フェブリク(フェブキソスタット)は心臓病患者には安全なの?(Update)

 季刊で公表されるニュージーランド当局の安全性情報誌のPrescriber Update(http://www.medsafe.govt.nz/publications/prescriber-update.asp)の最新号に目を通したところ、「フェブキソスタット(本邦発売名:フェブリク錠)での治療は、虚血性心疾患またはうっ血性心不全の患者には推奨されない」と記されており、ちょっと驚きました。

Febuxostat – an additional xanthine oxidase inhibitor
(Prescriber Update 35(3): 39 September 2014)
http://www.medsafe.govt.nz/profs/PUArticles/September2014Febuxostat.htm

 そこで各国の商品情報を調べたところ、欧米でも同様の注意喚起が行われていました。

ADENURIC 80mg(febuxostat)
(EMA Product Information)
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/EPAR_-_Product_Information/human/000777/WC500021812.pdf#page=3

“Special warnings and precautions for use”で虚血性心疾患またはうっ血性心不全患者には推奨されないとなっています。

Uloric (febuxostat)
(FDA Prescribing Information,Nov 2012)
http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2012/021856s006lbl.pdf

 こちらも、WARNINGS AND PRECAUTIONSではっきりと注意喚起。“Monitor for signs and symptoms of MI and stroke”とも。

 そこで、日本で承認の際にこのことが問題にならなかったがどうか審査報告書で調べてみました。すると、懸念は示されたものの結論ははっきりしません。

フェブリク錠・審査報告書(2011年01月21日)申請資料概要
(心血管系有害事象)
http://www.pmda.go.jp/drugs/2011/P201100023/470310000_22300AMX00419000_A100_1.pdf#page=75
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201100023/470310000_22300AMX00419000_A100_1.pdf#page=75

審査報告書(2016年05月23日)申請資料概要

 フェブリク錠の添付文書(内容に関する最終改訂は2013.11)を確認したところ、「慎重使用」の項にこのことは記されておらず、副作用としても、「その他の副作用」の項で、頻度不明で動悸・心電図異常があるだけで、欧米やニュージーランドのような記載はありません。

 根拠となる論文には現時点ではたどり着けませんでしたが、審査報告書を見る限り、心血管系リスクについては市販後調査に委ねる形になっているようです。日本の対応(添付文書での注意喚起)としてはどうなのかと思いました。

 新薬(特に日本開発のもの)はやはり、海外の商品情報との定期的チェックの必要性を痛感しました。

2017年11月21日 リンク更新


2014年09月15日 23:07 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    WHO Pharmaceuticals Newsletter の最新号のSIGNAL(検出)の項で取り上げられています。

    WHO Pharmaceuticals Newsletter No. 5, 2014
    http://www.who.int/medicines/publications/PharmaNewsletter5_14/en/

    VigiBaseで特定された安全性シグナル Febuxostat
    (医薬品安全性情報 Vol.12 No.26 和訳概要)
    http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly12/26141218.pdf#page=14

    Febuxostat and cardiac failure
    (WHO Pharmaceuticals Newsletter No. 5, 2014)
    http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/255512/1/WPN-2014-05-eng.pdf#page=11

    製造・販売元各社によるコメント(反論?)もあります。

    Response from Teijin, Takeda and Menarini
    http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/255512/1/WPN-2014-05-eng.pdf#page=16

    元記事で示した通り、このコメントでも欧州では虚血性心疾患またはうっ血性心不全患者には推奨されていないとしていますが・・・・・・・

    (2017年11月21日更新)