OTCエパデールの承認了承は見送り(Update2)

  24日、薬事・食品衛生審議会の一般用医薬品部会が非公開で開催され、エパデールOTCの審議とスイッチOTC化の候補として日本薬学会が選定した19成分(TOPICS 2010.06.08)についての審議が行われました。

 非公開のため詳細は分かりませんが、OTCエパデール承認の了承は今回の部会では見送りに、スイッチOTC化の候補として上がった19成分のうち、ドンペリドン、ベポタスチンベシル酸塩、オロパタジン塩酸塩、セチジリン塩酸塩(抗アレルギー3成分はアレルギー性鼻炎限定)の4成分についてはスイッチOTC化を進めることが適当とされた一方、ACE阻害薬とαグルコシダーゼ阻害薬、コレスチミドについては選定の候補として見送られたそうです。

 以前にも指摘しましたが、関係学会がスイッチに対して難色を示したというのなら、OTCへのスイッチがどういう点で不適当なのか、きちんと関係資料を公開すべきですね。

 一方、OTCエパデールについてですが、「健康診断等で2回連続で中性脂肪値が境界領域」の人を対象に、医薬品の購入者が薬局に健康診断の結果を持参すると共に、薬剤師がチェックリストを活用し、禁忌や運動療法を行っているかなどを確認した上で、販売することを想定(効能・効果は、「健康診断等で指摘された境界領域の中性脂肪値の改善」)いたそうですが、医師の委員から、「健診の結果は信用できない場合があり、医師の診察が必要」「健康診断の結果だけから使用するのは問題がある」などとする異論が出たため、結局GOサインには至らなかったようです。(事務局で医師にどのように関与してもらうかを検討して、来年2月の部会での審議らしいけど、うまくいくのかなあ)

 しかし、EPAに関しては既に特定保健用食品(ドリンクタイプ)として発売されているものもあります。

特定保健用食品 イマーク(ニッスイ)
 http://www.nissui.co.jp/product/item/00107.html
 http://www.nissui-kenko.com/lp/imaq/index.html

 このイマークには、1本あたりEPAが600mgも含まれているのですが、「高脂血症の治療薬及び予防薬ではありません。治療中の方は、医師にご相談ください。」としながらも、WEBサイトでほとんど効能をうたっているのと同然です。(しかも通販限定)

 また、含有量が少ない(1日推奨量がEPAとして300mg程度)とはいえ、サプリメントもたくさん販売されています。

 こういったトクホやサプリメントが自己判断で誰でも購入できるのに、効能・効果や販売の対象者に異論を唱えてOTC医薬品として販売を認めないというのであれば、少なくともこのトクホは発売を中止させるべきですね。(ACE阻害剤やαグルコシダーゼ阻害剤と同じように作用するトクホも同様。トクホ制度もおかしいぞ!)

 来春の発売を目指していただろう大正製薬や日水製薬がかわいそう。

  一方、この部会では西洋ハーブ製剤で静脈血流改善薬のダイレクトOTC薬「アンチスタックス」(成分は赤ブドウ葉乾燥エキス混合物)、膣カンジダ再発のスイッチOTC薬「エンペシドL」「エンペシドレディ」の承認が了承されたそうです。

 関連情報:TOPICS
  2010.06.08 厚労省、スイッチ候補19成分を公表
  2009.11.05 こんな進め方ではスイッチOTCが増えることはない
  2009.08.28 日本は本気でセルフメディケーションを推進する気があるのか?
  2009.04.28 厚労省、スイッチ候補18成分を公表

参考:
高脂血症治療薬「エパデール」のスイッチは再審議
 ‐「アンチスタックス」がダイレクトOTC薬で登場へ
(薬事日報 HEADLINE NEWS 11月25日)
http://www.yakuji.co.jp/entry21261.html
CBニュース11月24日
https://www.cabrain.net/news/article/newsId/31034.html
日刊薬業WEBフリーサイト11月24日
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/gyosei/article/1226554962229.html?pageKind=outline
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/gyosei/article/1226554962913.html?pageKind=outline

11月25日 1:10更新 17:10更新   


2010年11月25日 00:17 投稿

コメントが3つあります

  1. アポネット 小嶋

    薬事日報が記事を掲載しています。

    【薬食審一般用医薬品部会】4成分をOTCに転用‐スイッチの合計は21成分
    (薬事日報 HEADLINE NEWS 11月25日)
      http://www.yakuji.co.jp/entry21260.html

    抗アレルギー剤が、鼻炎限定となったのは、「医療用で承認されている蕁麻疹や湿疹などの効能・効果を認めると、広範囲にわたる原疾患が表面化しない可能性がある」からだそうです。

    眠気や排尿障害などの副作用を考えたら、第一世代の抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミン)より有用だと思うんですけどね。

  2. アポネット 小嶋

    2月24日に一般用医薬品部会の開催が決まっていますが、各紙によれば、エパデールは審議の議題から外れたようです。

    一般薬部会  エパデールOTC、24日の審議見送り
    (日刊薬業bWEB フリーサイト 2月14日)
    http://nk.jiho.jp/servlet/nk/gyosei/article/1226555401987.html?pageKind=outline

    どうも医師会が相当抵抗しているようです。

    これで承認・発売はさらに少なくとも半年以上先になりそうです。(メーカーが気の毒)

    おそらく、11月24日の議事録が近く公開されると思いますので、コメントはその時にしたいと思います。

  3. アポネット 小嶋

    議事録が出ました。

    薬事・食品衛生審議会 一般用医薬品部会議事録
    (2010年11月24日開催)
    http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000019ijr.html

    下記記事で概要とコメントを書いています。

    TOPICS 2011.04.27 2010.11.24 一般用医薬品部会議事録