クロピドグレル(プラビックス)と後天性血友病

 論文あれこれ2013年5月で紹介したEMA PRACでのシグナル検出が、商品情報で注意喚起になっています。アイルランドの医薬品委員会と独BfArmで関連情報がアップされていました。

Plavix, DuoPlavin (clopidogrel) – Important Safety Information from Sanofi Ireland Ltd as approved by the Irish Medicines Board
(2013.08.26)
http://www.imb.ie/EN/Publications/Publications/Plavix-DuoPlavin-clopidogrel–Important-Safety-Information-from-Sanofi-Ireland-Ltd-as-approved-by-the-Irish-Medicines-Board.aspx

Informationsbrief zu Clopidogrel: Risiko von erworbener Hämophilie
(BfArm 2013.09.04)
http://www.bfarm.de/DE/Pharmakovigilanz/risikoinfo/2013/info-clopidogrel.html

 ググるといろんな言語出てきますが、下記英語アナウンスが元になっているようです。

Direct Healthcare Professional Communication on the association of clopidogrel
with acquired haemophilia
(Sanofi 2013.08.23)
http://www.imb.ie/images/uploaded/documents/Clopidogrel%20DHPC_acquired%20haemophilia_Final%2023%20Aug%202013.pdf

 PRACの議事録によれば、EudraVigilance と文献で、11例の報告があり、ググったところ、今年国内の学会でも症例報告が行われています。(タイトルしか見れなかったけど)

Minutes of the PRAC meeting 4-7 March 2013
(EMA Published Online 26 Apr 2013)
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Minutes/2013/04/WC500142504.pdf#page=15

文献での症例報告

Acquired haemophilia A may be associated with clopidogrel
(BMJ. 2004 August 7; 329(7461): 323.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC506852/

A patient with acquired hemophilia A induced by clopidogrel
(Korean J Hematol. 2012 March; 47(1): 80–82.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3317479/

 後天性血友病については、メーカーサイトに詳しい情報がありました。(リンクすみません)

後天性血友病 – ヘモフィリアステーション
http://www.hemophilia-st.jp/about/acquired_hemophilia/
http://www.hemophilia-st.jp/medical/science/acquired_hemophilia/

原因不明の出血と後天性血友病 -ノボセブン
http://www.novoseven.jp/pro/acquired/index.html 

 抗血小板薬で出血傾向の副作用はつきものですが、突然、広範な皮下出血や筋肉内出血が生じた場合には後天性血友病の可能性も考慮することが必要かもしれません。(薬剤性のケースは他剤でもあるとのこと。診断は専門医に委ねなければいけないけど)

 ちなみに、商品情報に注意喚起が追記されたのはEUだけかと思っていたら、豪州ではすでに6月に追記されていました。(11ページ)

PRODUCT INFORMATION
CLOPIDOGREL WINTHROP
http://products.sanofi.com.au/aus_pi_clop_winthrop_20130712.pdf

  日本ではプラビックスの添付文書は2012年10月を最後に更新されていないので、もちろんこの情報は反映されていないのですが、国内報告もあることを考えると添付文書に追記した方がいいのでは。


2013年09月05日 22:57 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    日本でも添付文書改訂の指示が出ました。

    使用上の注意改訂情報(平成26年1月7日指示分)
    http://www.info.pmda.go.jp/kaitei/kaitei20140107.html#4

    [重要な基本的注意]の項に

    「後天性血友病(活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)の延長、第Ⅷ因子活性低下等)があらわれることがある。aPTTの延長等が認められた場合には、出血の有無にかかわらず、後天性血友病の可能性を考慮し、専門医と連携するなど適切な処置を行うこと。」

    を追記

    調査結果概要によれば、日本でも3例(うち、因果関係が否定できない症例 2例)の報告があるそうです。

    調査結果概要
    http://www.info.pmda.go.jp/kaitei/file/20140107frepno4.pdf