次回診療報酬(調剤報酬)改定、項目で残ったものは

 15日、中医協総会が開催され、平成26年度診療報酬改定の諮問書が了承されました。

中央社会保険医療協議会 総会(第267回) 議事次第
(厚労省 2014.01.15 開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000034464.html 

平成26年度診療報酬改定について(諮問)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000034655.pdf

 改定の内容の柱となるのは、2013年12月6日開催の社会保障審議会医療保険部会・医療部会においてとりまとめられた「平成26年度診療報酬改定の基本方針」に則してまとめられた、「平成26年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)」で、調剤・薬剤師関連では下記のような内容が含まれています。

平成26年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000034656.pdf

在宅医療を担う医療機関の量的確保を図るとともに、質の高い在宅医療を提供していくために、保険診療の運用上、不適切と考えられる事例への対策を推進する。

  • 在宅自己注射指導管理料について、実態を踏まえて評価の見直しを行う。
  • 在宅薬剤管理指導業務を推進する観点から、以下の対応を行う
    相応の体制整備が必要となることから、在宅業務に十分に対応している薬局の評価を行う。また、地域の薬局との連携を図りつつ、当該薬局自らの対応を原則とし、24 時間調剤及び在宅業務を提供できる体制等を考慮して、基準調剤加算の算定要件を見直す。
    ②質の高い在宅医療を提供していく観点から、同一建物において同一日に複数の患者に対して在宅薬剤管理指導業務を行った場合等について、在宅患者訪問薬剤管理指導の適正化を行う。
  • 在宅医療における注射薬や特定保険医療材料の供給を推進する観点から、以下の対応を行う。
    ① 医療機関の指示に基づき薬局が、必要な注射薬や特定保険医療材料を患者宅等に提供することを推進する。
    ② 無菌調剤室を共同利用する場合に無菌製剤処理加算を算定可能とするとともに、当該加算の評価対象に麻薬を追加し、また、乳幼児に対する当該加算の評価を充実する。
  • チーム医療の一つとして、薬剤師による一層の在宅患者訪問薬剤管理指導が求められていることを踏まえて、診療報酬と調剤報酬の在宅患者訪問薬剤管理指導の算定要件を揃える。

緩和ケアを含むがん医療の推進について

  • がん患者に対する精神的なケアや抗がん剤の副作用管理等の重要性が増してきていることを踏まえて、がん患者の継続的な管理指導に対する評価を新設する。
  • 外来化学療法加算について、加算の対象となる投与方法の拡大等に伴い、入院で行う必要のない化学療法を外来で実施するための体制に対する評価という本来の趣旨が不明瞭になりつつあること、対象薬剤が不明確との指摘があること、一部の薬剤が在宅自己注射指導管理料の対象薬剤にも含まれていること等を踏まえて、評価のあり方について見直しを行う。
  • 在宅自己注射指導管理料について、実態を踏まえて評価の見直しを行う。

的確な投薬管理・指導の推進について

  • 長期投与された患者の残薬の状況等を把握し、保険薬局における適切な薬学的管理・指導が必要であると考えられていることから、特定機能病院及び500 床以上の地域医療支援病院において長期処方された場合のあらかじめ定められた日数の分割調剤の試行的導入を行う。これに伴い、分割調剤を行う場合の調剤基本料等の評価を見直す。(削除されたらしい)
  • お薬手帳を必ずしも必要としない患者に対する薬剤服用歴管理指導料の評価を見直す。
  • 薬剤服用歴管理指導料について、服薬状況並びに残薬状況の確認及び後発医薬品の使用に関する患者の意向の確認のタイミングを、調剤を行う前とするよう見直す。 

チーム医療の推進について

  • 在宅医療における注射薬や特定保険医療材料の供給を推進する観点から、以下の対応を行う。
    ①医療機関の指示に基づき薬局が、必要な注射薬や特定保険医療材料を患者等に提供することを推進する。(再掲)
    ②無菌調剤室を共同利用する場合に無菌製剤処理加算を算定可能とするとともに、当該加算の評価対象に麻薬を追加し、また、乳幼児に対する当該加算の評価を充実する。(再掲)

後発医薬品の使用促進策について

  • 保険薬局の後発医薬品調剤体制加算の要件である調剤割合を見直し、後発医薬品調剤率が高い方により重点をおいた評価とする。
  • 後発医薬品の調剤割合に「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」で示された新指標を用いる。新指標を用いた場合、調剤割合に極端な偏りがある保険薬局においては、後発医薬品の調剤数量が少ないにもかかわらず、数量シェアが高くなる可能性があることから、後発医薬品調剤体制加算の対象外とするよう適正化を図る。
  •  一般名処方が行われた医薬品については、患者に対し後発医薬品の有効性、安全性や品質について懇切丁寧に説明し、後発医薬品を選択するよう努める旨を明確化する。

医薬品、医療機器、検査等の適正な評価

  • 治療目的でない場合のうがい薬だけの処方の評価を見直す。

大規模薬局の調剤報酬の適正化等

  • 処方せん枚数、特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合等に着目し、いわゆる門前薬局の評価を見直す。ただし、24 時間調剤が可能な保険薬局については、この限りではない
  • 妥結率が低い場合は、薬価調査の障害となるため、妥結率が一定の期間を経ても一定率以上を超えない保険薬局及び医療機関の評価の適正化を検討する。

 今回改定事項の検討は前回改定後の評価を調べた各種調査の結果や現場からの要請を踏まえ、11月頃から個別の事項についての検討が行われてきました。

中央社会保険医療協議会総会(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008ffd.html#shingi128154

 次回改定の具体的な内容が出てきたのは11月30日の中医協総会かと思います。

第209回 中央社会保険医療協議会 総会(2013.11.30 開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001wj9o.html

 後発医薬品の使用促進のための環境整備について(その2)
 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001wj9o-att/2r9852000001wkdt.pdf

 調剤報酬について
 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001wj9o-att/2r9852000001wkd7.pdf

 そして、調剤報酬についての個別事項の検討は12月4日と25日の総会で行われており、その内容については一部報道ですでにご存じかと思います。

調剤報酬について(中医協総会 2013.12.04)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031312.pdf

 中央社会保険医療協議会
 「高すぎる調剤報酬」、日医委員から批判相次ぐ
 大手調剤薬局チェーンの利益率も問題視
 (m3.com 医療維新 2013.12.04  要会員登録)
  http://www.m3.com/iryoIshin/article/186631/

 2014年調剤報酬改定の議論がスタート
 調剤基本料に「店舗数」の要件、大規模病院の処方箋で分割調剤を推進?
 (日経DI 2013.12.04 要会員登録)
 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201312/533968.html

個別事項(その7:これまでの議論で求められた資料等)について(中医協総会 2013.12.25)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000033630.pdf

 中央社会保険医療協議会
 うがい薬の保険外し、中医協で異論続出
 「国民皆保険を崩壊させる突破口」との危機感も
 (m3.com 2013.12.25 要会員登録)
 http://www.m3.com/iryoIshin/article/188210/

 中央社会保険医療協議会
 妥結率低い医療機関の報酬引き下げを提案
 (m3.com 医療維新 2013.12.27 要会員登録)
 http://www.m3.com/iryoIshin/article/188323/

 薬歴管理料が一本化じゃなくなる?!
 「お薬手帳なしの低額点数」や「シール配布での算定不可」を検討
 (日経DI 2014.01.06  要会員登録)
 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201401/534483.html

 上記資料によれば施設基準の見直し、大病院の長期処方の分割調剤の試行などの項目についても検討されましたが、結局これらは今回の改定では見送り(議論不足)となり、後発医薬品の(さらなる)使用促進、うがい薬のみの処方の取扱い、大規模薬局の調剤報酬の適正化などが目立つくらいで、次回平成26年度の改定は在宅医療の推進がメインとなるようです。(一般名処方の場合は原則後発品で調剤といった話はどうなったんだろう?)

 今回の案についてパブリックコメントが開始されます。疑問点や要望がある方は、意見を提出してはいかがでしょうか。(パブコメのページが掲載されましたらリンクを張ります)

関連情報:
中央社会保険医療協議会
2014年度改定「議論の整理」了承、パブコメへ
7対1削減への懸念も、「分割調剤」試行導入は見送り
(m3.com 医療維新 2014.01.15 要会員登録)
http://www.m3.com/iryoIshin/article/189229/

どっこい生きてる!調剤基本料の「店舗数」要件
大病院からの処方の分割調剤は見送りに
(日経DI 2014.01.15 要会員登録)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201401/534619.html

2014.01.16 9:20 リンク追加


2014年01月15日 17:55 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    パブコメのページがアップされました。

    「平成26年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(現時点の骨子)」に関するご意見の募集について
    http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p20140116-01.html

    「平成26年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(現時点の骨子)」から、元記事中に示した通り、「分割調剤の試行的導入」の部分が削除されています。(他は歯科領域の一部を除き、変更なし)

    平成26年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(現時点の骨子)
    http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/dl/p20140116-01a.pdf

    意見募集は24日(金)までです。(元記事の下線の部分があいまいなので、今回は意見を提出しようかな)

  2. アポネット 小嶋

    2月5日開催の中医協で、診療報酬改定に関するパブコメ結果が示されています。

    第271回 中央社会保険医療協議会 総会
    (厚労省 2014.02.05 開催)
    http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000036582.html

    「平成26年度診療報酬改定に係る検討状況について(現時点の骨子)」 に関するご意見の募集の結果について
    http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000036577.pdf

    薬剤師の意見は1029人中39人。

    個人的に出したものもきちんとリストアップされていました。