不適正使用は医薬品副作用被害救済制度の対象外

 医薬品(一般用医薬品を含む)が適正に使用されたにもかかわらず副作用が発生し、それによる疾病、障害等の健康被害を受けた人を迅速に救済する制度として、「医薬品副作用被害救済制度」がありますが、医薬品が適正に使用されていなかったために救済給付の対象外として請求が認められないケースも散見されるそうです。

 厚労省は27日発行の医薬品・医療機器等安全性情報286号で、こういった不支給事例を紹介するとともに、患者さんが副作用を発現することがないよう、現場の医療専門職に医薬品の適正使用が行われるよう注意を呼びかけています。

医薬品副作用被害救済制度における不支給事例と医薬品の適正使用について
( 医薬品・医療機器等安全性情報286号 2011.12.27)
http://www1.mhlw.go.jp/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/286-1.pdf

 上記によれば、チアマゾールやサラゾスルファピリジンによる無顆粒球症、ベンズブロマロンによる劇症肝炎など定期的な血液検査が実施されなかった事例、承認外の使用による事例、使用上の注意を遵守しないで使用された事例、自己判断での使用事例(家族に処方されたPL配合顆粒の転用、使用後に肝障害)などがあるそうで、日頃から患者さんからの情報収集と適切な情報提供の必要性を感じます。

医薬品副作用被害救済制度(PMDA)
 http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help.html

 厚労省では、医薬品の使用に当たっては「使用上の注意」の内容を熟読し適正な使用を行うことを呼びかけるとともに、適正な使用でなかった場合には医薬品の副作用によると疑われる健康被害が生じても、公的な救済制度による健康被害者の救済は行われないとして注意を呼びかけています。

 なお支給事例と、不適正使用による不支給事例などの概要は、PMDAウェブサイトの「副作用救済給付の決定に関する情報」や、厚労省の「副作用・感染等被害判定第一/二部会」の資料として掲載されています。(「議事要旨別添」の部分をクリック。2010年10月分から一覧表で見やすくなっている)

副作用救済給付の決定に関する情報(PMDA)
 http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help/information.html

副作用・感染等被害判定第一部会
 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008fcs.html#shingi5

副作用・感染等被害判定第二部会
 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008fcs.html#shingi6


2011年12月28日 17:06 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    11月27日発出の 医薬品・医療機器等安全性情報296号で改めて、適正に使用されていなかったために不支給決定がなされた事例を紹介し、注意を呼びかけています。

    医薬品副作用被害救済制度の支給・不支給決定の状況と適正に使用されていない事例が多く見られる医薬品について
    (医薬品・医療機器等安全性情報296号)
    http://www1.mhlw.go.jp/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/296-1.pdf

    平成23年4月から平成24年9月までの1年半の間に不支給とされたもので多かったのが、ラモトリギン(ラミクタール)15例、チアマゾール(メルカゾール)6例、ベンズブロマロン(ユリノーム 他)5例だったそうです。

    不支給となったのは、承認の用法が守られなかったり、必要な血液検査が行われなかったためですが、万が一に有害事象が発現することも想定して、きちんと対応することが求められます。

    PMDAからの医薬品適正使用のお願い
    http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/tekisei_pmda.html

    不支給事例の詳細は、下記ページから見ることができますが、よリ具体的な理由は示されてはいません。

    副作用救済給付の決定に関する情報(PMDA)
    http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help/information.html