第9回ライフイノベーションWG議事概要

 16日、調剤基本料一元化で一致した行政刷新会議、規制・制度改革に関する分科会のライフイノベーションWGの第9回会合(TOPICS 2010.12.24)の議事概要がアップされ、会合でのやりとりが明らかになっています。

第9回ライフイノベーションWG(2010年12月22日開催)
http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2010/life/1222/agenda.html

議事概要(2011年2月16日掲載)
http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2010/life/1222/summary1222.pdf

 波紋を呼んでいる、川渕委員の発言は以下の通りです。

 項目10「調剤基本料」ということで、薬局の話です。調剤薬局のサービスは保険がききますので、今、大体医療費にして5.4 兆円まで来ました。国が医薬分業を進めていますので、当たり前といえば当たり前ですが、問題は、一体全体日本の医薬分業は何のためにやったのかということです。いろいろ文献を検索しますと、薬剤費の高騰を防ぐのだとあります。医師が処方して薬剤師が調剤すれば、薬価差益を希求するような行動がなくなり薬剤費が減るということでした。しかし、実際は薬剤費は減るどころか、2000 年に入っても都合4 回マイナス改定がありましたけれども、薬剤費はすこぶる高騰しています。

 ただ、最近疾病構造も変わっておりますし、抗がん剤なども高くなっていますから、そういう点ではやむを得ない部分もあるかと思いますが、それにしても一物一価と言っておきながら調剤基本料が違うのはどうでしょうか。薬局によって、40 点の薬局と24 点の薬局があるので、これを一元化したらどうかと提案したところ、当局から、仮に調剤基本料を24 点、つまり安いほうに一元化したら、多数の医療機関から処方を受けている多くの薬局の継続が困難になる可能性があるという回答を得ました。そこで本当かなということで検証してみた次第です。

 ちなみに、平成21 年6 月に実施された医療経済実態調査によれば、保険薬局の利益率は下がったといえ、6.0% ( 個人7.7% 、法人6.0% ) です。これに対して、病院はマイナスの利益率です。であれば、仮に24 点に一元化しても、実質1.8 ポイントぐらいの値下げ
で、薬局の継続が困難になるということはないのではないか。事実、12 月6日の日経新聞によると、ドラッグストア各社が、今、ポイントカードをつけているとの事。

 どれぐらいの値引率かと思ったら、12 月6 日の日経新聞の報道によれば、100 円の購入金額に対して1 円~ 3 円のポイント提供があったということなので、1.8% の値引きは可能ではないかと。療養担当規則の解釈も値上げはいわゆる混合診療となるのでできないが、値引きは当局も認めているようにしてはいけないという法律はどこにもないのではないか。最近いろんなユニークな薬局が出てきましたから、そこはむしろ自由競争してもらってもいいのではないかということで、チャレンジングな問題提起をしたというところです。

 一方、テレビでおなじみの黒岩委員は、薬剤師の活用を期待する発言をしています。

 まさに医薬分業というのは何のためかといったら、根本的な問いかけだと私自身思うんですよね。それでかねがね患者の立場として疑問に思っているのは、同じ薬を継続して使っているという場合でも、いちいちドクターの診断書(本人は処方せんをはじめ勘違いしたらしい。川渕委員の指摘を受け訂正)が要るという、何のために診断書を取りに行くのかということが全く理解不能。

 処方せんがいちいち要る。新しい病気になった場合には、それは別ですよ。でもそうじゃなくて、同じものをずっと続けて飲んでいるのに、何か月かくるといちいち医者に行かなければいけない。それはだから全くむだですよね。そこのところは、例えば大方針に入れた「医師以外の専門職も互いに協働・連携・自律」と入っているわけですよ。この「自律」という言葉が入ったということは、実はすごく大きなことだと思うんですけれども、つまり薬剤師の自律ということでいくならば、継続して使っているものを薬剤師の判断によって出すということを認めていくということになればむだがかなり省けるのではないかと。そういうのはまさに患者目線に立った改革だというふうに思うんですけど、いかがでしょうか。

 リフィル処方せんが導入されれば、黒岩委員の要望通りになるでしょうか? 

 土屋委員も同様の趣旨の意見を述べています。

 規制改革からちょっと外れるのですけど、これは日本の医者が信用されているかどうかの一番瀬戸際のことで、先ほどのリハビリの神野先生の発言もそうなんですね。これは日本の医者が信頼される医師の集団であれば、恐らく日数制限を医師に任せるというのは全く抵抗がないだろうと。これは判断が的確でないのではないかというのが言外にあるわけです。ですから医師として発言しにくいということで、医薬分業も、本来は、患者さんの安全のためにいろんなところの診療所を多数かかっているのを一元化してお薬を管理しないと、配合禁忌やなんかが起こる可能性があるのではないかというのが一番根本なところにあるんですね。

 継続して飲む方のが、処方せんをいちいち取りに行かなければならない。これは人間の体ですから、車のように常時同じではないので、3 か月飲んで状況が変わって薬剤の量を調整しなければならないかどうかという診察が必要だということの定義なわけですね。ですから、これをある意味、薬剤師さんも判断ができる範囲は、受持ち薬剤師的にいろんなところからの疾患について総合的に判断するというから薬剤師がやるべきで、薬剤師と医師の専門家としての分業をどうするかというところができていると、これは大変いい制度なんですが、残念ながら門前薬局やっていますから、実は大学病院でもらったのと開業医のと、どこでも管理をしないと。開業医の先生のところは、そのまた近くでもらってということですね。これは電子化されてないから、どこでもわかってないと。もらっている本人だけがわかっていると。

 さらにいえば、処方せんだけもらってきて、診察も受けないで、また6 か月分もらうというお薬が、本当にどれだけ必要なお薬なのかというような議論になってきちゃうんですね。ですからこれはコンプライアンスと我々言いますけれども、出した薬がどれだけ飲まれているかというのは、特に内服薬では十分チェックできてない。抗がん剤の場合には副作用ということと、特に臨床試験でほとんどが使われますから、これはコンプライアンスを医師、あるいはクリニカル・リサーチ・ナースがチェックをするというようなことで、これは厳格にやられる。ところが普通の薬剤についてはそういうことがやられてないですね。その辺の医療の本質がかなり潜んでいる。ですから、こんな山のようにもらっていくというのは絵にもかかれますし、テレビで追っかけられるというようなところに本質論に入ってきてしまうという気がします。ちょっと今日じゅうには解決できない。

 薬剤師を社会でどのように活用するかという本質論にも及んでいますね。もうちょっと議論を続けてもらってもよかった気もします。本来なら中医協で話し合われる内容ですが、中医協ではまず無理でしょうね。

 こういった議論はオープンでもっとやって欲しいですね。

関連情報:TOPICS
  2010.12.24 ライフイノベーションWG、調剤基本料の24点への統一を求める(Update)  


2011年02月17日 01:24 投稿

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