個別指導、実施に地域差あり(行政事業レビュー)

 現在、行政刷新会議では「行政事業レビュー」というのが行われているのですが、31日には「医療給付費の適正化」が対象として取り上げられています。(動画リンクあり)

行政事業レビュー(下の方にスクロールして下さい)
(厚労省:省内事業仕分け)
http://www.mhlw.go.jp/seisaku/jigyo_siwake.html

 このレビューでは、厚生局が保険診療の質的向上及び適正化を図るため、保険医療機関等に行っている指導・監査の強化のため

  • 指導や審査等の手法・時間等に地域間格差があることから、指導・監査を実施するための基準の統一化を図るべきではないか。
  • 指導・監査の件数を増加させるためにはどのようにすべきか。
     参考:平成20年度個別指導の目標:8000箇所  実績:3410箇所
  • 指導医療官の人員確保を図るためにはどのようにすべきか。

などが論点の対象となっていますが、資料として示された、「平成20年度の指導監査実施状況」(→資料 p4-5)を見ると、確かに都道府県ごとに実施件数に大きな差があります。

 資料によると、平成20年度に個別指導が行われたのは全国1043薬局(保険薬局数48950薬局のうちの2.1%)なのですが、内訳をみると、宮城県66薬局(6.3%)、鳥取県14薬局(5.7%)、福井県10薬局(5.0%)、山口県37薬局(4.9%)だったのに対し、兵庫県2薬局(0.096%)、大阪府7薬局(0.21%)、岐阜県4薬局(0.47%)、東京都30薬局(0.52%)、などとなっている他、島根県や広島県では実施そのものがなかったそうです。

 薬局数が多い都県で実施割合が低い傾向(それでも神奈川県は保険薬局の4.0%で実施)にありますが、選定基準は基本的には同じなはずであり、社会保険庁から厚生局への移管時期ということを考慮しても、なぜこういった地域差があるのか不思議に思います。

 仕分けではまた、医科の指導医療官の不足(定員73人中32人が欠員)が取上げられています。(→事業概要等) 医療費の適正化とりわけ適正な処方を促すには、薬局への指導だけでは限界があり、何らかの対応策が必要かと思います。

 また、仕分け人からは次のような意見も示されています。(→コメント結果

  • 指導・監査を改革の第一に挙げておきながら、その費用及び効果に具体性が全くない。保険者の医療給付の適正化に係る支出内容が全く見えない。
  • 昨年の事業仕分けで挙げられた医療給付の範囲の妥当性について検討すべき。ビタミン剤、湿布薬など市販品類似薬を保険外とする方向性の検討。ホテルコスト(入院時の食費)の適正化(引上げ)。
  • 保険制度の簡素化が前提であるが、指導・監査は都道府県に一本化し、ITを活用した点検を主体とし、抜き打ちで訪問審査を都道府県が行う。
  • 不適正な診療報酬の事案分析を国が全く行っていないように見受けられる。具体的な問題点を把握の上、政策目標を長期的に策定し、それに向けて具体的な施策を位置づけるべき。まずは事業のコストの把握を行うべき。
  • レセプトチェックの実施状況や不正請求の発生状況について、地域間格差がある理由を明らかにすべき。国保連のレセプトチェックにはどのような問題があるのか、地域医師会からの審査員の推薦等、不透明な人選が行われていないか検討すべきである。

 上記にもありますように、レビューとは直接関係はないのですが、仕分け人から「ビタミン剤、湿布薬など市販品類似薬を保険外とする方向性の検討する必要がある」との意見が出されているのですが、厚労省の医療課長は、「グローバルな視点で見ると、眼鏡や温泉療法、予防事業や予防接種などにも保険が適用されている」と答え、市販品類似薬を保険外とすることには、トータルでみると現時点では必要ないとの考えのようです。(下記動画63分付近)

厚生労働省行政事業レビュー(医療給付費の適正化)
(YouTube 厚生労働省チャンネル)
http://www.youtube.com/watch?v=TcoZnnRjNWg

資料:行政事業レビューについて(案)(行政刷新会議2010年3月11日)
    http://www.cao.go.jp/sasshin/kaigi/honkaigi/d6/pdf/s2-1.pdf


2010年06月05日 12:50 投稿

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