長期間のPPIの使用は低マグネシウム血症のリスクあり(米FDA)

 米FDAは2日、PPIを長期間(およそ1年以上)使用した場合、低マグネシウム血症を起こす可能性があるとして注意を呼びかけています。

FDA Drug Safety Communication: Low magnesium levels can be associated with long-term use of Proton Pump Inhibitor drugs (PPIs)
(FDA safety Information 2011.03.02)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm245011.htm

日本語訳概要が海外公的機関 医薬品安全性情報Vol.9 No.7に掲載されています。
 http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly9/07110331.pdf

 FDAでは、副作用報告システムに寄せられた事例や文献報告などの38事例を検討、低マグネシウム血症は服用3か月で発現した場合あるが大部分は服用1年以上で発現し、発現した場合、1/4についてはマグネシウムの補給だけでは改善することができず、PPIの中止を余儀なくされているそうです。

 米国では、PPIはOTCとしても販売されていますが14日の使用制限があることから、FDAではOTCによる短期使用については心配はいらないとしています。

 FDAをこれを受け、医療専門職に対して次のような注意を呼びかけています。

  • PPIによる長期の治療を行う場合は定期的な血清マグネシウムレベルのチェックを行うとともに、ジゴキシンなどや利尿剤など低マグネシウム血症を引き起こす可能性がある薬剤を服用する場合にはPPIの使用開始前に血清マグネシウムレベルのチェックを検討しなさい
  • 低マグネシウム血症は、ループ利尿薬(フロセミド、ブメタニド、torsemide、エタクリン酸)とチアジド利尿薬(クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、メトラゾン)で起こることがしられている。
  • 利尿剤は、単剤として使われる他、他の高血圧治療薬(例えばベータ受容体遮断薬、アンジオテンシン受容体遮断薬やACE阻害剤)との合剤としても配合されており、これらが低マグネシウム血症を引き起こすことに留意する必要がある。
  • PPIを服用している患者から、不整脈やテタニー、震戦または発作などの症状を感じた場合には、すぐに医療機関に受診するよう助言しなさい。これらの症状は、低マグネシウム血症の徴候であるかもしれない。
  • 低マグネシウム血症を呈する患者に対してはマグネシウムの補給に加えてPPIの中止を必要とするかもしれない。
  • 生活者によるPPIのOTC製品のラベルの指示を越える期間の服用が行われる可能性がある、これは、承認外使用(認められていない)使用と考えられる。生活者がPPIをOTCの長期間使用することが見受けられる場合は、医療専門職は低マグネシウム血症のリスクを伝えるべきである。

 日本でも、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールなどのPPIは、逆流性食道炎の維持療法(と称して)に広く使われていますが、3剤とも副作用の項に、低マグネシウム血症の記載はありません。

 緩下剤として酸化マグネシウムが使われることがあり、こういったリスクは潜在化している可能性もあり、私たちも留意することが必要でしょう。

関連ブログ:米国FDA警告:プロトンポンプ阻害剤長期使用による低マグネシウム血症
        (内科開業医のお勉強日記 2011月3月3日)
        http://intmed.exblog.jp/12211323/

3月31日リンク追加


2011年03月03日 11:44 投稿

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