偽造医薬品の危険性を伝えるキャンペーンを開始(英国)

 英国医薬品庁(MHRA)は15日、ファイザー社や患者団体などと協力して偽造医薬品(counterfeit medicines)の危険性を伝えるキャンペーンを開始すると発表しました。

New ad sends stark warning about dangers of buying fake medicine
  (MHRA Press Release 2009.1.15)
  http://www.mhra.gov.uk/NewsCentre/Pressreleases/CON036056

 英国でもED治療薬などの処方せん医薬品を、非合法にインターネットを通じて購入する人は後を絶たず(男性の10人に1人が利用、その数は何と33万人)、中には粗悪な偽物をつかまされて健康被害を生じるケースが少なくないようです。

 英国では去年より、ファイザー社が偽造医薬品についての一般向けの啓発キャンペーンを展開していましたが、今回ファイザー社では、映画館向けの広報フィルムを作成、これを全国2651スクリーンで3月5日まで上映するそうです。

 下記のページでこのフィルムを見ることができますが、男性の口からネズミが出てくるというグロテクスな内容から、15歳以上推奨の規制がかけられているようです。

 The real danger of counterfeit medicines
    http://www.realdanger.co.uk/

 MHRAでは、「資格をもった医療専門職からの正しい診断なしに、(偽造)医薬品を買ったり、使ったりすることは健康リスクにつながるということを知ってもらうという公教育キャンペーンの一部だ」と述べると共に、健康被害が生じたときは専用の窓口やイエローカード副作用報告システムを利用することや、インターネットでの医薬品の購入は英国王立薬剤師会が認証している薬局を利用することを呼びかけています。

 日本でも、同社やバイエル社などがウェブサイトを通じて、消費者に対して注意喚起を行っていますが、英国のような官民を挙げての啓発キャンペーンが必要かもしれません。

 偽造医薬品にご注意下さい(Bayer Healthcare)
   http://www.bayer.co.jp/byl/counterfeit/

Man coughs up rat in advert warning over fake drugs
  (Telegraph 2009.1.15)

http://www.telegraph.co.uk/health/healthnews/4247250

/Man-coughs-up-rat-in-advert-warning-over-fake-drugs.html


2009年01月16日 01:43 投稿

コメントが4つあります

  1. 藤田 尚樹

    英国では、国として偽造医薬品対策を積極的に行っているようですね。その点、日本も官民一体となって対応していく必要があるというご意見に同意いたします。

    偽造医薬品による被害は私の知る限りでは、大きくニュースで取り上げられてはいないようですが、もし被害が拡大してしまうようなら、そのようなニュースも報道されることと思います。 現時点で偽造医薬品による被害に関するニュースをしっていましたら、お知らせいただけると嬉しく思います。 

    偽造医薬品のタイプとして、二種類あるようですが(?医薬品そのものの偽造?ブランドの偽造)、製薬会社にとってそれらを見極め、偽造活動集団の根源を突き止めるのは容易ならないことと思いますが、この点かかる製造物責任法に関して、どれほどの範囲でそれら製薬会社は負わなければならないか、これから法曹界では議論されそうですね。果たして、消費者に対して注意喚起をするだけで、責任をのがれることができるのかどうか、それ以上の対策が求められるのか、今後偽造医薬品に対する製薬会社の対応と法規制の両方の動向を注意深くみていく必要があると思います。

  2. アポネット 小嶋

    コメントありがとうございます。

    米国では、ACSH(The American Council on Science and Health:科学と健康に関する米国会議)が、「Counterfeit Drugs: Coming to a Pharmacy Near You〜あなたの近くの薬局に偽薬が〜」というブックレットの2009年版を発行したそうです。(PDFでみれます)

    Counterfeit Drugs Continue to Present a Growing Threat to Global Health, Says New Report(ACSA 2009.2.3)
     http://www.acsh.org/news/newsID.1774/news_detail.aspsp

    偽の医薬品が世界の健康への脅威となり続けている
    (食品安全情報Blog 2009.2.3)
     http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20090203#p12

    Counterfeit Drugs: Coming to a Pharmacy Near You 〜 Update for 2009
     http://www.acsh.org/publications/pubID.1773/pub_detail.asp

    ネット社会アメリカでも深刻のようですね。 日本では、大丈夫なのでしょうか?

  3. 貴重な情報源をお教えいただきありがとうございました。

    こちらの資料大変参考になりました。 特に“Coming to a pharmacy near you”には合衆国でどのように偽造医薬品の被害が広まるか等が具体的に説明されていました。ありがとうございました。

    日本での偽造医薬品による被害はまだ大きくニュースでとりあげられていないようですが偽造バイアグラなどがネット販売を通して出回っていることは皆さんもご存知のことと思います。 何らかの被害防止対策が必要になると思いますが、偽造医薬品流通の防止に関しては、今論戦を展開している医薬品ネット販売賛成派に対する厚生労働省の対応は興味深いですね。

  4. アポネット 小嶋

    英国王立薬剤師会は24日、英国医薬品庁(MHRA)と偽造医薬品についての患者対応手引き書を作成したと発表しています。

    THE DANGERS OF FAKING IT
    (the Royal Pharmaceutical Society of Great Britain 2009.3.24)
      http://www.rpsgb.org/pdfs/pr090324c.pdf

    Counterfeit Medicines Advice for Healthcare Professionals
     Guidance for Pharmacists and Dispensing Doctors
      http://www.rpsgb.org/pdfs/counterfeitmedsguid.pdf

    [MHRA]英国薬剤師会ニュースリリース:ニセ医薬品の危険性
     (食品安全blog 3月31日)
      http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20090331#p1

    患者向けのはがき大のリーフレットを作成する(処方薬調剤時に渡す)とのことですが、WEB上にはまだ掲載されていないようです。