診療報酬改定に係るこれまでの議論整理(案)(1/13中医協)

 1月13日開催の中医協で、これまでの議論をまとめたものが示されました。

第322回中央社会保険医療協議会 総会(2016.01.13開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000108957.html

平成28年度診療報酬改定に係るこれまでの議論整理(案)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000109149.pdf

 以下に、薬剤師関連部分を挙げておきます。(再掲の部分もそのままにしました)  この内容で確定したわけではありませんが、今回は多くの変更点や新たな算定要件があります。(細かい算定要件も今後議論を呼びそう) おそらく、4月からはこれに忙殺され、健康サポート機能どころではないかもしれません。(赤字でコメントを入れておきます)

Ⅰ 地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点
Ⅰ-3 地域包括ケアシステム推進のための取組の強化について
【Ⅰ-3-1 かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価について】
(4)患者本位の医薬分業の実現に向けて、患者の服薬状況を一元的・継続的に把握して業務を実施するかかりつけ薬剤師・薬局を以下のように評価する。

① 患者が選択した「かかりつけ薬剤師」が、処方医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で患者に対して服薬指導等を行う業務を薬学管理料として評価する。
② ①の評価に加え、地域包括診療料又は地域包括診療加算が算定される患者に対してかかりつけ薬剤師が業務を行う場合は、調剤料、薬学管理料等に係る業務を包括的な点数で評価することも可能とする。
③かかりつけ薬剤師が役割を発揮できる薬局の体制及び機能を評価するため、基準調剤加算について、「患者のための薬局ビジョン」を踏まえ、在宅訪問の実施、開局時間、相談時のプライバシーへの配慮等の要件を見直す。
④患者が薬局における業務内容及びその費用を理解できるよう、かかりつけ薬剤師を持つことの意義、利点等を含め、患者に対する丁寧な情報提供を推進する。

  • 「かかりつけ薬剤師」をどう定義するんでしょうね?
  • かかりつけ医がフォローしている患者(地域包括診療料又は地域包括診療加算が算定される患者)については、別建ての報酬体系ができるってこと? 一定金額以上は何度来局しても薬代だけでいいとか?
  • 基準調剤加算と健康サポート薬局の届け出とリンクするのかどうか?

【Ⅰ-3-2 医師、歯科医師、薬剤師、看護師等による多職種連携の取組の強化等について】
(1) 特定集中治療室等の高度急性期医療を担う治療室において、薬剤関連業務を実施するために薬剤師を配置し、多職種の連携を推進している場合を評価する。

【Ⅰ-3-3 患者が安心・納得して退院し、早期に住み慣れた地域で療養や生活を継続できるための取組の推進について】
(9)在宅薬剤管理指導業務を推進する観点から、以下のような見直しを行う。
①医師との連携による薬剤師の在宅業務を推進するため、在宅薬剤管理指導業務において、医師の処方内容に対する疑義照会に伴い処方変更が行われた場合を評価する。
② 在宅患者訪問薬剤管理指導料について、薬剤師1人が行う算定制限と、同一世帯に居住している複数の患者に対して在宅患者訪問薬剤管理指導業務を行った場合の評価を見直す。
③介護老人福祉施設に入所している患者に対して、施設での適切な服薬管理等を支援するために、当該施設を訪問して保険薬剤師が行う薬学的管理を評価する。

(10) 医療機関の薬剤師が行う在宅患者訪問薬剤管理指導料について、Ⅰ-4(9)②に合わせて見直す。

Ⅱ 患者にとって安心・安全で納得できる効果的・効率的で質が高い医療を実現する視点
Ⅱ-1 かかりつけ医の評価、かかりつけ歯科医の評価、かかりつけ薬剤師・薬局の評価について

(4)患者本位の医薬分業の実現に向けて、患者の服薬状況を一元的・継続的に把握して業務を実施するかかりつけ薬剤師・薬局を以下のように評価する。(Ⅰ-3-1(4)再掲)
① 患者が選択した「かかりつけ薬剤師」が、処方医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で患者に対して服薬指導等を行う業務を薬学管理料として評価する。
② ①の評価に加え、地域包括診療料又は地域包括診療加算が算定される患者に対してかかりつけ薬剤師が業務を行う場合は、調剤料、薬学管理料等に係る業務を包括的な点数で評価することも可能とする。
③かかりつけ薬剤師が役割を発揮できる薬局の体制及び機能を評価するため、基準調剤加算について、「患者のための薬局ビジョン」を踏まえ、在宅訪問の実施、開局時間、相談時のプライバシーへの配慮等の要件を見直す。
④患者が薬局における業務内容及びその費用を理解できるよう、かかりつけ薬剤師を持つことの意義、利点等を含め、患者に対して丁寧な情報提供を推進する。

Ⅱ-2 情報通信技術(ICT)を活用した医療連携や医療に関するデータの収集・利活用の推進について

(4) お薬手帳については、電子版の手帳であっても、紙媒体と同等の機能を有する場合には、算定上、紙媒体の手帳と同様の取扱いを可能とする。

Ⅲ重点的な対応が求められる医療分野を充実する視点
Ⅲ-7 かかりつけ薬剤師・薬局による薬学管理や在宅医療等への貢献度による評価・適正化について
(1)患者本位の医薬分業の実現に向けて、患者の服薬状況を一元的・継続的に把握して業務を実施するかかりつけ薬剤師・薬局を以下のように評価する。(Ⅰ-3-1(4)再掲)
① 患者が選択した「かかりつけ薬剤師」が、処方医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で患者に対して服薬指導等を行う業務を薬学管理料として評価する。
② ①の評価に加え、地域包括診療料又は地域包括診療加算が算定される患者に対してかかりつけ薬剤師が業務を行う場合は、調剤料、薬学管理料等に係る業務を包括的な点数で評価することも可能とする。
③かかりつけ薬剤師が役割を発揮できる薬局の体制及び機能を評価するため、基準調剤加算について、「患者のための薬局ビジョン」を踏まえ、在宅訪問の実施、開局時間、相談時のプライバシーへの配慮等の要件を見直す。
④患者が薬局における業務内容及びその費用を理解できるよう、かかりつけ薬剤師を持つことの意義、利点等を含め、患者に対して丁寧な情報提供を推進する。

(2) 薬剤師・薬局による対人業務の評価を充実する観点から、以下のような見直しを行う。
① 薬剤服用歴管理指導料は、業務の実態も考慮しつつ、服薬状況の一元的な把握のために患者が同一の保険薬局に繰り返し来局することを進めるため、初回来局時の点数より、2回目以降の来局時の点数を低くする。ただし、調剤基本料の特例の対象となる保険薬局は除く。
②医師と連携して服用薬の減薬等に取り組んだことを評価するため、重複投薬・相互作用防止加算については、算定可能な範囲を見直す。見直しに伴い、疑義照会により処方内容に変更がなかった場合の評価は廃止する。
③調剤後における継続的な薬学的管理を推進するため、以下のような見直しを行う。
患者宅にある服用薬を保険薬局に持参させた上で管理・指導を行うことで残薬削減等に取り組むことを評価する。
イ 現行の対象に加え、やむを得ない事情がある場合等に、分割調剤を活用することを可能とする。これに伴い、分割調剤を行う場合の調剤基本料等の評価を見直す。

  • 今回も分割調剤は結局任意となってしまうのか?
  • 処方(日)数の減については事後連絡でも可とするか?

④継続的な薬学的管理を評価した服薬情報等提供料及び長期投薬情報提供料については、類似の業務内容を評価するものであることから、統合する。

⑤対物業務から対人業務への構造的な転換を進めるため、内服薬の調剤料や一包化加算の評価を見直すとともに、対人業務に係る①の薬剤服用歴管理指導料等の薬学管理料を充実する。

⑥ お薬手帳については、電子版の手帳であっても、紙媒体と同等の機能を有する場合には、算定上、紙媒体の手帳と同様の取扱いを可能とする。(Ⅱ-2(4)再掲)

⑦お薬手帳について、薬剤服用歴管理指導料による点数の差を設けている現行の取扱いを見直し、患者が手帳を持参して来局することで①の低い点数が算定できるようにする。

(3)在宅薬剤管理指導業務を推進する観点から、以下のような見直しを行う。
(Ⅰ-4(9)再掲)
①医師との連携による薬剤師の在宅業務を推進するため、在宅薬剤管理指導業務において、医師の処方内容に対する疑義照会に伴い処方変更が行われた場合を評価する。
②在宅患者訪問薬剤管理指導料については、薬剤師1人が行う算定制限及び同一世帯に居住している複数の患者に対して在宅患者訪問薬剤管理指導業務を行った場合の評価を見直す。
③介護老人福祉施設に入所している患者に対して、施設での適切な服薬管理等を支援するために、薬局又は当該施設において保険薬剤師が行う薬学的管理を評価する。

Ⅳ効率化・適正化を通じて制度の持続可能性を高める視点
Ⅳ-1 後発医薬品の使用促進・価格適正化、長期収載品の評価の仕組みの検討について
(1) 後発医薬品の更なる使用促進を図る観点から、以下のような見直しを行う。
①薬局における後発医薬品調剤体制加算について、新たな数量シェア目標値を踏まえ要件を見直す。また、後発医薬品調剤体制加算とは別の後発医薬品使用促進策として、特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤割合が高く、後発医薬品の調剤数量の割合が低い保険薬局については、基準調剤加算を算定できないこととする。

  • 近隣の医療機関が先発指向の場合はどうにもならないってことですね

②医療機関における後発医薬品の使用促進のため、以下のような見直しを行う。
ア後発医薬品使用体制加算の評価について、後発医薬品調剤体制加算と同様の計算式(新指標)に改める。
イ院内処方における後発医薬品の使用促進の取組を評価する。
ウ DPC対象病院における後発医薬品係数の評価上限を見直す。
③一般名での処方を促進するための評価の見直しを行う。
処方時に後発医薬品の銘柄を記載した上で変更不可とする場合には、処方せんにその理由を記載する。

  • こんなこと本当にできるのかなあ。どんな理由が出てくるか楽しみ。

(2) 新規後発医薬品の薬価は「先発品の100分の60を乗じた額(内用薬については、銘柄数が10を超える場合は100分の50を乗じた額)」とすることとされているが、「先発品の100分の50を乗じた額(内用薬については、銘柄数が10 を超える場合は100分の40を乗じた額)」とする。

(3)長期収載品の薬価における、一定期間を経ても後発医薬品への適切な置換えが図られていない場合の「特例的な引下げ」の対象となる後発医薬品の置換え率について、新たな数量シェア目標を踏まえ、「20%未満」、「20%以上40%未満」、「40%以上60%未満」の3区分をそれぞれ「30%未満」、「30%以上50%未満」、「50%以上70%未満」と引き上げる。

Ⅳ-3 残薬や重複投薬、不適切な多剤投薬・長期投薬を減らすための取組など医薬品の適正使用の推進について
(1) 多種類の内服薬を服用している患者について、服薬に起因する有害事象を防止するとともに、服薬アドヒアランスを改善するために、当該患者に対して処方薬剤を減少させる取組を行い、処方薬剤数が減少した場合について評価する。
(2) 残薬、重複投薬、不適切な多剤投薬・長期投薬を減らすための取組等、薬物療法の安全性・有効性の向上や医療費適正化の観点から、医師と薬剤師が連携して、患者の処方薬剤を適正化する取組を評価する。
①医師と連携して服用薬の減薬等に取り組んだことを評価するため、重複投薬・相互作用防止加算については、算定可能な範囲を見直す。見直しに伴い、疑義照会により処方内容に変更がなかった場合の評価は廃止する。(Ⅲ-7(2)② 再掲)
②調剤後における継続的な薬学的管理を推進するため、以下のような見直しを行う。(Ⅲ-7(2)③再掲)
ア患者宅にある服用薬を薬局に持参させた上で管理・指導を行うことで残薬削減等に取り組むことを評価する。
イ 現行の基準に加え、やむを得ない事情がある場合等に、分割調剤を活用することを可能とする。これに伴い、分割調剤を行う場合の調剤基本料等の評価を見直す。
③医師との連携による薬剤師の在宅業務を推進するため、在宅薬剤管理指導業務において、医師の処方内容に対する疑義照会に伴い処方変更が行われた場合を評価する。(Ⅰ-4(9)① 再掲)
④保険医療機関と保険薬局が連携して、円滑に残薬確認と残薬に伴う日数調整を実施できるよう、処方等の仕組みを見直す。

  • 処方(日)数の減については事後連絡でも可とするか?

(3)薬剤師による服薬管理を推進する観点から、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」を改正し、正当な理由なく療養に関する指導に従わない患者等を把握した場合について、保険者への通知義務を規定する。

  • 具体的にはどういうこと?

Ⅳ-4 患者本位の医薬分業を実現するための調剤報酬の見直しについて患者本位の医薬分業を推進する観点から、以下のような見直しを行う。
(1)現行の処方せん受付回数及び特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤割合に基づく調剤基本料の特例対象範囲について拡大する。
(2)大型門前薬局の評価の適正化のため、医療経済実態調査に基づく薬局の収益状況、医薬品の備蓄等の効率性等も踏まえ、規模の大きい薬局グループであって、特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が極めて高い等のいわゆる大型門前薬局については、調剤基本料の評価を見直す。

  • どこで線引きをするか?そもそも実現するかどうか?

(3)(1)又は(2)で特例の対象となった保険薬局であっても、かかりつけ薬剤師としての業務を一定以上行っている場合には特例の対象から除外する。これに伴い、現在の特例対象を除外するための24時間開局の要件は廃止する。
(4)妥結率が低い場合に調剤基本料の特例対象とする取扱いについては、薬局における妥結状況の推移等を踏まえ、一部見直す。
(5)調剤基本料として算定する点数が随時把握できるように、算定する基本料の点数を施設基準の内容に含め、地方厚生(支)局へ届け出ることとする。
(6) 前述の「かかりつけ薬剤師・薬局の評価」(Ⅰ-3-1(4))、「在宅薬剤管理指導業務の推進」(Ⅰ-4(9))及び「対人業務の評価の充実」(Ⅲ-7)に係る調剤報酬の算定回数を踏まえ、かかりつけ機能に係る業務を一定期間行っていないと判断される薬局については評価を見直す。

Ⅳ-6 医薬品、医療機器、検査等の適正な評価について

(5)一度に多量に処方される湿布薬が一定程度あり、その状況が地域によって様々であることを踏まえ、残薬削減等の保険給付適正化の観点から、以下のような見直しを行う。
一定枚数を超えて湿布薬を処方する場合には、原則として処方せん料、処方料、調剤料、調剤技術基本料及び薬剤料を算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず一度に一定枚数以上投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することとする。
湿布薬の処方時は、処方せんや診療報酬明細書に、投薬全量のほか、具体的な用量等を記載することとする。

  • 現場、特に処方する側には相当負担だよな。疑義照会も増えそうだし。いっそのこと一定枚数を超えた薬剤費も自費すればいいと思う。

(6)食品である経腸栄養用製品について、医薬品である経腸栄養用製品との給付額の均衡を図る観点から、以下のような見直しを行う。
①食品である経腸栄養用製品のみを使用して栄養管理を行っている場合の入院時食事療養費等の額について、一定の見直しを行う。
②特別食加算を算定できる取扱いについて見直し、食品である経腸栄養用製品のみを使用する場合には、入院時食事療養費又は入院時生活療養費に含まれることとする。

  • 外来で栄養剤代わりに処方されているケースはいいのかなあ


2016年01月13日 13:51 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    頻繁にかかりつけ薬剤師という言葉が出てくるのですが、いったいどのようなものなのでしょうか? 現時点ではっきりしていないものを新たな診療報酬に取り込むのはいかがなものでしょうか? かかりつけ薬局ならまだわかるのですが、

    算定要件には流動的な部分が少なくありません。

    特に、分割調剤についてはこのままだとこれまで通り限定的なものになる可能性があります。

    パブリックコメントが開始されました。、是非皆さんも疑問や要望、意見を出しましょう。
    22日(金)までです。

    「平成28年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(現時点の骨子)」に関するご意見の募集について
    (厚労省2016.01.14)
    http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p20160113-01.html

    平成28年度診療報酬改定に係るこれまでの議論整理
    http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/dl/p20160113-01a.pdf
    (案からの追加変更はないようです)

  2. アポネット 小嶋

    2月3日の中医協でパブコメの結果概要が示されています。100人以上の方が意見を提出しています。(でも最終的にはあまり反映されないんだよな)

    第327回中央社会保険医療協議会 総会(2016.02.03)
    http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000111159.html

    「平成28年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(現時点の骨子)」
    に関するご意見の募集の結果について
    http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000111305.pdf