公衆衛生分野における薬剤師活動の認知と期待はこれから

 ”Public health community pharmacy”をキーワードにGoogle検索をしていたらヒットした、つい最近発表された論文です。

Public health in community pharmacy: A systematic review of community pharmacist and consumer views.
(BMC Public Health 2011, 11:582 Published: 21 July 2011)
http://www.biomedcentral.com/1471-2458/11/582/abstract
http://www.biomedcentral.com/content/pdf/1471-2458-11-582.pdf

 この研究はタイトルの通り、地域薬局で行われている禁煙支援などの公衆衛生分野の活動について、薬剤師などの地域薬局のスタッフ、生活者(消費者)に対して行われた調査研究(67paperの63の研究)をレビューし、地域薬局における公衆衛生活動の現状と評価について分析したものです。

分野 国別内訳
Smoking Cessation 13 USA (7), Canada (2), Finland (1),Turkey (1), Australia (1), Thailand (1).
EHC (緊急避妊薬) 12 USA (4), UK (3), Sweden (2), Canada(1), Various Europe (1), Australia (1).
Health Promotion and Screening 12 UK (3), Sweden (2), Nigeria (2),Australia (2), Moldova (1), Malaysia(1), USA (1).
Drug Misuse 12 UK (9), USA (1), Vietnam (1), Estonia(1).
Chlamydia 5 UK (4), The Netherlands (1).
Osteoporosis Screening 3 USA (2), UK (1).
Type 2 Diabetes 2 United Arab Emirates (1), USA (1).
Weight Management 2 USA (1), UK (1).
Alcohol consumption 1 New Zealand (1).
Asthma Management 1 Finland (1).

 63の研究を選ぶにあたっては、5628ものアブストラクトなどにあたったそうなので、世界各地で様々な公衆衛生分野の活動が行われていることがわかります。(論文の引用論文を見るだけでも興味深い)

 研究者らによれば、多くの薬剤師は公衆衛生分野のサービスをが地域薬局の役割の一つと考えている一方、生活者の反応が鈍いこと、十分なカウンセリング・スペースが確保できないこと、時間の確保など障壁が少なくなく、またトレーニングの必要性などが明らかになったとしています。

 また、大部分の薬局利用者は薬剤師による公衆衛生サービスをこれまで受けたことがないことから、期待感は少ないのが現状としていますが、薬剤師を公衆衛生アドバイスの適切な提供者とは考えてくれているようです。(ただ、その能力については見解が分かれた) 

 一方で、実際にサービスを受けた人の満足度は高かったとしています。

 日本では、この分野の活動といえば禁煙支援くらいで、学校薬剤師活動という独自のものもありますが、Health Promotion や Screening などを模索している世界の地域薬剤師を見るとうらやましくも思います。

 世界ではこの20年で地域薬局の業務が大きく変わろうとしていますが、今回の論文は、この10年間に発表された地域薬局が取り組む公衆衛生分野の活動を示したもので大変興味深いものですが、その認知と評価はまだまだこれからのようです。

 研究者らは、これら公衆衛生分野のサービスを充実させるためトレーニングが必要であり、それにより、積極的なサービスの提供が可能だとしています。

関連情報:TOPICS
 2010.05.08 公衆衛生分野における薬剤師活動の認知度と期待度(英国)
 2008.04.05 薬剤師はさらなる役割を担うべき(英国)
 2007.03.14 薬局における健康教育のためのツール(英国)


2011年07月28日 16:18 投稿

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