美白化粧品の健康被害問題を整理してみた

  茶のしずくを超える健康被害の様相となってきた、カネボウ化粧品の美白化粧品による健康被害問題ですが、いろいろな情報が出てきたので、今回までの経緯を整理してみました。

 私も知らなかったのですが、今回、問題となっている美白成分「ロドデノール(4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール)」は、薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会での審議を経て、カネボウ化粧品が厚生労働省から「医薬部外品」として、承認を受けている成分です。

薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会(2007年9月21日開催)
 議事録:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/09/txt/s0921-4.txt
        (真ん中のあたりから)

議事録の中で出てくる承認に関する資料
カネボウ ホワイトニング エッセンスS
(PMDA 医薬部外品の承認審査情報)
     →審査報告書 →申請資料概要

 上記を見るとわかるように、部会には医薬品の承認に準じたそれなりの資料が提出され、審議されています。ですから、承認されれば、「美白」「保湿」など、より具体的な効果・効能(メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ)を商品の宣伝文句としても使用できるのです。(下記記事はこれまでの経緯がよくまとめられいます)

白斑被害はカネボウだけの問題なのか
厚労省”お墨付き”、医薬部外品の大事故は2度目
(東洋経済オンライン 2013.08.08)
http://toyokeizai.net/articles/-/17207

 日本皮膚科学会(http://www.dermatol.or.jp/)では、さまざまな関連情報を発信しています。

ロドデノール含有化粧品の 安全性について 患者さんの質問に お答えします!
(日本皮膚科学会 ロドデノール含有化粧品の安全性に関する特別委員会 2013.8.1.作成(VER.1))
http://www.dermatol.or.jp/upfile/1375667540_1.pdf

 議事録を見ると、興味深い発言が並んでいますが、実際のところ、委員から疑問点が示されても審査部からの回答はあいまいで、この程度の審議で承認の了承が得られてしまうのかなあとも思いました。(相変わらず、肝心なところは伏字)

○宗林委員 
 この製品はチロシナーゼ活性を抑えるということですから、日光照射をする前に付けて予防するということで、日やけした後に分解するものではないと思うのです。消費者は、ホワイトニングという名前で、日を浴びた後でも効くのではないかというイメージがあるのです。このメラニンを生成するのを抑える、酵素の活性を抑えるという意味ですね。また「夜のお手入れ時にお使いください」というのは、グリチルリチン酸の方のしっとりするということを言っているのかなと思いながらも、効能・効果と、本当に意味があることと、イメージさせる名前との間で誤認を招くと思うのですが、いかがでしょうか。

○審査管理課長
 御質問のホワイトニングという名前ですが、先生方も御存じのとおり、いろいろな所でこういうものが使われているわけです。先ほど小澤委員から御指摘のあったことも、今、宗林委員から御指摘があったことも、結果的に言うと、後で使って何とかなるものではないのだろうと、そこをはっきりさせろという御趣旨なのだろうと思います。したがって、効能・効果をはっきりさせる方向で検討して、ホワイトニングという名前については、効能・効果をはっきりさせるということでいかがなものかと考えております。

○塩原部会長代理
 ホワイトニングというのは、商品名としてはカネボウしか使っていないのですか。一般名として、ほかも使っているのですか。

○審査管理課長
 言わば、この分野の分類のような形で、各社、ホワイトニングという名前を使っているわけです。

○溝口部会長
 これまでも、このようなことは問題になっています。ホワイトニングは漂白剤と訳すべきなのですが、美白剤と一般的には言われていて、これは特に認めた効能ではないし、ホワイトニングという名前も、宗林委員がおっしゃったように、今あるしみを白くするような印象を受けるので正しくないのです。ただ、効能・効果は「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」と、あくまでも予防を効能・効果として認めるので、ダブルブラインドでやっている試験は、みんな紫外線を当てていって、どのくらいしみ形成を抑制するかという効果だけを見ていることになります。ですから、現行の薬事法の定めるところの効果はきちんと見ていることになるのですが、その上を期待するとなると、これからその辺りをもう少し改正しないと、消費者の希望に合うものは出てこないのではないかと思っています。ただ、安全性だけは、これまでもきちんと審査してきたと思います。

○審査管理課長
 いわゆる広義の化粧品を薬事法上は二つに分けております。そのうちの一つが医薬部外品としての化粧品で、もう一つが化粧品としての化粧品となっております。この二つの違いは、効能・効果のあるものが医薬部外品としての化粧品、逆に申し上げますと、その効能・効果をある程度発揮できる成分を含有し、それをある程度実証するデータを出していただいているというカテゴリーです。医薬部外品としての化粧品ですから、このものについてもダブルブラインドスタディのようなものが提出されているわけです。これを通称「薬用化粧品」と呼んでいます。
 この薬用化粧品というのは、昭和30何年から使っているので、ある程度定着しているのではないかとも思いますし、今、神田委員から御指摘があったように、誤解を生むところもあると思います。そういう意味から申し上げますと、これ自体はただの2文字と言いながらも、非常に難しい2文字ですから、神田委員がおっしゃるように、呼称が消費者の方々に大きな影響を持つのもまた事実です。今ここで答えを用意できる状況ではないのですが、先ほどの使用方法の書き方、あるいはそれと効能・効果のセットの仕方などと一緒に、非常に大きな問題を指摘されたということで今日は御勘弁願えればと思います。

○塩原部会長代理
 私自身が理解しているのは、医薬部外品としての化粧品が薬用化粧品で、それは薬効を科学的な根拠のあるデータによって証明し得なかったと考えていいのすね。

○審査管理課長
 し得ない、ですか。

○塩原部会長代理
 し得ない、けれども、それはダブルブラインドではないわけですよね。

○審査管理課長
 ある程度というところです。

○塩原部会長代理
 ある程度の範囲でしか証明し得なかったものと解釈しているのですが、患者さんはこういうものに期待してしまうようで、これはそれほど効かないから化粧品なのだと言っても、それでも使いたいという人に対して、余り明らかにするのもどうかというのも正直あるのです。

○溝口部会長
 3ページに、ブタノールの前の□□□□は食品や化粧品として国内でも外国でも使われていると書いてあるので、□□□□に関して接触皮膚炎のような報告はないのでしょうか。というのは、ハイドロキノンがベンゾキノンに変わった途端に非常にかぶれやすくなるのです。資料を見ると非常に安定して、紫外線にも安定のようですが、実際に顔に付けて日に当たると事情が変わる可能性もあるので、□□□□に対する資料があれば教えていただきたいのです。

○機構
 それについては把握しておりません。

 一方、WEB上では、「ロドデノール」と「白斑様症状」との因果関係はまだ確認されていないとの指摘もあります。

「カネボウ美白化粧品」、なぜか話題にされない“3つの重要な論点”
(郷原信郎が斬る 2013.08.09)
http://nobuogohara.wordpress.com/2013/08/09/%E3%80%8C%E3%82%AB%E3%83%8D%E3%83%9C%E3%82%A6%E7%BE%8E%E7%99%BD%E5%8C%96%E7%B2%A7%E5%93%81%E3%80%8D%E3%80%81%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%81%8B%E8%A9%B1%E9%A1%8C%E3%81%AB%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84/

ロドデノール含有化粧品使用後に生じた色素脱失症例
医療者(皮膚科医)向けの診療の手引き(ver.2)
(日本皮膚科学会 平成25年7月31日作成)
http://www.dermatol.or.jp/upfile/1375252293_1.pdf

 上記を見ると、薬剤性の光線過敏症との鑑別が難しいとの指摘もあります。 

 ところで、東洋経済オンラインの記事で指摘がありますが、厚労省の関連部会での審議を経て承認されたにもかかわらず、医薬部外品には、万が一事故が起こった場合の、公的な救済制度が設けられていません。

 しかし、化粧品のように多くの人が長期にわたり使用することを考えると、メーカーの製造物責任だけに負わせ、過大な期待を抱いた使用者の自己責任というような状況は考え直すべきであり、新規成分については審査をより厳しくする一方で、健康被害にあった場合の公的な救済制度の導入も必要かもしれません。 

 また、今回消費者庁が被害の拡大防止や実態把握に乗り出していますが、薬事法を所管していないため、強力な権限がないため、対応には苦慮しています。

 トクホなどもそうなのですが、日常的に長期間使用することを考慮すれば、医薬品同様の潜在的な健康リリスクはあるわけで、万が一健康被害があった場合の対策を消費者庁に負わせることは果たしてどうなのかと思います。

関連記事:
カネボウ化粧品:「白斑」の原因、治療法はなお不明
(毎日新聞 2013.08.11)
http://mainichi.jp/select/news/20130811k0000m040110000c.html
美白化粧品、使っても大丈夫? 白斑はトラブル品だけ、過剰に恐れる必要なし
(産経新聞 2013.08.07)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130807/trd13080707300004-n1.htm


2013年08月11日 11:47 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    2日放送のクローズアップ現代で取り上げています。

    最新報告 カネボウ“美白”問題
    (クローズアップ現代 2013.09.02)
     http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3394.html

    スタッフの部屋
     http://www.nhk.or.jp/gendai-blog/100/166276.html

    再放送も見逃して、しまったと思っていたのですが、ググったらなんと動画が。(違法なんだろうけど)

    カネボウの美白化粧品で白斑症状を訴える人は1万人を超えた/
    NHK・クローズアップ現代「最新報告 カネボウ“美白”問題」(@動画)
     http://www.at-douga.com/?p=8799#more-8799

    ラズベリーケトンや元記事で紹介した審議の様子や審査報告書についてもとりあげています。(後でもう一度確認してみよう)

    クローズアップ現代では、普通なら番組の内容についてたいていは翌日までにテキスト化され、番組が見れなかった人も内容を知ることができるのに、現時点では未だテキスト化されていません。(後日放送分は既にテキストになっている)

    クローズアップ現代
     http://www.nhk.or.jp/gendai/

    おかしいなあと思っていたら、患者を不安にさせる内容が含まれているとして、どうやら外部から申し入れなどがあったようです。

    9月2日放映 クローズアップ現代 「最新報告 カネボウ“美白”問題」の放送内容をご覧になった患者さんへのメッセージ
    (日本皮膚科学会 2013.09.04)
    http://www.dermatol.or.jp/upfile/1378286855_1.pdf

    NHKの取材不足もあったかもしれませんが、動画を見た限りでは、消費者に不安を与える内容ではなかったと思います。

    おそらく近くテキスト化されると思いますが、私が知る限りでは、もしこういった理由(配慮)でテキスト化が遅れるというのはあまり聞いたことがありません。

    スポンサーに配慮する民放ならいざ知らず、NHKがこのような対応を行うことはちょっと残念ですね。

    一方、美白化粧品による白斑については、他のものについても懸念が出ています。

    阿南消費者庁長官記者会見要旨(2013.08.25)
    http://www.caa.go.jp/action/kaiken/c/130822c_kaiken.html

    白斑の健康被害の報告があった製品名も公開した方がいいと思います。

  2. アポネット 小嶋

    ロドデノールに、色素細胞に対する毒性があることが明らかになったそうです。

    (追記:こちら方が詳しい)
    美白成分に毒性か=高濃度で色素細胞死ぬ-カネボウ研究員ら論文・白斑問題
    (2014年7月5日 時事通信)
    http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014070500201

    「白斑」の美白成分に細胞毒性 カネボウ研究所、専門誌に発表
    (2014年7月5日 47NEWS/産経新聞/共同通信)
    http://www.47news.jp/CN/201407/CN2014070501001624.html
    http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140705/crm14070523000015-n1.htm

    Pubmed で検索をかけたら下記文献がヒットしました。原著は今のところ、オープンアクセスになっていました。

    Rhododendrol, a depigmentation-inducing phenolic compound, exerts melanocyte cytotoxicity via a tyrosinase-dependent mechanism.
    (Pigment Cell Melanoma Res. Published Online 26 Jun 2014)
    http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pcmr.12269/full
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24890809

    去年9月放映のクローズアップ現代の指摘が実証されてしまったようです。
    (半ば圧力で、クローズアップ現代の放送内容が未だテキスト化されていないけど、やっぱりテキスト化した方がいいんじゃないのかなあ。まだ、上記のアドレスの動画が残っていたので、また見てしまいました)

    今回の研究で、重ね塗り(シリーズの併用)が今回の被害を大きくした実証となりそうです。

    それにしても、カネボウ社はこの研究結果を発表したことをプレスリリースしないのでしょうか?(時事通信によれば、厚労省には報告したそうです)

    (7月6日 9:40追記)