第1回スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合

 ここのところ、仕事の要領が悪くて、タイムリーな記事の更新ができず申し訳ありません。 既に各紙が伝えていますが、8日に一般用医薬品の第一類のうち、ネット販売の解禁に待ったがかかった「スイッチ直後品目」及び「劇薬指定品目」についての安全性を検証する検討会が開催されています。

第1回スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合
(厚労省 2013.08.08開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000014664.html

  開催の目的は前記事で示したように、日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)において、一般用医薬品のインターネット販売に関し、『スイッチ直後品目』及び『劇薬指定品目』については、他の一般用医薬品とはその性質が異なるため、医療用に準じた形での慎重な販売や使用を促すための仕組みについて、その成分、用法、用量、副作用の発現状況等の観点から、医学・薬学等それぞれの分野の専門家による所要の検討を行う。秋頃までに結論を得て、所要の制度的な措置を講じると記されたため開催されたものです。

新たな成長戦略 ~「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」を策定!~(首相官邸)
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/seicho_senryaku2013.html

日本再興戦略(本文・該当部分)
www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/saikou_jpn.pdf#page=66

 今回、検証の対象となる品目は、リスク評価が終了していない23品目及び劇薬又は毒薬に該当する5品目の計28品目です。(最後のホルマリンって、リスク区分の対象になっていなかったはず)

資料4:スイッチ直後品目等一覧
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000014659.pdf

 配布資料を見ると、添付文書や承認時の審査報告書や承認時の議論のポイントなどがまとめられているのですが、注目のヨヒンビン配合の劇薬は、承認が1960年代ということもあり、承認に関する資料がなく、また使用目的の特殊性もあり、副作用報告がないことから、どうやってこれを評価するのだろうと思いました。

 注目は、各紙が報じている構成員の発言です。目に留まったところを各紙から拾ってみました。

  • OTC薬は常備薬として用いたり、購入者と使用者が異なる場合があり、安全性確保の考え方は医療用医薬品とは大きく異なる
  • スイッチ直後品目を、薬剤師の顔が見えない方法で販売するならば、それはリスク評価を待ってから行われるべきだ
  • 妊娠中あるいは出産直前に服⽤して胎児に影響が出るような薬もいくつかある
  • 常備薬として使うにはリスクが高い薬が含まれているのではないか
  • 大量に服用することがないような仕組みが必要だ

 各分野のお偉い人が構成員(→リンク)ということもあり、成分に着目をした発言が目立つようですが、青字の発言がクローズアップされるようであれば、(総合)風邪薬や鎮痛剤についても検討が行われるべきではないでしょうか? こういった問題は第一類に限ったものではないからです。

 次回以降、9月を目途に各品目の特性や留意点を検討するとのことですが、販売の現状を踏まえた検討も行われるべきだと思います。(でも会合では、そういった視点での検討を行う気はないらしい) 

 また、構成員に販売の現状に詳しい人が含まれていないことに私は疑問に感じます。(妊婦うんうんの話が出ること自体、委員はどういった成分が市販薬として売られているか、構成員が理解しているとはとても思えない)

 一部報道では販売に当たっての具体的な条件や販売が難しい場合は医師が処方する医療用医薬品に戻すことなどを検討されるだろうとのことですが、現実そんなことは可能なのでしょうか?

 個人的には、生活者の判断で使用できることを前提にスイッチが承認されていること、医療用の承認を認めない(例えば、第2世代の抗ヒスタミン薬の皮膚科領域の使用を認めない、エパデールの事前診断)など、潜在的リスクがを考えた効能の制限などが行われていることを考えると、条件を満たさないということはありえないと思うのですが。(むしろ、ヨヒンビンなどはこれに該当するかもしれない)

参考:
「発売直後のスイッチOTC薬は予期せぬ副作用発現の恐れ」
(日経DI 2013.08.09)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201308/532053.html

関連情報:TOPICS
 2013.08.07 スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合が8日に開催
 2013.06.06 医薬品ネット販売慎重派に残された時間は3か月

 


2013年08月10日 23:46 投稿

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