一般用医薬品の(ネット)販売のルールづくりが再開(Update)

 15日、ようやく一般用医薬品のインターネット販売のルールを検討する作業部会の第1回会合が開催されました。

第1回一般用医薬品の販売ルール策定作業グループ
(2013.08.15 開催)
 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000015534.html

 上記作業部会の名称が示すように、今回の部会ではインターネット販売だけではなく、(リアル店舗での)対面販売のルールも含めて検討が行われるようです。

検討事項

  1. 一般用医薬品のインターネット販売等の具体的なルールについて
  2. 上記1.に関連する対面販売のルールについて
  3. 偽造医薬品対策の具体的な内容について
  4. その他

 各紙が伝えている、厚労省が示した素案は下記になります。

資料1:一般用医薬品の販売ルール等について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000015530.pdf 

 素案では、「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」の「これまでの議論の取りまとめ」(平成25年6月公表)(→リンク)の内容(安全性確保のための方策等)を整理し、厚労省で具体的な対応策が示されています。

 以下、目に留まった部分を抜粋します。(注目部分は赤字

論点のポイント 具体的対応案(論点)
安心・信頼できる店舗において販売されること
  • 「店舗」の定義を、「実体があり、外部から見て明確にそれと分かり、なおかつ不特定多数の者(購入者)が実際に来店して購入、販売、相談等が行えるもの」と明確化してはどうか(共通)
  • 外部の者から購入のための対面での相談、購入した者からの対面での相談あった場合には、これを受ける相談応需義務があることを明確化してはどうか(共通)
  • 店舗での対応をほとんど行わず、インターネットでの対応ばかり行うことについてどう考えるのか(店舗で対応する時間と、インターネットで対応する時間の関係をどう考えるか)(ネット)
  • 営業時間内(=医薬品の販売を行う時間)における専門家の常駐を義務付けることとしてはどうか(共通)
  • 複数サイトへの「出店」は制限しないが、店舗の正式名称と異なる名称を掲げた出店は不可としてはどうか(ネット)
必要な資質・知識を持った専門家の関与のもとに販売が行われること
  • 現状、店舗内の情報提供を行う場所(カウンター)の数に応じた人数の専門家の勤務が義務付けられているが、必要数の専門家の勤務についてどのように考えるか(共通)
  • 医薬品の保管や搬送等のプロセスが、法7条・法第29条に規定する管理者の管理業務に含まれることを明示してはどうか(共通)
  • 医薬品の保管や搬送に関する管理についても業務手順書に盛り込むこととしてはどうか(共通)
専門家による的確な確認・情報提供等が行われること
  • 第1類については、専門家による、使用者の状態等の的確な確認と必要な情報の提供を義務付けることとしてはどうか(第2類や第3類についてはどのように考えるか)(共通)
  • 対面・ネットともに収集した情報に応じた個別の情報提供(自動返信・一斉返信は不可)としてはどうか(共通)
  • 購入者が情報提供の内容を理解したことを担保する観点から、その旨を確認したうえで、販売することを求めてはどうか(共通)
  • メール以外に、店頭での対面や電話等で対応できるよう環境整備を義務付けてはどうか(ネット)
  • 第1類医薬品に関する情報提供の義務の免除規定についてどのように考えるか。①医師・薬剤師等や、同じ品目を継続して使用する者に対して販売する場合であって、かつ、②薬剤師が説明を要しないと認めるときに限って、情報義務を免除することとしてはどうか(共通)
販売後も含めた適時のタイミングでの相談等が行えること
  • 情報提供を適切に実施できるよう、購入者からの相談の求めに応じて対面や電話等による対応体制の整備を義務付けてはどうか(ネット)
  • 営業時間外に相談に対応できる時間帯やその連絡先を、分かりやすく掲示(販売サイトの場合には表示)するよう再周知することとしてはど
    うか(共通)
多量、頻回購入等が防止できること
  • プソイドエフェドリン、コデイン類等について、販売個数の制限や、多量・頻回購入の際の購入理由の確認、若年購入者に対する氏名、年齢等の確認等を義務付けることとしてはどうか(共通)
  • 上記品目の販売に当たって、店頭での声かけやメールでの呼びかけを行うよう努めることとしてはどうか(共通)
  • そのほか、多量、頻回購入等を防止するための取組として、どのようなものが考えられるか(共通)
販売記録の作成
  • 販売記録の作成の目的や、その義務付けについてどのように考えるか(共通)
  • 薬剤師、登録販売者等の医薬関係者に係る副作用報告義務を再周知することとしてはどうか(共通)
医薬品の陳列、表示等が適切に行われていること
  • リスク区分ごとの表示についてどのように考えるか(ネット)
  • 過去の購入履歴等から関連商品を勧めることについてどう考えるか(共通)
  • 販売サイトにおける購入者によるレビューや口コミは、虚偽広告や誇大広告に該当するおそれがあるのではないか(ネット)
  • 販売サイトの一部は、広告ではなく「掲示事項」に当たるとして整理すべきではないか(ネット)
偽販売サイト・偽造医薬品への対応
  • 販売サイトのURLに併せ、IPアドレス等サイトを特定できるような情報を届け出させてはどうか
  • ロゴマークを販売サイト上に表示することについて、どのように考えるか
  • 優良認証についてどのように考えるか
  • 届け出された販売サイトをリスト化して厚労省HP等へ掲載することとしてはどうか
  • 許可業者と販売サイトを結びつけ薬事監視を可能とする目的で販売サイトを特定する情報として、どのようなものが必要であるか(IPアドレス
    や使用ドメイン等)
  • 海外サイトについても、国内サイトと同様に監視を強化し、無許可販売サイトについては、厚労省からプロバイダに対し当該情報の削除要請
    を行ってはどうか

 上記にあるように、リアル店舗でのあり方も含めた論点となっていることから、委員からは、「ネットを規制するために対⾯を規制することになったら⾺⿅な話」(PNB報道)といった意見も示されたそうですが、私はリアル店舗での販売のあり方を検討する必要はあると思います。

 昨日と今日の報道では意外と具体的な意見の報道は少なく、どのような意見が示されたか、厚労省には議事録の迅速な作成を求めます。

 部会ではネット販売についてのルールづくりが優先されると思いますが、生活者より指摘のあるリアル店舗での販売のあり方についても、ルールの具体的強化も避けられないでしょう。

  • 配送センターやビルの一室のようなところを店舗にしているところはどうするのだろう?
    (「実体のある店舗が行う」のは意見が一致したが、「実店舗の写真を掲示するか」は意見が割れたとか)
  • 専門家がいないとして店舗全体は営業しているのに、医薬品売り場だけ閉鎖っていう店舗販売業はどうなんだろう?
  • 第一類販売時に適確な確認が必要なら、テキスト式で質問に答えるか、WEB上で直接やり取りすべきだと思う
  • フランスのように口コミだけでなく、価格検索サイトの禁止もした方がいい(TOPICS 2013.06.25

 なお、第一類のネット販売の取扱いは別の検討会で議論が始まっています。(TOPICS 2013.08.10

関連情報:TOPICS
  2013.06.06 医薬品ネット販売慎重派に残された時間は3か月
  2013.08.10 第1回スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合
  2013.06.25 フランスでの医薬品ネット販売のルールが告示
  2013.01.19 医薬品ネット販売に関する国内外の情報 

参考:
OTC薬ネット販売のルール作りの厚労省作業グループ議論開始
(日経DI 2013.08.16)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201308/532096.html
薬ネット販売、「営業時間」の定義を確認-厚労省作業グループがルール作りに着手
(医療介護CB NEWS 2013.08.15)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/40676.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130815-00000006-cbn-soci
薬ネット販売、厚労省が素案 薬剤師の情報掲載など条件
(朝日新聞 2013.08.15)
http://www.asahi.com/national/update/0815/TKY201308150301.html

8月16日 17:40更新


2013年08月16日 13:38 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    また報道が先行ですが・・・

    薬ネット販売解禁で監視整備
    (NHKニュース 2013.08.26)
     http://nhk.jp/N4975sHU

    偽の医薬品を販売したり、代金をだまし取ったりする悪質なサイトがないか、民間業者に委託するなどして監視する態勢を整えるとか、優良な事業者を認定する制度(この表現は適切でないと思う)の導入、利用者一人一人について販売記録を作成するといった仕組み作りを検討するために、来年度予算の概算要求に1億5000万円を盛り込むとのこと。

    一般用医薬品の問題もいいけど。個人輸入の問題はどうするんだろう。

    悪質サイトの問題は今に始まったことではないのに。やっと予算に盛り込むというのは遅すぎる。

    今だって、問題サイトがあるんだけなあ。どうして厚労省はこういったものを規制できないんだろう。偽物をつかまされるってことだってあるし。

    Amazonでラシックスが「脚痩せサプリ」として売られている
    http://togetter.com/li/552249
    (もう該当サイトは削除されているけど)

  2.  役人側の論理は、以下の様かも。
    (1) 薬事法は国内法規であり、海外での事業者を取り締まることは想定されていない。
    (2) 個人輸入は、その名の通りなので、薬事法での規制を予定していない。

     そんな訳だから、実店舗を持っていないネット業者は薬事法の規制を受けない、なんていう勘違いが横行する。
     個人輸入規制の議論は、第三者機関の創設と併せて、棚上げのままのようだが。