OTC肥満症治療薬が米国でも承認

 米FDAは7日、肥満症治療薬のゼニカル(一般名:orlistat)のOTC版 “alli(発音:アル・アイ?)”を承認したと発表しました。

FDA Approves Orlistat for Over-the-Counter Use(FDA NEWS 2007.2.7)
   http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2007/NEW01557.html

米GSK社プレスリリース(2007.2.7)
  http://us.gsk.com/ControllerServlet?appId=4&pageId=402&newsid=1015

 この alliは、処方せん薬として販売されているゼニカルを半分量にしてOTC化したもので、18歳以上の成人が対象。また、alli単独での効果は少ないとして、低カロリー・低脂肪食・運動などのプログラムも並行して行うことも求めています。

 またFDAでは、特定の栄養素が alliで失われる可能性があるとして、 alliを使用する場合には就寝前に総合ビタミン剤を摂るよう勧告しています。

 GSK社では、250ページの説明書やWEBサイトを開設などして、消費者への情報提供に努めるとしていますが、すでに要薬剤師薬としてOTC化されているニュージーランドのように、販売に当たって薬剤師が直接助言するということは、現時点では行われないようです。

 製品情報サイト http://www.myalli.com/

 米国では、肥満を抱える人が少なくなく、日本と同様エビデンスが明らかでないハーブや栄養補給剤に走る人も少なくないという。今回のalliの承認によって、正しい肥満予防が行われるという期待が高まる一方、減量を必要としない人までが濫用するのではないかの指摘があります。

 また、消費者団体からはorlistatの有効性や安全性を懸念して、2006年4月に発売を中止することを求める請願書が出されていましたが、FDAは8日、有効性や安全性は確保されているとの回答を行っています。

 販売価格は、1日あたり1〜3ドル程度になる予定ですが、6ヶ月の服用が必要で、効果が現れるには300ドル程度の費用がかかるようです。発売は、夏ごろを予定していて、メーカーでは年間500百万人〜600百万人が利用するだろうと見込んでいます。おそらく、今後日本にも多く流入することでしょう。

関連情報:Orlistat OTC (marketed as alli) Information(FDA)
        http://www.fda.gov/cder/drug/infopage/orlistat_otc/
      TOPICS 2006.01.24 肥満症治療薬「ゼニカル」がOTCとして販売へ(米国)

参考:New York Times 2006.2.7
    Fat-blocking pill will be sold over the counter
     (MSNBC 2007.2.7 AP通信配信)
     http://www.msnbc.msn.com/id/17032249/
    Foodconsmer org. 2006.2.7
    FDA denies orlistat-withdrawal petition(Pharmacist.com 2007.2.8)
    Public Citizen Petitions FDA to Ban Xenical (orlistat)
     (Public Citizen Press Room 2006.4.10)
     http://www.citizen.org/pressroom/release.cfm?ID=2174

2月8日12:00掲載 9日0:30更新 10日12:50更新


2007年02月08日 12:00 投稿

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