抗肥満薬オルリスタットの安全性

 日本でもOTC医薬品としての開発がすすめられているオルリスタット(orlistat、販売名:OTC薬-Alli、処方せん薬-Xenical)ですが、米医薬品監視団体のPublic Citizen は14日、販売中止を求める請願書をFDAに提出したことを明らかにしています。

Petition to Ban Orlistat (Alli, Xenical)
(Public Citizen 2011.04.14)
http://www.citizen.org/hrg1942

 Public Citizen では、FDAの有害事象のデータベースを調べたところ、オルリスタットを服用した患者さんから急性膵炎47例、腎結石73例の報告があったと指摘、「オルリスタットは、太りすぎであるか太りすぎである人々に用いられる薬であるが、臨床効果はほとんどなく、肝臓や膵臓、腎臓などのいくつかの臓器にダメージを与える可能性がある」として、販売の中止を求めています。

 Public Citizen による請願は今回が2回目ですが、Arch Intern Med 誌のLetterでも、カナダ・Ontalio Health Data を用いて、腎障害の懸念を示した投稿が行われています。(全文は読めないので、詳細は不明)

Orlistat and Acute Kidney Injury: An Analysis of 953 Patients
Arch Intern Med. 2011;171(7):703-704)
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/extract/171/7/703

 OTC医薬品としても使用されていることもあり、欧米では使用が多く、関連性の可能性がある有害事象の報告も一定数あるとは思いますが、こういった安全性への懸念が広がるとなると、日本での開発に足かせとなる可能性があるかもしれません。

 いまのところGSK社やRoche社からは、正式なコメントはでていませんが、Alliにビタミン剤などを加えたOTC薬を新たに販売する動きが一方ですすんでいるようです。

関連情報:TOPICS
  2010.05.27 オルリスタット使用による肝障害がラベル追記へ(米FDA)
  2009.08.25 抗肥満薬オルリスタットと肝障害
  2009.01.22 OTC抗肥満薬を欧州委員会が承認
  2009.01.14 大正製薬、抗肥満薬オルリスタットの開発・販売権を取得
  2007.02.08 OTC肥満症治療薬が米国でも承認

参考:
Weight Loss Drugs: Public Citizen Calls for Ban on Alli, Xenical
(ABC 2011.04.14)
http://abcnews.go.com/Health/w_DietAndFitness/
weight-loss-drugs-consumer-watchdog-calls-ban-alli/story?id=13376523

Watchdog group makes 2nd push to ban diet pill
(CBSNEWS 2011.04.14 AP配信)
http://www.cbsnews.com/stories/2011/04/14/ap/business/main20054002.shtml?


2011年04月15日 11:59 投稿

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