttps://t.co/QjsUdXG1QN
— 小嶋 慎二@community pharmacist (@kojima_aponet) June 1, 2023
Pharmacy services in B.C.
https://www.healthlinkbc.ca/find-care/pharmacy-services-bc
すでに下記のような地域薬剤師視点での評価も行われていて、回答した薬剤師の多くからは、軽度の疾患や避妊薬の処方に対して支持的であり、すでに実務において処方が行われ、患者ケアにおける多くの利点を認識している一方で、職場における障壁が、実務における薬剤師による処方の完全な実施を妨げている可能性があるとの調査結果も出ています。
Community-Based Pharmacists’ Perspectives on Prescribing Authority for the Minor Ailments and Contraception Service in British Columbia
(Innov Pharm. 2024 Aug 21)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11524216/
ブリティッシュコロンビア州保健省の依頼で行われたこのレビューは、pharmacist prescribing が、医療の公平性を重視した「4つの目標」(地域住民の健康、患者の満足度、医療提供者の満足度、費用対効果)に与える影響について、現時点で入手可能な最良のエビデンスをレビューしたものとなっています。
【McMaster Health Forum 2025.07.24】
Impacts of pharmacist prescribing on the equity-centred quadruple-aim outcomes
https://www.mcmasterforum.org/about-us/products/project/impacts-of-pharmacist-prescribing-on-the-equity-centred-quadruple-aim-outcomes
54の文献をレビュー
全体として、軽度の疾患、慢性疾患、公衆衛生に関連する疾患、およびオピオイド代替療法(OAT)に対する pharmacist prescribing は、Quadruple Aim(医療の4つの目的)成果達成に向けた進展に寄与し得ることが明らかになった。
※Quadruple Aimとは
最近では、健康の公平性の推進(Advancing health equity)という視点も注目されているらしい |
・住民の健康の改善(Population health)
pharmacist prescribing は、処方ミスの減少、服薬アドヒアランスの向上、臨床的改善、副作用の減少、医療機関への紹介、ホームレス状態にある患者を含め、薬剤師以外の処方者による場合と同等の臨床的成果が得られた。
・患者体験(Patient experience)
pharmacist prescribing は、患者からの高い信頼と満足度を生み出し、患者の健康に関する理解を深め、医療へのアクセスを向上させた。
(例えば、サービス提供が営業時間と場所が比較的便利であること、そして薬剤師が明確かつ共感的にコミュニケーションできる能力があることなど)。
また、公平な医療を受けるべきグループ、特にホームレス状態にある患者にとって、pharmacist prescribing は、従来の処方環境におけるスティグマや守秘義務への懸念といったアクセス上の障壁を軽減した。
しかし、地域によって処方サービスの提供状況が不均等である場合、アクセス格差が拡大する可能性がある。
・医療提供者としての視点(Provider experience)
薬剤師は概して処方業務を肯定的に捉えており、処方を行うことで自信と仕事への満足度が高まったと報告されている。
また、pharmacist prescribing は、医師などの他の医療提供者の業務負担軽減などにも貢献している。
一方で、pharmacist prescribingを行うためのリソース不足、処方サービスに関する一般市民の認識不足、薬剤師および薬局スタッフの研修不足などの複数の障壁が存在するために、pharmacist prescribing への取り組みが低調な(すなわち、薬剤師がその能力を最大限に発揮できていない)ケースも見られた。
・医療システムコスト
不必要な医師への受診や救急外来受診、入院、サービスの重複、不適切な処方箋発行を軽減する点において、pharmacist prescribing は費用対効果が高く、コスト削減につながる、あるいはその可能性を秘めていた。
この報告書では、豪州、ニュージーランド、米国などの取組も紹介されている。
日本でも近い将来、地域薬剤師がファーストアクセス対応としての取組を検討する際には、こういった視点での政策づくりが必要になるように思います。
関連情報:TOPICS
2025.05.25 カナダ・ブリティッシュコロンビア州における薬局サービス
2026年03月17日 16:11 投稿
