処方薬サポートプログラムへ薬剤師が誘導することの是非(豪州)

 健康食品会社とのコラボレーション計画で揺れたばかりの豪州(TOPICS 2011.10.06)ですが、今度は自社製品のサポートプログラムに患者を誘導した薬剤師に製薬会社が報酬が支払っていることが明らかになり波紋を呼んでいます。

 各紙の報道によれば、これは豪州ファイザー社が、自社の10 9の医薬品(Lipitor, Champix, Xalatan, Viagra, Lyrica, Pristiq, Aricept, Celebrex, Effexor XR.)について、サポートプログラムを紹介し、携帯電話番号やメールアドレス等の個人情報の提供(本人の同意が必要ですが)を行ってもらった薬剤師に対し、紹介した患者一人につき、豪州7ドル(約550円)を支払うというものですが、今度もこれが組織的に行われているのではないかとして、the Pharmacy Guildにも疑惑の眼が注がれています。

 本人に同意というのがミソですが、サポートプログラムを利用してもらうことにより、これら薬剤の使用に付加価値を与えて、ジェネッリックへのシフトを防止するというメーカーの戦略も見え隠れします。(例えば、リピトールなら12週間のサポートプログラムに契約した患者には、健康アドバイスなどを記した電子メールの提供(毎週)と料理本が提供)

 アウトカム向上につながる指導料として、このプログラムに誘導した薬剤師に報酬が支払われるというのはわからないではないですが、自局のコンピュータシステムを介して登録しているようなので、患者さんにとっては不透明感が拭えないようです。(正当な報酬と見るべきか否か)

参考:
Kickbacks for chemists
(The Age 2011.10.19)
http://www.theage.com.au/national/kickbacks-for-chemists-20111018-1lyun.html
Another Pharmacy Guild deal under fire
(豪州ABC Online 2011.10.19)
http://www.abc.net.au/am/content/2011/s3342932.htm


2011年10月19日 10:43 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    続報です。

    ファイザー社の担当者は業界紙に対し、11000人の患者が登録、1000の薬局が関わっていることを明らかにしています。

    Ethical fears over Pfizer deal with pharmacists
    (Sydney Morning Herald 2011.10.19)
    http://www.smh.com.au/national/health/ethical-fears-over-pfizer-deal-with-pharmacists-20111019-1m817.html

    この件について、豪州医師会の会長は「ファイザー社の行為は医療専門職の信頼を蝕むものだ」と批判、また豪州薬剤師会は「製薬会社が患者にアドバイスとサポートを行うことで薬剤師の役割を奪いかねないと」と懸念、今回の行為は支持できないとしています。

    Pharmacist kickback claims rejected
    (9NEWS 2011.10.19)
    http://news.ninemsn.com.au/health/8362094/scrap-pfizer-pharmacy-deal-union-says

    日本でも、患者向けサイトやサポートプログラムが存在しますが、見方を変えれば、これらは記事のインタビューにあるように製薬会社-患者の直接広告になりますね。

    確かにこれらが充実すれば、薬剤師の役割は減ってしまいますし、メーカーのジェネリックシフトへの対策としても有効かもしれませんね。