薬局製造販売医薬品の範囲の見直しに向けた研究(2024厚生労働科学特別研究)

薬局製剤指針等の喫緊の改定に向けた基礎資料とすることを目的に、現在の薬局製剤指針、製造販売承認基準、薬局の実態等を整理し、漢方・生薬製剤の位置付けについて検討を行った

【2024厚生労働科学特別研究】
薬局製造販売医薬品の範囲の見直しに向けた研究
https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/178100

日本薬剤師会、漢方薬の調剤や相談に注力する薬局のグループ、一般社団法人日本漢方協会等の協力を得て全国の薬局を対象に、2024年11月10日~2025年1月10日にWEBアンケートを実施し、2,109件の有効回答を得た。

回答を行った2,109件のうち、25%の531件が薬局製剤(薬局製造販売医薬品)を取り扱っていると回答。

薬局製剤を「取り扱わない」薬局に、その理由を質問したところ、「需要がない」といった薬局製剤に対するニーズそのものが弱いあるいはないという回答が約半数を占めたほか、「費用対効果が悪い、手間がかかる、余裕がない」といった煩雑さを理由に挙げる場合が 2 割を超えた。

一方で、「方法がわからない」など、知識不足や経験がないことを理由として挙げる薬局も6%ほどあった。

また、製造用設備や器具類を装備することや原材料の入手や保管に関する困難さ等、ハードウエア面での難点を挙げる場合も約1割あった。

薬局製剤を「取り扱う」薬局のうち、約78%は生薬を含む製剤を取り扱っていると回答する一方、処方せんに基づく調剤を実施しているのはこのうちの35%(144件)に留まった。

回答者からは、薬局製剤指針に収載されていない処方について、新たに薬局製剤として薬局製剤指針に収載してほしいという要望が少なからずあり、また、単味生薬製剤を購入したい消費者が相当数あることも明らかとなった。

また、一般用医薬品として入手できなくなった漢方処方を求める消費者のニーズが、いわゆる零売薬局に頼る状況につながっているとの指摘もあった。

一方で、生薬を使ったこれらの薬局製剤を充実させるためには、生薬の薬局内での保存、化学薬品類とは異なる取り扱い技術、また価格や販売単位等に関する問題解決が早急に必要であるという現状もアンケートやインタビューから明らかとなった。

研究者らは、消費者のニーズを取り入れつつ、医薬品の適切な販売制度を保つためには、一般用医薬品として入手が困難である漢方製剤や単味生薬製剤について、薬局製剤が有効に活用できるよう、薬局製剤指針を改訂し、また薬局での生薬の取り扱いについて、適切な手引きまたはガイドライン等の策定を行うことが望ましいとした。


2025年06月02日 18:29 投稿

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