プロピルチオウラシルは第二選択とすべき(米FDA)

 米FDAは3日、抗甲状腺薬のプロピルチオウラシル(PTU:チウラジール、プロパジール)について、重大な肝障害の報告があるとして、バセドウ病(米国では、“Graves’ disease”というようです)の治療で抗甲状腺薬を使用する場合には第一選択薬としないよう注意を呼びかけました。

FDA Warns About Serious Liver Injury Associated With Anti-Thyroid Drug
  (FDA NEWS 2009.06.03)
 http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm164207.htm

Propylthiouracil (PTU)-Induced Liver Failure(→リンク
  (FDA ALERT 2009.06.03) 

 FDAによれば、1969年〜2008年に32の重大な肝障害の報告があり、成人22例では12例で死亡、5例で移植が必要となり、小児10例では1例で死亡、6例で移植が必要となったそうです。

 FDAでは、PTUはメチマゾール(チアマゾール)にアレルギーまたは過敏症である患者、妊娠第一三半期の患者のみ使用をすべきとして、医療関係者に対して次のような勧告を行っています。

  • PTUを投与中の患者は肝機能に異常がないかどうか定期的にモニターすること(特に投与開始6ヶ月)
  • 肝機能の異常が認められた場合はPTUは直ちに中止し、臨床症状などに変化がないかどうか観察を行うこと
  • 小児への投与は、チアマゾールにアレルギーまたは過敏症がある患者以外は使用しないこと

 本剤について、日本の添付文書では禁忌の項に
「本剤使用後肝機能が悪化した患者〔本剤使用後肝機能が悪化した例で,継続投与中,劇症肝炎が発生したことがある.〕」
 という記載がある他、慎重投与の項に
「肝障害のある患者〔肝障害が更に悪化するおそれがあるので,定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い,検査成績又は臨床症状に悪化が認められた場合には,本剤の投与を中止し肝機能検査を含む観察を繰り返して,本剤との因果関係を確かめ,その状況に応じて適切な処置を行うこと.〕」
 の記載があります。


2009年06月04日 10:39 投稿

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