気になるライフイノベーションWGの議論の行方

 都市伝説がごとく、仕分けされるぞと言われていた薬歴管理・指導料の行政刷新会議での仕分けは、どうやらなくなったようですが、一方で同会議の規制・制度改革に関する分科会での議論の行方が気になっています。

ライフイノベーションWG(第5回)(2010年10月28日開催)
http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2010/life/1028/agenda.html
(議事要旨)
http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2010/life/1028/summary1028.pdf

ライフイノベーションWG(第6回)(2010年11月10日開催)
http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2010/life/1110/agenda.html
(議事要旨)
http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2010/life/1110/summary1110.pdf

 10日、同分科会のライフイノベーションWGの第6回会合が行われ、52の検討項目候補うち、医療提供体制や診療報酬など医療分野の23項目について論点整理が行われたとのことです。(次の23番まで、それとも26番まで?)

  1. 病床規制の見直し
  2. 医師不足解消のための教育規制改革
    (特色ある新設医学部の設立)
  3. 医師不足解消のための教育規制改革
    (歯科医から麻酔科医への道を拓く)
  4. 救急救命士の職域拡大
  5. 地域主権の医療
  6. 医療ツーリズムに対応するための諸改革(外国人医師・外国人看護師の受け入れ・地域ベッド規制の緩和・未承認薬の使用)
  7. 医療行為の無過失補償と免責制度の導入
  8. 無資格の医業・医業類似行為でのカイロプラクティックに関する規制強化
  9. 現行の医療保険の枠組みで予防給付の考え方を導入する公的保険制度
  10. 高齢者医療制度と介護保険制度の統合
  11. 高額療養費制度の見直し
  12. DPCに関する課題と改善策診療報酬
  13. 新薬創出・適応外薬解消策促進加算に代わる新薬価制度の導入
  14. 医薬分業の存在意義の再確認と調剤基本料の一元化
  15. 医療保険におけるリハビリの日数制限の見直し
  16. 医療法人におけるガバナンスの柔軟化に向けた規制の見直し
  17. 医療法人の私的整理容易化に向けた規制の見直し
  18. 医療法人における組織再編の円滑化に向けた規制の見直し
  19. 医療法人の連携促進に向けた規制の見直し
  20. 医療機関同士の経営統合・合併を容易にする施策
  21. 広告規制の緩和
  22. 一般用医薬品のインターネット等販売規制の緩和
  23. 国民の利便性を高めるための医薬品販売規制の見直し
    (薬剤師・登録販売者の常駐義務、対面販売の解釈の見直し)
  24. 研究開発の活性化に向けた制度の見直し
  25. 承認迅速化に向けた制度の見直し
  26.  イノベーションの評価

 このWGは非公開で行われている上、議論をするにあたって討議の資料も現時点では非公開なので、議論の行方は議事録を見ないと分かりませんが、第5回会合で示された意見(第6回資料1)を見ると、医療分野に関する事項としては、次のような意見が示されているそうです。

  • 公的医療保険の範囲をどこまでとするかという点を考えるべき時期に来ているのではないか。
  • 医療サービスを受けたいという患者のデマンドは無限であるが、医療は有限な資源なので、それをすべて満たすのは不可能。国民の側にもコンセンサス形成が重要。
  • これまでのWGでは診療報酬についての議論が全くない。努力している人が報われる診療報酬体系にしていかないといけない。
  • セルフメディケーションという視点が必要で、医薬品はOTC化を進めるべき。
  • 後発医薬品があるのに先発品を希望する場合は、差額を自己負担にすることも検討すべき。
  • イノベーションをどう評価するかという観点が重要。
  • 医師の地域偏在、診療科の偏在を解消するには医学部定員増では効果は疑問。総合家庭医の充実が必要であり、医師の偏在に定員制などの規制をかけることも検討すべき。
  • 医療機関経営については非常に重要。医療機関の事業譲渡は困難であり、スポンサーもなかなかつかない。医療法人のガバナンスの柔軟化が必要。
  • 病院の機能を維持しながら、円滑に事業が承継できるようにしなければならない。
  • 今の公定価格の下では、医療そのものの産業化を期待されることは困難である。一方で、医商工や介護、福祉が連携して医療の周辺分野を産業化するという視点はある。
  • 電子カルテやICT活用をより推進しないと成長の源泉にならない。これはスピード感が大事。
  • 例えば、電子カルテはシステムの共有化を図ればイニシャルコストも低減して導入が進む。こうした発想に立つことが重要。
  • ドラッグラグや臨床研究の評価の仕方についてより掘り下げる必要がある。
  • ワクチンは政府でも取り組んでいるが補正予算。本来は経常的な対策が必要。予防と健康保険の整理についても議論すべき。

 一般用医薬品の規制緩和もさることながら(WGにとっては些細な問題なのかもしれない)、セルフメディケーションの推進、医薬分業や医療システム、調剤報酬のあり方などの議論もここで行われることは確実です。

 今後公表される議事録や報道には十分注視する必要があるでしょう。

関連情報:TOPICS 
  2010.09.15 第1回医療情報化に関するタスクフォース
  2010.04.30 医薬品ネット販売の規制緩和など、行政刷新会議での検討へ
  2010.04.29 OTC医薬品の使用環境における問題点と今後の課題(学会シンポ)
  2010.04.15 第2回ライフイノベーションWG(行政刷新会議)
  2010.04.06 第1回ライフイノベーションWG(行政刷新会議)

参考:医療介護CBニュース11月10日(動画あり)
     https://www.cabrain.net/news/article/newsId/30757.html?src=recom

12月28日リンク追加


2010年11月11日 00:07 投稿

コメントが2つあります

  1. いつも拝見しております。
    貴重な情報発信ありがとうございます。
    さて、以下の項目を提唱している
    ライフイノベーションWG委員(医療経済学者)の論文がありました。

    14.医薬分業の存在意義の再確認と調剤基本料の一元化
    http://www.jmari.med.or.jp/research/summ_wr.php?no=20

    タイトル:「日本の医薬分業は本当に患者のためになっているか」
    内容をご覧いただければある程度推測できるかと思います。

    分業は賛否両論あります。日薬はしっかり説明できる体制作りが必要です。

  2. アポネット 小嶋

    情報ありがとうございます。

    リンク先のペーパー「日本の医薬分業は本当に役立っているのか」は、川渕孝一氏が日本医師会・総合政策研究機構の主席研究員(1998年-2002年)だったときに発表(2001.6.26)したものなので、少し割り引いて考える必要があると思います。

    ただ、現在も続く大病院の前に門前薬局が林立する現状に対しては、おそらく川渕氏は疑問を持っていると思います。

    調剤基本料の1本化についても、患者さんの負担増ということもそうでしょうが、くすりをもらうところによって価格が違うということも問題視しているのではないかと思います。

    増大を続ける医療費全体の中で、調剤薬局だけが企業化し、拡大していることに対し、川渕氏は、(門前)薬局の(保険)医療機関としてのあるべき姿について問題提起をしたかったのかもしれません。(討議資料が後日出るのでそれを見てみましょう)

    「日薬はしっかり説明できる体制作りが必要」とのご指摘ですが、高齢化と医療の高度化・細分化の中で膨らむ医療費の中で、調剤への配分(おそらく介護分野含む)は、よほどのエビデンス(立場を乗り越えた地域での実証研究)を示さない限り、もうこれ以上増えないということを私は予想しています。

    OTC医薬品の販売を通じたセルフメディケーションのサポートや、行政との保健予防連携(禁煙対策、肥満予防、生活習慣病、認知症予防)を今からでも模索する必要があると思いますね。