ラジレスとARB/ACEの併用は高カリウム血症のリスクを高める

 現在、糖尿病患者へのアリスキレン(ラジレス)とACE阻害薬/ARBとの併用を控える勧告(TOPICS 2011.12.28)が行われていますが、併用療法における高カリウム血症の発症リスクを調べたメタアナリシスがBMJ誌のオンライン版に掲載されています。(薬剤師関連のstudyについて、一部については下記のスタイルで紹介しています。記述法などに誤り等ございましたらご指摘下さい。)

研究の
目的
レニン-アンジオテンシンシステムをブロックする薬剤とアリスキレン(ラジレス)と併用した場合の安全性を調べる
研究の方法 Systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials
どんな患者が研究の対象? 4週間以上の治療が行われた10のRCT、4814人のデータを解析(利尿薬など配合剤の使用者は除外)
何を指標? 血清中のカリウム濃度が5.5mmol/l 超、血清クレアチニン値が 2.0mg/dL 超
何を比較? アリスキレン単独療法及びACE阻害薬またはARBの単独療法と、これらの併用療法における高カリウム血症・急性の腎障害の発症リスク
わかったこと 併用療法における高カリウム血症の発症リスクは、ACE阻害薬/ARBの単独療法と比べ1.58倍、アリスキレンとの単独療法と比べ1.67倍高かった。一方、急性の腎障害のリスクはACE阻害薬/ARBの単独療法で1.14倍、アリスキレンとの単独療法で0.80倍で有意差は認められなかった。
コ メ ン ト 研究者らはアリスキレンを併用することの意味(役割)や安全性を明らかにするさらなる研究が必要だとしています。(一時的な措置として、糖尿病患者への併用療法を控えることの勧告がでているけれども、糖尿病患者に限るとさらにリスクは増えるのかなあ?)
論 文 名 The effect of combination treatment with aliskiren and blockers of the renin-angiotensin system on hyperkalaemia and acute kidney injury: systematic review and meta-analysis
掲載雑誌 BMJ 2012;Published 9 January 2012
リ ン ク http://www.bmj.com/content/344/bmj.e42
(オープンアクセス)

2012年01月11日 12:39 投稿

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