プラビックスの使用前に遺伝子検査が必要?

 12日、米FDAはクロピドグレル(プラビックス)についての安全性情報を発表しています。

Reduced effectiveness of Plavix (clopidogrel) in patients who are poor metabolizers of the drug
(FDA Drug Safety Communication 2010.3.12)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/
PostmarketDrugSafetyInformationforPatientsandProviders/ucm203888.htm

4月28日公表の海外公的機関 医薬品安全性情報に日本語訳概要が掲載されています。

海外公的機関 医薬品安全性情報Vol.8 No.8
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly8/09100428.pdf

 簡単に言うと、プラビックスを活性体にするのに必要な肝代謝酵素CYP2C19が不足(機能が不足)している人は、プラビックスの抗血小板作用を発揮しない(黒枠警告になっています)というもので、必要に応じて遺伝子検査でCYP2C19が少ない体質でないかどうか確認したほうがよいという内容です。

 もちろん、遺伝子検査は強制されるものではありませんが、500ドルもかかるといわれている費用や、結果がわかるまでに場合によっては2~3週間かかるということから、慎重を期すなら本剤は使用するなともとれますね。(新薬シフトを後押ししているとの指摘も)

 また、CYP2C19の少なさ(機能の不足)は人種間に差があるらしく、FDAの発表では2~14%としていますが、Sanofi-aventis/Bristol-Myers Squibb 社のプレスリリースによれば、白人で2%、黒人で4%であるのに対し、中国人では14%にも達しているそうです。(米国ではトータルで3%が該当するとのこと)

Sanofi-aventis and Bristol-Myers Squibb Announce Important Updates to PLAVIX U.S. Prescribing Information
(Bristol-Myers Squibb Press Release 2010.3.12)

 となると、日本人でも今回のケースにあてはまる人が結構いるんじゃないかと思ってしまいます。(下記記事だと20%?)

【日本臨床薬理学会】クロピドグレルの血小板凝集抑制、CYP2C19遺伝子多型が関与
(薬事日報Headline News 2008.12.11)
http://www.yakuji.co.jp/entry8703.html

関連情報:TOPICS
 2009.11.08 クロピドグレルとオメプラゾールの併用は避けるべし(米FDA)

参考:
New Plavix Warning:Lack of Effect in Many People
(WebMED 2010.3.12)
http://www.webmd.com/heart-disease/news/20100312/new-plavix-warning-lack-of-effect-in-gene-carriers
FDA warning:Some patients cannot process Plavix
(AP 2010.3.12)
http://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5hT1Bj0vyz-Uc-k37s2F3i1om3K5AD9EDD5T00

4月29日リンク追加


2010年03月13日 10:27 投稿

Comments are closed.