高齢者の抗うつ薬の使用と骨折リスク(欧州医薬品庁)

  EMA(欧州医薬品庁)のCHMP(医薬品委員会)に属するファーマコヴィジランス諮問委員会(Pharmacovigilance Working Party:PhVWP)は、15-17日に3月の会合を行い、25日その概要を発表してます。

 Monthly report from the PhVWP March 2010 meeting
(EMA 2010.3.26 Update)
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Report/2010/04/WC500088721.pdf

 会合では、抗うつ薬と骨折リスクの増加が取り上げられています。

 上記レポートの後半の方にあるSummaryによれば、委員会では多くの論文を検討、メカニズムは明らかではないものの、疫学的にSSRIと三環系抗うつ薬に骨折のリスクを高めるとして、製品情報に追記することを勧告しています。

SSRIs and TCAs and the risk of bone fractures (現在リンク切れ)
(Final SPC and PL wording agreed by the PhVWP in March 2010)

 今後、SSRI(シタロプラム、escitalopram、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン)、三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、クロミプラミン、ドスレピン、ドキセピン、イミプラミン、ロフェプラミン、ノルトリプチリン)の製品情報には、「メカニズムはわからないが、疫学的研究から50歳以上の高齢者が使用した場合骨折リスクが増加する」と追記される他、PACKAGE LEAFLET(患者向け情報)にも、「これらの薬剤を服用中の人の中で骨折が報告されている」との記載が追記されるそうです。

関連情報:TOPICS 2007.01.25 SSRIと骨折リスク(旧サイトです)


2010年03月27日 12:05 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    日本でも、添付文書に[その他の注意]の項に次の文言が追記されます。

    「主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。」

    使用上の注意改訂情報(平成22年8月10日指示分)(PMDAウェブサイト)