2027年から薬局でのワクチン接種を許可へ(オーストリア)

欧州では、コロナ禍を契機に薬剤師によるワクチン接種が可能になっている国が増えつつあります。

オーストリア連邦政府はワクチン接種率を上げるには、情報提供や啓発キャンペーンと並んで、敷居の低いアクセスが不可欠だとして、来年から薬局でのワクチン接種を許可する計画を発表しています。

【Diepresse 2026.02.27】
Impfungen sollen ab 2027 auch in Apotheken möglich sein
https://www.diepresse.com/20633284/impfungen-sollen-ab-2027-auch-in-apotheken-moeglich-sein

オーストリア薬剤師会(Österreichische Apothekerkammer)は政府の決定を歓迎

Impfen in Apotheken: Apothekerkammer begrüßt Schritt der Bundesregierung
(オーストリア薬剤師会 2026.02.27)
https://www.apothekerkammer.at/presse/impfen-in-apotheken-apothekerkammer-begruesst-schritt-der-bundesregierung

薬局はオーストリア全土に網の目のように広がるインフラを備え、営業時間も長く、国民から高い信頼を得ています。したがって、薬剤師をワクチン接種体制に組み込むことは、接種率を向上させ、医師による既存の提供体制を、合理的かつ利用しやすく、サービス志向で補完するための、論理的かつ理にかなった一歩です

Apotheken dürfen künftig impfen: Durchbruch für Österreich
(2026.02.28)
https://pressefeuer.at/news/apotheken-duerfen-kuenftig-impfen-durchbruch-fuer-oesterreich-19325

一方、医師会は反対

その理由は日本と同じ論調である点が興味深いです

Ärztekammer läuft Sturm gegen Impfungen in Apotheken
(Heute 2026.02.28)
https://www.heute.at/s/aerztekammer-laeuft-sturm-gegen-impfungen-in-apotheken-120165579

12年間の厳しい訓練は、週末の講習で代替できるものではありません。患者に最善の医療アドバイスとケアを提供できるのは医師だけです。患者の安全が最優先事項であるべきであり、したがって、私たちはこの措置を拒否します。

国際的に見て、オーストリアは外来診療部門が十分に発達しており、診療所で十分なワクチン接種の選択肢がある。これは、薬局でのワクチン接種に頼らざるを得ない他国とは根本的に異なります。

こちらは勤務薬剤師のための団体によるものと思われるコメント

Impfen in der Apotheke
(VAAÖ 2026.02.27)
https://vaaoe.at/impfen-in-der-apotheke/

薬局でのワクチン接種は、国民、医療保険会社、医療制度、そして私たち薬剤師にとって、すべての人にとって有益です。

私たちは、強力な医師ロビーの抵抗に遭いながらも、長年にわたりこの目標に向けて着実に努力を続けてきました

オーストリア全土で3,000人以上が既にワクチン接種に関する研修課程を修了しています。

彼らは、いつかワクチンを接種できるようになることを純粋に期待して、ほとんど「自主的に」受講しました。これは、ワクチンで予防可能な疾病との闘いに貢献したいという医療従事者の強い関心と意欲を示すものです。

最後に、連立政権のオーストリア社会党(SPÖ)のコメントと思われるもの

【SPÖ 2026.03.01】
SPÖ setzt Impfungen in Apotheken durch – Neue Wege in Österreich
https://pressefeuer.at/news/spoe-setzt-impfungen-in-apotheken-durch-neue-wege-in-oesterreich-19333

医療分野のすべての関係者がこの新規制を歓迎しているわけではない。オーストリア医師会は懸念を表明しているが、シルヴァン氏はこうした批判を断固として否定している。「医師だけが安全なワクチン接種を保証できるという主張は、薬剤師の高い専門知識と、他国における多くの成功事例を無視している」。

オーストリアは薬局でのワクチン接種導入の先駆者ではなく、国際的な潮流に追随しているに過ぎない。アメリカ、カナダ、イギリス、そしていくつかのEU加盟国を含む多くの国では、何年も前から薬局でワクチン接種を受けることが可能となっている。

薬局でワクチン接種を受けられる選択肢ができれば、オーストリアの医療制度への負担を大幅に軽減できるだろう。過重な負担を抱え、待ち時間が長いことが多い一般開業医は、より複雑な症例に集中できるようになる。

特に医師不足がすでに顕著な農村地域では、薬局がプライマリーケアにおいて重要な役割を果たす可能性がある。これは、医療制度にますます大きな課題をもたらしている人口動態の変化にも対応できるだろう。

記事やプレスリリースを読んで感じたこと

  • 薬剤師が予防接種を行うことは国際的に一般的になっている
  • 薬局でワクチン接種を受けられる選択肢ができれば、医療システムの負担が大幅に軽減されるという認識が広がっている
  • 将来を見据えた研修の実施
  • さまざまな政治的な働きかけの必要性(日本ではいわば一党独裁の政治が続いているが、欧州の連立政権では、ある政党の公約として取り入れる可能性がある)

2026年03月19日 11:30 投稿

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