適正なセルフメディケーションのための教育とは?

 何とか時間を作って、ツイッターで紹介していた26日のフォーラムに足を運んできました。

英国に学ぶ 薬剤師によるOTC販売と適正なセルフメディケーションのための学部教育および卒後教育
(日本医薬品情報学会(JASDI)日本ファーマシューティカルコミュニケーション学会(P-Co)合同フォーラム)
http://www.self-medication.ne.jp/event_top/2014/001343.php

 内容的には、セルフケア支援のために薬剤師は何ができるが、それを行うためにはどのような学部教育や卒後教育が必要かといった視点で、英国の現状と取組、海外の実情、日本の現状と課題といった内容で講演・ディスカッションが行われました。

 最初にお話しされた野村氏は、厚労省・県職員という経歴もあり、政策面からの英国の取り組みの紹介をされました。本サイトでも取り上げていることも多く復習的な意味もありましたが、以前から個人的気になっていた“Self Care Forum”の取り組みを紹介して頂き理解が深まりました。

Self Care Forum
http://www.selfcareforum.org/

 そのうちの「セルフケアの連続性(連続体)」(The Self-care Continuum)という概念が改めて目に留まりました。

What do we mean by self care and why is it good for people?
http://www.selfcareforum.org/about-us/what-do-we-mean-by-self-care-and-why-is-good-for-people/

Self-care(PAGB)
http://www.pagb.co.uk/selfcare/home.html

 以前の記事(TOPICS 2012.10.14)で紹介しましたが、この「セルフケアの連続性(連続体)」は、一直線上の左端に100%セルフケアで対応可能な身体コンディションを、右端には100%専門的ケア(medical Care)を必要とする状況を配置し、セルフケアの実践においては、一つの連続体の中でセルフケアとメディカルケアの混合の配分が変化していく(ときに、軽症・慢性疾患による治療、急性疾患に対する治療が、セルフケアと同時に行われる。つまるところ、OTC医薬品の使用はこの実践を行う上での一つの手段にすぎない)というもので、英国のセルフケア振興策の根幹として使われているようです。(日本語での総説は下記が詳しい)

地域包括ケアシステムにおける自助・互助の課題
(保険医療科学 61(2) p113-118,2012)
http://www.niph.go.jp/journal/data/61-2/201261020006.pdf

 次いでお話された荒川直子氏は、ロンドン大学で学びながらFIP関連の組織で国際的な薬学教育のあり方を研究されている方で、今回のフォーラムのためにわざわざ帰国し、セルフケアにおける薬剤師の役割の変遷、地域薬局業務の現状(地元保健機関との契約の上に成り立っている)、スイッチOTCの現状(英国でも調剤に追われてカウンセリングをする余裕がなく、生活者の求めに応じて薬剤師などへの相談なく薬局医薬品(P)が販売されてしまうなど日本と同じような現状があるとのこと。ただ、英国ではテクニシャンがいるにもかかわらずということになると、日本はどうなってしまうんだろう)、これらをささえるための薬学部教育や卒後教育のありかたを紹介されました。

 英国では、医療専門職は、今後下記Lancet 総説にある、Competency(コンピテンシー) に基づく教育モデルというものが検討されているそうです。

Health professionals for a new century: transforming education to strengthen health systems in an interdependent world
(Lancet. 2010 Dec 4;376(9756):1923-58.)(ログインでフルテキスト可)
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(10)61854-5/fulltext
(WHO 解説)
http://www.who.int/pmnch/topics/health_systems/201012_lancet/en/

  FIPでは既にその枠組みというものも示しているのですが、その中でポイントとなるのが地元(Local)、地域(Regional)、国・全世界(National & international)でのニーズです。(私は、ディスカッションで、日本での現状を踏まえ、「果たして薬剤師によるOTC販売や適切なセルフケアの必要性が語られているか」という質問をぶつけてみました)

Global Competency Framework v1(FIP)
https://www.fip.org/files/fip/PharmacyEducation/GbCF_v1.pdf

2013 FIPEd Global Education Report(和訳・概要)
http://www.fip.org/files/fip/PharmacyEducation/
Japanese_2013_FIPEd_Global_Education_Report_Key_messages_and_Summary.pdf

 一方現状においては、下記基準によって行われているそうです。

Initial education and training for pharmacists(GPhC)
http://pharmacyregulation.org/initial-training
http://pharmacyregulation.org/sites/default/files/GPhC_Future_Pharmacists.pdf

(今日はもう遅いのでここまで、資料を確認して記事は後日追加更新します)

関連情報:TOPIC
 2012.10.14 英国のセルフケア支援とセルフメディケーション


2014年01月27日 01:39 投稿

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