タミフルの10代患者の使用制限は妥当(厚労省作業部会)

 3日、タミフルの服用と飛び降りなど異常行動との関連の検討を行う「第8回リン酸オセルタミビルの臨床的調査検討のためのワーキンググループ(臨床WG)」が非公開で開かれ、WGとして「因果関係は明確に分からず、10代への原則使用中止は妥当だ」との見解をまとめたそうです。

 WGの資料が即日公表され、TOPICS 2009.04.19の記事の通り、10代の子どもが服用した場合、飛び降りなどの深刻な異常行動をとるリスクが1.54倍高くなるとした解析結果となっていましたが、報告書(資料1)をみると事故につながったり、他人に危害を与えたりする可能性がある異常行動=「異常行動・異常言動A」は、OR 1.25(95%CI:0.37-4.23)、10歳以上に限定する場合は 1.54(0.09-26.2)となっていて、統計学的には有意差はないということになります。

第8回リン酸オセルタミビルの臨床的調査検討のためのワーキンググループ(臨床WG)
 (2009年6月3日開催)
  http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/06/s0603-6.html

 共同通信によれば、今回の報告書について研究班はデータの不足から「解析結果は不安定だ」と評価し、因果関係の有無は断定できないとし、明確な結論を得るためには、「異常行動・異常言動A」を発現した患者を症例とした、症例対照研究を実施すべきだとしています。

 一方、新型インフルエンザへの対応については、「タミフルを使用できるケースを具体的に示す必要がある」との意見がWGで出され、日本感染症学会などと今後検討を進めるとのとのことです。

 今回のWGの見解は、近く開かれる同省安全対策調査会に報告され、10代へのタミフルの使用制限の継続が正式に決まる見通しです。

 なお、厚労省の研究斑がまとめた研究斑がまとめた報告書については、解析方法自体に誤りがあるとした下記の様な指摘もあります。

タミフル:厚労省(廣田班)最終報告でも計算間違いは正されず問題は解決しない
   (『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No117 2009.4.28)
       http://npojip.org/sokuho/090428.html

関連情報:TOPICS
  2009.04.19 深刻な異常行動は、タミフルと関連か
  2008.12.29 10代へのタミフルの使用制限見直し、今シーズンは見送りへ

参考:
タミフル10代中止、継続へ 厚労省作業部会が見解
   (47NEWS 6月3日 共同通信配信)
 http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009060301001007.html
タミフル:異常行動との因果関係不明 厚労省研究班(毎日新聞6月3日)
 http://mainichi.jp/select/science/news/20090604k0000m040100000c.html
タミフル:現場に難しい判断…結論あいまい 厚労省調査(毎日新聞6月3日)
 http://mainichi.jp/select/science/news/20090604k0000m040156000c.html


2009年06月04日 01:21 投稿

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