自治体が後発医薬品調剤率で薬局をランク付け?(生駒市)

 奈良県生駒市では、医療費削減などを目的に、後発医薬品調剤割合でジェネリック医薬品への取り組み状況を認定する「ジェネリック医薬品推奨薬局」という制度を開始したそうです。

“ジェネリック薬局”認定 ステッカー張り出しも 奈良・生駒市
(産経新聞・奈良版 2012.02.28)
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120228/nar12022802110001-n1.htm

奈良県生駒市  後発品使用促進へ推奨薬局を認定、金銀銅に3分類
(日刊薬業WEBフリーサイト 2012.02.27)
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/gyosei/article/1226567027202.html?pageKind=outline

 上記記事によれば、後発医薬品の調剤割合が全体の30%以上の場合は金、25%以上は銀、20%以上は銅と、住民にわかりやすいように色分けして分類して認定、独自のステッカーを作成し店頭に張り出すことも近く開始されるそうです。(一応制度の趣旨に賛同した薬局となっていますが、自治体認定となると・・・・)

 単純に考えれば、施設基準の加算(後発医薬品調剤体制加算)についての掲示事項をそのまま活用し、住民にとってわかりやすくしたものですが、これをもって自治体がわざわざ推奨薬局とすることには、少し違和感があります。

 後発医薬品への変更調剤は、薬局の取組意欲だけでは増えるわけではありません。薬局の立地や近隣医療機関の後発医薬品に対する理解度によっては、変更したくてもできない状況も十分考えられるからです。

 4月からは、処方せん様式の変更もあるので、制度導入のそれなりの意味はあるのでしょうが、きっと生駒市は、後発品変更不可の処方せんがさぞかし少ないのでしょうね。

 制度の詳細は現時点では不明ですが、後発医薬品の在庫数などは考慮されているのでしょうか? 調剤割合が高いからといって、どんな処方でも後発医薬品への変更が可能(なだけの後発医薬品の在庫数がある)とは限らないからです。

 また、賢い消費者は「ステッカーがあるところは加算の分だけ高い」と考えるかもしれません。

 生駒市の今回の取組は一定の理解はできますが、果たして、院外処方をとりまくこういった状況がどれだけ考慮されているのでしょうか?

 後発医薬品の調剤率のみで自治体がいわば薬局をランク付けするともいえるこの制度について、 地元の薬局はどう考えているのか聞いてみたいものです.

 こういった制度を導入するのであれば、どこの薬局でもらっても薬の価格は同じにする、後発品への変更(銘柄変更も含む)などのルールをさらに柔軟にするなどの条件も整わないと、また違った意味で利用されないかと思うのは私だけでしょうか?


2012年02月28日 12:42 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    生駒市はウェブサイトに制度についての紹介ページをアップしています。

    ジェネリック医薬品利用推進について
    (生駒市 2012年2月29日)
    http://www.city.ikoma.lg.jp/topic/detail6155.html

    一部業界紙記事によれば、賛同しなかった薬局もあったようです。

  2. アポネット 小嶋

    生駒市の一般向け資料と重複しますが、記者向けの資料が日本ジェネリック医薬品学会のウェブサイトに掲載されています。

    生駒市におけるジェネリック医薬品推進事業について
    ~「ジェネリック医薬品利用推進のまちいこま」を目指して~
    (生駒市担当記者様 2012年2月24日)
    http://www.ge-academy.org/img/120224press-sheet.pdf