日本におけるX(Twitter)を通じた処方薬の違法取引の現状は?

「おくすりもぐもぐ」という検索ワードを用いてX上で取引される医薬品の特徴を特定し、取引される医薬品の種類やハッシュタグの利用状況など、Xの投稿に関連する個人の行動を分析することを目的に行われた研究です。(2024.06.02に投稿したものを再構成しました)

JMIR Form Res. 2024 May 28】
Illicit Trade of Prescription Medications Through X (Formerly Twitter) in Japan: Cross-Sectional Study
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11167319/

2022年9月18日から10月1日までに投稿された961件のうち549投稿を解析、うち491件(89.4%)で、ハッシュタグ「おくすりもぐもぐ」を含んでいた。

うち287件(52.3%)の投稿には少なくとも1つの医薬品名が含まれており、205件(37.3%)の投稿には販売促進のためのと思われる画像が含まれていた。

さらに購入目的(購入したい、購入したい、手に入れたいなど)の投稿(67件)や、販売に関する投稿(販売の宣伝、薬を無料で配布)の投稿(170件)の投稿を分類したところ、神経系に作用する薬が大部分(82.1%)を占めた。

また投稿には、これから飲みます、飲みましたといった状況をの投稿(Self-administration)も119件(21.7%)あった。

投稿で多かった薬剤は

購入目的

  1. フルニトラゼパム
  2. ゾルピデム
  3. エチゾラム
  4. メチルフェニデート
  5. エスゾピクロン

販売目的

  1. フルニトラゼパム
  2. ロラゼパム
  3. リスペリドン
  4. ゾルピデム
  5. クロナゼパム

Self-administration

  1. フルニトラゼパム
  2. ブロン
  3. ゾルピデム
  4. エチゾラム
  5. メジコン(OTC)

と続いた

今回の研究で注目となったのは、レンボレキサントやOTCデキストロメトルファンが新たに検出されたこと。

SNSのデジタル化により、個人が規制を回避することが容易になったこと、一般用医薬品によるODは、麻薬や覚せい剤による依存とは異なることが明らかになった

一般用医薬品の購入は合法であるため、規制措置による完全な禁止は難しい。

SNSの利用によってODのリスクが高まる可能性がある人に対しては、規制による取り締まりではなく、自助グループとの接触や、そのような利用者が現実の世界に存在することを単純に認めることが、ODのリスクを減らす効果的な戦略となりうるとした。

関連研究:
An Exploration of Social Circles and Prescription Drug Abuse Through Twitter
(J Med Internet Res. 2013 Sep 6)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3785991/


2025年10月12日 13:49 投稿

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