SSRIと出血傾向

 SSRIについては、添付文書で出血の危険性を高める薬剤を併用している患者や出血傾向又は出血性素因のある患者への投与は慎重投与となっていますが、ニュージーランド当局のMEDSAFEが季刊で発行する Prescriber Update (→リンク)では、これらは血小板減少機能を変化させるために注意することを呼びかけています。

SSRIs – still associated with cases of bleeding
Prescriber Update 2011;32(4):31-32)
http://www.medsafe.govt.nz/profs/PUArticles/SSRIsDecember2011.htm

 上記によれば、 CARM(The Centre for Adverse Reactions Monitoring、有害事象モニタリングセンター)には、あざ、紫斑、鼻血、周術期・膣・胃腸出血などとして報告されているが、ワルファリン併用の重篤例でもINR値は正常範囲である点を指摘しています。

 Medsafeでは、医療専門職はSSRIと抗凝血薬、NSAIDsが併用される場合は出血傾向がないかどうかモニターするよう呼びかけています。

関連論文:
Risk of upper gastrointestinal tract bleeding associated with selective serotonin reuptake inhibitors and venlafaxine therapy: interaction with nonsteroidal anti-inflammatory drugs and effect of acid-suppressing agents.
(Arch Gen Psychiatry. 2008 Jul;65(7):795-803.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18606952


2011年12月16日 09:59 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    AHA 2012 での発表だそうです

    Common Antidepressants Tied to Higher Bleeding Risk in Warfarin Users: Study
    SSRIs include Prozac, Paxil, but experts say findings aren’t reason for patients to drop medications
    (Health DAY 2012.11.08)
    http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=670501

    学会発表なので現時点では参考程度にして頂きたいのですが、記事によれば、研究者らはワルファリン使用者を、抗うつ薬未使用、SSRI併用、三環系抗うつ薬併用の3群に分けて比較したところ、SSRI併用群では未使用群と比べ、出血リスクが60%高かったそうです。

    論文化されたら紹介します。