登録販売者試験の難易度は?

 前記事で紹介した、第1回登録販売者試験をざっと目を通してみました。

 ガイドラインに沿って出題されていて、確かにきちんと学習していれば回答できるようになっています。また、実践的な問題などよい設問もありましたが、一方で明らかに誤りという選択肢も少なくなく、もう少し工夫があってもよいのではなかったと思います。

 出題範囲が異なり比較は出来ませんが、記述方式が少なくない従来の「薬種商」試験(生薬鑑定の実施試験もあり)と比べるとかなり平易だという感は否めないでしょう。薬種商試験にやっとの思いで合格した方からは、おそらく「うらやましい!」と思われるに違いありません。(興味ある方は、下記ページでトライを!)

 薬種商試験問題(平成15年〜18年)(佐賀県HP)
  http://www.pref.saga.lg.jp/web/_2323.html

 平成19年度薬種商販売業認定試験合格者、試験問題及び解答例を公開します。(新潟県HP)
  http://www.pref.niigata.lg.jp/iyakukokuho/1197476207265.html

 また。3パターンの問題の難度のバラツキも気になりました。埼玉県のものが最も難易度が高くなっていて、他のグループと比べ設問にも工夫がされているように感じました。神奈川県では、関係者による登録販売者試験委員会が設置されており、もしかするとこの委員会がチェックしていたのかもしれません。

 神奈川県登録販売者試験委員会(神奈川県HP)
   http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/yakumu/yakuan/touroku_sikeniinkai/gaiyou.html

 おそらく、合格率はかなり高いのではないかと思います。今年は、とにかく業界のために相当数の登録販売者をつくるというのですから仕方はありませんが、やはり可能な限り問題を統一する、神奈川県のような試験委員会で内容をきちんと検討するなどの取組みも必要でしょう。 

関連情報:TOPICS
     2008.08.15  第1回登録販売者試験・試験問題
     2007.07.23 登録販売者試験実施ガイドライン作成検討会報告書
     2007.06.16 登録販売者の試験問題

 【第1回登録販売者試験】「やさしかった」が多数−関東甲信越1都9県で実施
   (薬事日報 HEADLINE NEWS 8月15日)
    http://www.yakuji.co.jp/entry7709.html


2008年08月17日 20:02 投稿

コメントが3つあります

  1. アポネット 小嶋

    日薬会長と厚労省の関野秀人薬事企画官が、今回の試験に対してのコメントを薬事日報に寄せています。

    児玉日薬会長と関野薬事企画官が登録販売者試験でコメント
     (薬事日報 HEADLINE NEWS 8月21日)
        http://www.yakuji.co.jp/entry7784.html

  2. アポネット 小嶋

    日本薬業研修センターがこれまでに実施した登録販売試験についての意見を発表しています。

    【登録販売者試験】地域差対策を要望−日本薬業研修センター
     (薬事日報 HEADLINE NEWS 9月5日)
       http://www.yakuji.co.jp/entry7927.html

    ネットの書き込みをみると、現時点ではまだ問題は正式に発表していませんが、東京都の問題が点数をとりやすくなっているとの意見が多く、東北・北海道地区が難易度が高いとの意見が多いようです。そして、この背景には登録販売者の確保が必要とする地区で、一定の合格者が確保できるよう配慮している(問題を恣意的に易しくした?)のではないかとの声もあります。

    登録販売試験の内容について、薬剤師会や薬学部などで、きちんと精査することは行わないのでしょうか?

  3. アポネット 小嶋

    全日本薬種商協会が登録販売者試験についてのコメントを発表しています。

    【全日本薬種商協会】登録販売者の資質向上に全力
     (薬事日報 HEADLINE NEWS 9月8日)
       http://www.yakuji.co.jp/entry7956.html

    やはり同協会としては、想定していた難易度よりかなり易しい(易しすぎる)という印象なのでしょう。8月末に都の薬務課長に「もっと試験の難易度を考慮してもらいたい」と、口頭で要望したというのもうなづけます。

    同協会の「自分たちが培ってきた資質の確保が今後も可能なのか」といった懸念は当然であり、登録販売者に定期的な研修を義務付けるなどの取組みも必要に思われます。