厳しくなる基準調剤加算の算定要件(Update2)

 29日、中医協総会が開催され、次回診療報酬改定の具体案が示されてます。(この記事は、中医協で示された資料を基にまとめたものです。現時点では算定要件として決定されたものではありません)

第270回中央社会保険医療協議会 総会
(厚労省 2014.01.29 開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000035817.html

 次回改定での項目については、TOPICS 2014.01.15 で紹介しましたが、今回これら項目の具体的な算定要件(案)が示されています。

個別改定項目について(その1)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035826.pdf

 このうち、注目は基準調剤加算の算定要件が厳しくなる点です。(変なところの項目にあり見落としされそう)

在宅薬剤管理指導業務の一層の推進
 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035826.pdf#page=80

 
 在宅薬剤管理指導業務を推進する観点から、以下の対応を行う。
(1)基準調剤加算の評価の見直し
① 24時間調剤及び在宅業務をできる体制を整備する。
ア) 基準調剤加算1:近隣の保険薬局と連携して24時間調剤及び在宅業務をできる体制を整備する。
イ) 基準調剤加算2:自局単独で24時間調剤及び在宅業務をできる体制を整備する。

② 患者又はその家族等に対し、在宅患者訪問薬剤管理指導を行うことができる旨を薬剤情報提供文書等において情報提供を行うことを周知する。

③ 「『薬局の求められる機能とあるべき姿』(厚生労働科学研究費補助金事業「薬剤師が担うチーム医療と地域医療の調査とアウトカムの評価研究」にて公表、医薬食品局総務課より通知(平成26年1月 21日薬食総発0121第1号))で掲げられている項目(※)を踏まえ、いわゆる「かかりつけ薬局」としての要件を追加する。
※患者のプライバシーに対する配慮等

④ 基準調剤加算2については、以下の項目を施設基準として追加する。
・在宅業務の過去の実績
・在宅患者に対する調剤並びに薬学的管理及び指導を行うにつき必要な体制(衛生材料を供給できる体制等)の整備
・在宅療養支援診療所及び訪問看護ステーションとの連携体制及びケアマネージャーとの連携体制の整備
・(他の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携調整を担当する者との連携体制の整備)

  ポイントは上記ですが、その下の方にある算定基準(案)を見るとさらに、加算1、2共に、「麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第3条の規定による麻薬小売業者の免許を受けていること。」(即ち、麻薬免許は基準調剤加算1でも必須)と「適切な薬学的管理及び服薬指導を行うにつき必要な体制及び機能が整備されており、患者に対し在宅に係る当該薬局の体制の情報を提供していること。」が盛り込まれています。

 また、在宅業務を提供できる体制等については、先日ツイッターでも紹介した(各紙も報じている)、(厚生労働科学研究)「 薬局の求められる機能とあるべき姿」に記された「かかりつけ薬局」としての要件を求めているることは注目に値します。(先日大きく報じられたのは不思議だなあと思ったんだけど、次回診療報酬改定に関連したんですね)

「薬局の求められる機能とあるべき姿」の公表について
(厚生労働省医薬食品局総務課長 2014.01.21)
 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T140123I0010.pdf

 薬局の求められる機能とあるべき姿
(平成 25 年度厚生労働科学研究費補助金 薬剤師が担うチーム医療と地域の調査アウトカムの評価研究)
http://www.jsphcs.jp/cont/14/0107-1.pdf

 さらに、いわゆる大型門前薬局については、基準調剤加算1についても24時間開局が要件となるようです。

調剤報酬等における適正化・合理化
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035826.pdf#page=226

 今回、基準調剤加算の算定要件に、「かかりつけ薬局」の機能が加わったわけですが、もしこの案通りになったら、どうやって、厚生局は算定要件をチェックするんだろうという思いもあります。(例えば、一般用医薬品の取扱い品目数とかも出てくるとか、薬局の見取り図を添付するとか・・)

 また、当該薬局を含む近隣の薬局と連携して二十四時間調剤というのは、地域薬剤師会を中心とした輪番体制を指すのでしょうか?(今回の改定では、見送りとなったと思ってたんだけど) 

 もしこの通りに決まれば、おそらく、基準調剤加算2はおろか、基準調剤加算1の算定ができなくなる施設が続出するのではないでしょうか?

 一方、後発医薬品調剤体制加算については、新しい計算法で現在の3区分から2区分に簡素化となる他、一方で従来の計算法での最低ラインの変更率の設定も行われるようです。 薬剤の規格単位数量に占める後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量の割合が一定以上あることが求められるようです。(つまり、後発品がない先発品を含む処方せんを多く調剤している施設ではここで足切りされることとなる)

後発医薬品の使用促進策について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035826.pdf#page=218

 それと、うがい薬の取扱いですが、次のような案が示されています。

 入院中の患者以外の患者に対して、うがい薬(治療目的のものを除く。)のみを投与された場合については、当該うがい薬に係る処方料、調剤料、薬剤料、処方せん料を算定しない。

うがい薬だけを処方する場合の取扱い
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035826.pdf#page=225

 でも、治療目的かどうかをどうやって判断するんでしょうね?

 尚、お薬手帳の取扱いについては今回の案では示されなかったので、次回中医協で提示されるものと思われます。

  なお、お薬手帳については次のような記載がありました(すみません見落としていました)

薬剤服用歴管理指導料におけるお薬手帳の特例(リンク先下の方)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000035826.pdf#page=158

 「薬剤服用歴管理指導料について、お薬手帳を必ずしも必要としない患者に対し特例を新設する」となっていますが、時事通信によれば、軽い風邪で薬の種類や量が少なく薬剤師が要らないと判断したケースなどでの適用を想定しているとのことだそうですが、「家で貼るからと言って」、意識的にお薬手帳を持ってこない人はどうするんでしょうね。

関連情報:TOPICS
 2014.01.15 次回診療報酬(調剤報酬)改定、項目で残ったものは

1月29日 23:10更新 1月31日 21:30訂正更新


2014年01月29日 13:55 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    各紙が記事を配信しています。(後発医薬品調剤体制加算の部分で誤りに気付きました。元記事を訂正しました。すみません)

    医薬分業とお薬手帳に逆風か?
    「地域包括診療料」、院内処方が原則
    (m3.com 医療維新 2014.01.30)
    http://www.m3.com/iryoIshin/article/190383/

    【中医協】基準調剤加算は2段階評価‐未妥結施設の報酬引き下げ
    (薬事日報 2014.01.31)
    http://www.yakuji.co.jp/entry34550.html
    http://www.qlifepro.com/news/20140131/evaluate-the-standard-dispensing-added-a-two-stage-facilities-pay-cuts.html

    明らかになってきた個別の改定項目
    改定の柱は「24時間対応薬局」!
    基本料の特例の拡大、「お薬手帳なし」の薬歴管理料の導入は必至に
    (日経DI 2014.01.31)
    http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201401/534872.html

    日経DIの記事で、「シール配布については議論されていないので、疑義解釈で‥」と含みを持たせていますが、今までの議論からではOKになるとはとても思えません。

    一番の注目は、日経DI記事の最後の方で、後発医薬品調剤体制加算で新たに導入される新指標での置き換え率について、これまでの議論から、45%以上および60%以上と設定される可能性が高いとしている点です。(うちじゃ遠く及ばない)

    さらに、置き換え率の足切り(「後発品がある先発品」と「後発品」の合計の調剤割合が全体の一定水準に満たない)が50%以下と推測されるとしています。(一方が特許の切れている、血圧や糖尿病などの配合剤はどうするの?)
     
    新薬(後発品がない先発品)を多く処方する医療機関の処方せんばかりを受けていたら、どうにもなりませんね。こういう足切りはおかしいと思います。(こういう処方せんを断る薬局だってでてくるぞ)

    改めて振り返ると、いろいろ難癖をつけられた日医総研WPのデータが、そのまま今回の改定に反映されたということですね。

    医療費の伸びと診療報酬の関係についての考察
    -再診料と調剤技術料を中心に-
    (日医総研ワーキングペーパー No.305 2013.11.26)
    http://www.jmari.med.or.jp/research/summ_wr.php?no=532
    http://www.jmari.med.or.jp/research/dl.php?no=532

  2. 説明会資料の48頁に基準調剤加算1の施設基準として「処方箋受付回数が4000回以下かつ集中率70%以下であること」との要件が新規に設けられました。

    現行の基準調剤1の要件に集中率の規定はなかったので、多くの門前薬局が算定できましたが、70%以下をクリアーするのは難しいですね。