イレッサ大阪控訴審判決、国・企業の責任認めず

 25日、患者の遺族ら計11人が、国とアストラゼネカ社に計1億450万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が大阪高裁で言い渡され、「イレッサには有効性、有用性が認められ、製造上の欠陥が存在することを理由とする製造物責任法に基づく損害賠償請求は理由がない」として、アストラゼネカ社のみに賠償を命じた1審・大阪地裁判決を取り消し、原告側の請求を全面敗訴を言い渡しました。

 薬害イレッサ弁護団HP(http://iressabengodan.com/)に裁判所が作成した判決要旨及び判決全文が公表されています。

大阪高裁判決要旨(薬害イレッサ弁護団)
 http://iressabengodan.com/doc/000252.html

大阪高裁判決全文(薬害イレッサ弁護団)
 http://iressabengodan.com/doc/000251.html

 今回の判決について弁護団は、「承認前の副作用報告が発している危険性のシグナルを不当に低く評価、医薬品の安全対策としては、いったん発症すると半数以上が死亡するという重篤性をもった副作用であるとの前提で安全対策する必要があった」と指摘したうえで、「薬害・公害の歴史から導き出された予防原則を根底から否定すると共に、製薬企業・国の医薬品安全確保義務を著しく軽視して、副作用被害発生の要因を医療現場の医師等の責任に矮小化して押しつけるものに他ならない」などとした声明を発表しています。

5月25日 薬害イレッサ西日本訴訟の控訴審判決が言い渡されました
(薬害イレッサ弁護団5月25日)
http://iressabengodan.com/topics/2012/000250.html

 原告の全面敗訴の判決は東京高裁の判決(TOPICS 2011.11.18)に続くもので、原告側は東京訴訟に続き、上告する方針です。

関連情報:TOPICS
 2011.02.26 イレッサ大阪訴訟、企業に賠償命令も国の責任は認めず
 2011.11.18 イレッサ訴訟、東京高裁判決受け上告へ

参考:
47NEWS  5月25日(共同通信配信)
http://www.47news.jp/CN/201205/CN2012052501001720.html
あなたの健康百科5月25日
http://kenko100.jp/news/2012/05/25/03
医療介護CBニュース5月25日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/37329.html
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/37335.html
しんぶん赤旗5月26日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-05-26/2012052618_02_1.html
朝日新聞5月25日
http://www.asahi.com/national/update/0525/OSK201205250049.html


2012年05月26日 15:41 投稿

コメントが3つあります

  1. シッフズジャパン鈴木

    判決前夜集会で、先端医療研究情報センターの福島雅典氏が
    冒頭に、論語を引用されました。
    「過而不改、是謂過矣」(過ちを改めない、これこそ過ちというものだ。)
    間質性肺炎などで843人もの方が亡くなっているのに、こんな当たり前のことがまかり通る判決に憤りを覚えます。

  2. アポネット 小嶋

    福島雅典氏の名前をどこかで聞いたことがあると思ってググったら、メルクマニュアルの日本語版を監修した方ですね。

    裁判でも原告側の証人として、平成19年の7月18日の東日本訴訟の第15回裁判で証言を行っているそうです。

    東日本訴訟・第15回裁判報告(2007年7月18日)
    (イレッサ被害者の会HP)
    http://i250-higainokai.com/t-saiban-houkoku-No15.html

  3. シッフズジャパン 鈴木幸雄

    福島雅典氏は2006年に発行された「ビッグ・ファーマ 製薬会社の真実」に推薦文を書かれています。「翻訳刊行に寄せて: 科学妄信とトップ・ジャーナル信仰は歪んだ宗教か?」はアマゾンのウェブサイトで閲覧できます。イレッサを夢の新薬として安易に持ち上げた科学ジャーナリストの功罪にも、目を向ける必要があります。