ワクチン接種をためらう人にどのようなコミュニケーションが必要か(FIP)

FIPは24日、薬剤師がワクチン接種に関する情報伝達を強化し、接種率を向上させるための支援として、新しいツールキットとインフォグラフィックを公開しています(わかりやすくまとめられているインフォグラフィックがよい)

【FIP 2026.03】
SUPPORTING PHARMACISTS IN VACCINATION COMMUNICATION-toolkit for pharmacists(報告書)
https://www.fip.org/file/6512

(インフォグラフィック)
https://www.fip.org/file/6514

ツールキットでは下記の項目に分けて、実例を挙げながら薬剤師が取るべき指導や態度などのポイントが記されています。

1.ワクチン接種の対象となる人口グループとは
(Population groups eligible for vaccination)

乳幼児期、青年期、成人および高齢者ごとに、どのようなワクチン接種が必要を概説するとともに、地理的地域、旅行、職業上の曝露、または特定の健康リスクに応じて、これらの年齢層に推奨されるワクチンにはどのようなものがあるかを概説

2.薬剤師と患者間のコミュニケーションのあり方
(Pharmacist-patient communication)

ワクチン接種に関するカウンセリングとスクリーニング(質問票)、ワクチン接種へのためらう人にどうコミュニケーションを具体的事例を示しながらどう行うか、信頼感や利便性に焦点を当てたワクチン接種率向上の方策などを概説

3.薬剤師と一般市⺠とのコミュニケーションのあり方
(Pharmacist-public communication)

1)Community assessment tool を用いて地域のニーズを評価

  • 地域ごとのワクチン接種のギャップ
  • 健康やワクチンに関する知識レベル
  • 文化的または宗教的な考慮
  • アクセス上の障壁(交通手段、時間、費用)
  • 言語の違い
  • 薬局におけるワクチン接種サービスの認知度と周知度の向上

2)地域社会への働きかけと関与

海外の経験から、次のような方策が考えられる

  • 薬局のウインドウやカウンターに掲示するポスター
  • 薬局や公共スペースに設置するリーフレットやチラシ
  • ソーシャルメディアキャンペーン
  • ラジオ・テレビ広告
  • 健康フェアへの参加
  • 学校や患者団体でのプレゼンテーション
  • ショッピングモールや商業施設での啓発活動
  • 他の医療従事者との連携
  • 保健大臣、保健当局、その他の政府関係者との連携
  • メディアへのインタビュー、およびニュース番組やポッドキャストへの出演

3)誤情報(misinformation)や、根拠のない俗説や誤った信念(myth)への対処

  • 事実を強調し、可能な限り視覚資料を活用する
  • 最新の情報源に基づき、代替となる正しい代替説明を提供する
  • 重要な事実のみを提示し、メッセージは簡潔する
  • ワクチン接種の既知の副作用を説明し、リスクにつては、現実のもであるが稀であることを認識してもらう
  • 法律で定められている国においては、すべての副作用を報告することが法的義務となる場合があることを強調する
  • 患者から提起された懸念事項には耳を傾ける(軽視しない)
  • ワクチンの利点に関する事実を、科学的根拠に基づいてバランスよく概説する
  • 既存のワクチンに対する肯定的な認識を基盤とする

などをを具体例を示して概説するとともに

  • 長々と説明しない
  • 警告を明示しすぎない
  • リスクの認識を高めてしまうような強い表現を使わない
  • 対面での議論ができないため、ウェブ上の情報源のみに依存しないようにする
  • メリットを強調し、リスクに関する情報を伏せないこと

などのNG行動を示しています

4.薬剤師とその他の医療専⾨家コミュニケーションのあり方
(Pharmacist-other healthcare professionals communication)

薬剤師と医師の連携は、より協調的なワクチン接種サービスを支援することができるとして、、薬剤師と医師がワクチン接種の提供において連携できる3つのモデルがあるとしています。

1.責任分担モデル(Shared-responsibility model)

医師の診療所と薬局で分担して行う。例えば、医師が初回診察や1回目の接種を行う一方、その後の接種は薬局で行わうなど。この仕組みにより、両方の提供者が予防接種プロセスに貢献することができる

2.薬局主導型モデル(Pharmacy-based model)

このモデルでは、医師は診察時にワクチン接種を推奨する一方、実際の接種は薬局で実施

3.院内実施型モデル(Insourced model)

薬剤師が指定された時間帯に医師の診療所内でワクチン接種サービスを提供。この方式では、薬局の専門知識が診療所の環境に直接組み込まれる

また、SBAR(状況、背景、評価、提⾔)フレームワークや、専門職間連携教育(IPE)準備ツールの利用を呼びかけています。

FIPによればこのツールキットは、感染症の予防、監視、管理における薬剤師の役割拡大を重視する、FIPの開発目標の16(Communicable Diseases:感染症)に合致しているといるとのことです

Communicable Diseases(FIP Development Goals)
https://developmentgoals.fip.org/dg16/

参考:
FIP launches toolkit to strengthen pharmacists’ vaccination communication
(FIP 2026.03.24)
https://www.fip.org/news?news=newsitem&newsitem=698

FIP launches vaccination communication toolkit for pharmacists
(Retail Pharmacy 2026.03.25)
https://retailpharmacymagazine.com.au/fip-launches-vaccination-communication-toolkit-for-pharmacists/

関連情報:
2025.08.27 薬剤師によるワクチン接種の最近の世界的動向と今後の展望(FIP)
2025.09.03 薬剤師に関するグローバル状況報告書2025(FIP)
2016.09.11 世界で広がる地域薬局での予防接種(FIPレポート)


2026年03月25日 13:34 投稿

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